人気があろうがなかろうが、私はなろう作家の端くれなんです。コミックサイトの前座にはならない。絶対にならない。
Web小説家の皆様にお訊きします。
性的描写、或いは残酷描写を理由に、自身の作品が警告を受けた経験をお持ちでしょうか?
そして、改稿の努力も虚しく、自身の作品がサイトから削除されてしまった方はおられますでしょうか?
私の相互ユーザー様の中にも、警告を受けてどうにかして改稿を成功させた方と、警告箇所が不明瞭、或いは期限切れ等の理由により、泣く泣く作品を削除せざるを得なくなってしまった方がいます。
更に近年、比較的性描写や残酷描写に寛容であったサイトまでが規制を強めてきている様子で、攻めた作風を売りにしていた作者が、成人向けのサイトに活動拠点を移す動きが目立ってきました。
私はもういい歳の中年でありながら、結婚をして家庭を築くという事は出来そうにありません。
それでも、自分のやりたい事を追求出来た人生はなかなかに幸せであり、その満足感からなのか、若い頃の様に性的描写や残酷描写を貪る様に求める事はなくなっています。
しかしながら、いつの世もサブカルチャーが人気を集める背景には、自称良識派の大人達が求める様な型には嵌まらない「刺激」を求める人達の、パワーと欲求がある事は間違いありません。
各サイトの運営は、他社との差別化によるユーザーの選択集中を恐れずに、明瞭かつ独自の「基準」を打ち出して欲しいものです。
さて、ここまでは今までに何度も各サイトで語られてきた内容でしょう。
私の言いたい事はここからですね。
多くのWeb小説家達の不満、それはこの「小説家になろう」サイトでは特に顕著かも知れません。
投稿作品への規制は厳しいのに、サイトの広告主であるコミックサイトが推す作品には、やや問題視したくなる様な性的描写や残酷描写が溢れているという点です。
ページを飛ぶ度に現れる、性的描写や残酷描写、更にヘイトを高める展開を見せ付ける広告手法は、単純なサイトへの呼び水としては優れているのかも知れません。
しかし、ちょっとした作業の度に揺さぶられる感情や興奮は、純粋な創作や読書以外の部分、即ち感想交流やコメント、メッセージ等に思わぬ影響を与えていると考えてしまいますね。
感想欄や活動報告のみならず、SNSにまで飛び火するヘイトの応酬。
それはもう、批判的な感想から始まったという現実さえも掻き消してしまう程で、ある意味過激な広告もその動きを加速しかねないと考えています。
では何故、投稿作品への規制を強めながら、広告主の推す作品への規制を弱めているのでしょうか?
まあこれは、広告主なんだから仕方がないと片付ける事も出来るでしょう。
しかし、これにはより明確な指針が存在していると考えます。
Web小説の世界でも、平和で無難な作品に比べれば、ハーレム恋愛的な性的描写や、悪党を瞬殺する様な残酷描写を用いた「刺激のある作品」がより高い支持を集める傾向にありますよね。
つまり、広告を掲載して貰うサイトのWeb小説の刺激を物足りなく感じたら、広告主のコミックサイトの作品を読んで欲しいという指針です。
コミックには、ただでさえ小説と比較して読書に労力を消費させないアドバンテージがある上に、絵による直接的な表現が可能である為、単純に刺激を求めるユーザーからの支持は圧倒的。
ギリギリの所を攻めて一気に話題を集めたい、刺激を高める事がランキング制覇や書籍化への道だ、と考える作者以外は、全年齢Web小説サイトで勝負する意味が薄れていると言わざるを得ませんね。
私はこの「小説家になろう」サイトで、既に沢山の作品を発表していますが、性的描写は殆ど用いていませんし、残酷描写を用いた作品もホラー系を始めとした数作品しかありません。
これは先述した様に、私自身が性的描写や残酷描写を貪る様に求める事がなくなった点と無関係ではないものの、そもそも全年齢サイトに来たら、性的描写や残酷描写に頼ってまで目立つと、やがて目立つ事が使命となってしまい、結果として表現の幅を狭めてしまうと考えているからなんです。
私の作品はランキングとは余り縁がなく、ポイントやブックマーク的にも人気があるとは言えませんが、それでも私はWeb小説家の、なろう作家の端くれ。
性的描写や残酷描写を否定はしません。
私がもっと若ければ、進んでチャレンジしたかも知れません。
しかし、コミックサイトの前座になるつもりはありません。絶対にありません。
Web小説家として、文章だからこそ表現出来る領域まで自身の作品を高めて、Web小説サイトがコミックサイトの前座という立場へ転落するという、目の前の危機に立ち向かいたいです。