リュージュ、辺境へ到着する
父上から指示を受けた翌日、僕は荷物を纏めてひっそりと城を出た。
「見送りも無し、か……」
僕は苦笑いするしかなかった。
結局、王都には僕の居場所なんか無かったんだなぁ、と改めて思う。
貴族学院でも基本は1人で行動する事が多かった。
取り巻き? そんな者いないよ。
当然だけどモテてないよ、令嬢とかも声かけられなかったし結局人は見た目なんだよ。
普通は王族だったら注目される筈なんだけど至って普通だった。
ハニートラップも覚悟はしていたんだけどそんな物は所詮は空想の産物だ、僕にとっては。
そういえば卒業記念パーティーでどっかの公爵令息が婚約破棄がどうたらこうたらとか騒いでいたみたいだけど興味なかったから覚えてないや。
僕は用意されていた馬車に乗り込み辺境へと向かった。
辺境までは1ヶ月もかかり漸く到着した。
「覚悟はしていたけど想像以上だな……」
見渡す限りの荒れ地、家だった物がポツンポツンとあるけど人気は全然無い。
まぁ、こんな荒れ地に人が住む訳が無い。
「でも、これぐらいで充分でしょ、開拓のしがいがあるよ」
そう言って僕はほっぺをパシンと叩いた。
「リュージュ・オラルド、これよりこの地の領主として開拓を宣言する!」
大声で僕は叫んだ。
「さて、まずは住居だよね……」
キョロキョロと見渡し一番まともな建物を見つけそこに向かった。
「ボロボロだけど修繕すればなんとかなるか」
その建物はかつては貴族の家だったみたいで広々としている。
中に入るとクモの巣やら埃で空気が悪いので僕は窓を開けた。
「とりあえず掃除から始めるか、それから使えそうな物も見つけないと……」
領地開拓の第一歩としてまずは屋敷の修繕から取り組んだ