第一話
「敵多数確認! これより応戦する! 」
校門の先より銃弾が飛び交い、それに呼応してこちらも塹壕より銃口を出す。
僕は正式採用のボルトアクションライフルR-20のトリガーに手を掛ける。
訓練通りに撃ったはずの弾は敵に当たったかどうかは分からない。それほど激しい弾幕が展開されている。
ある者は塹壕から乗り出すが腕に弾を受け、ある者は実戦の恐怖で塹壕の中で震え上がったまま銃を構えることも出来ていない。
「こちら警備隊、負傷者多数! 敵は車両を使用! 本隊の処理能力を超えている!応援求む!」
通信兵が応援を要請する。
校舎外をパトロールする警備隊は10名である。しかし敵は50近くがいると思われ、車両を盾にこちらの隊員を確実に削っている。
さらに敵は僅かだがグレネードランチャーか迫撃砲と思われる兵器での攻撃を繰り返している。幸いにも命中率は非常に低いそうで全て塹壕の外に着弾している。それでも爆風はこちらまで伝わってくる。
このままでは遅くないうちに塹壕内が死体、いや死肉で溢れかえるだろう。
ここは日本は兵庫県の神戸湾高校の校舎外。僕たちは高校生にしてこの学校の軍隊である。
これが1年生の僕にとって初めての実戦だった。
端的に言って僕たちは戦争をしている。この戦いはこの校舎、そしてこの高校を守るための防衛戦だ。
もう誰もなぜこんな世界になったのか。なぜ僕たちが戦わなければならないのか。説明することは出来ない。一説には強制徴兵のための事前訓練が元だとか、学内自治が行き過ぎた結果とも言われている。
確実に分かっていることは僕たちは高校軍事憲章の制約の元で軍事行動を起こし、勝利したときには相手の領土他物資等を奪うことができ、そのためにどの高校もほぼ例外なく軍隊を持っている。
突如、校舎の窓から大量の弾丸が降り注ぐ。
機関銃だ! おそらくはM-15! 秒間9発と決して射撃速度は高くないが校舎3階から5丁もの機関銃が一斉に火を噴き、敵はたまらず攻撃が止まる。
車両には機関銃弾が通らないらしい。ガンガンと金属音が鳴り響く。
その間、塹壕内では衛生兵が動き回り、負傷者への応急処置を施していく。
敵は車両に乗り込む。どうやら撤退するらしい。
塹壕内は土と硝煙と血の匂いが混ざる中でも誰も声には出さないが静かに安堵のムードが漂っていた。敵の撤退行動が明確になったとき、通信兵が無線を入れる。
「こちら警備隊、敵は撤退していく模様。こちら死者1名、負傷者多数。追撃するか指示を求む。」
敵は完全に撤退し、こちらの小銃が届かない位置まで離れると警備隊長が叫ぶ。
「動けるものは負傷者を運べ! 全員帰投せよ!」
斯くして、僕の初めての実戦は終わった。
※作者のミリタリー知識が足りていないので気軽にご指摘ください。
銃等の兵器は基本的に全て現実のものを元にした架空のものです。