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クレイドル〜忘れられし天使の都〜  作者: アルス
第3部 クレイドル〜蒼き雨と夜桜の国〜
60/60

第1話 * 星降る深海 *


深く。


深く深く。


大概の生物は到達不可能な領域。


深海。


過去に雄大に海を闊歩していたであろう鋼鉄の巨船の墓場よりも、さらにその下。


世界の底、深淵。


まさかその暗闇を凝縮した黒一色の世界に、幾重ものの光が差しているとは想像できなかった。


無数の星が見つめてくる夜空に漂う、丸みを帯びた白衣の遊泳者。


眼下には星空と対を成す光の街。そして聳える紅の塔。それらを全て包むように咲き誇る蒼桜と、そこから舞い散る蒼き桜雨。


感動に言葉を忘れる。


――ここが、クレイドルの内部であることさえも。


ねぇ


アメが軽やかに口を開く。


あれが星じゃないって言ったらどう思う?


アメが満天の星空を指さして妖しく笑う。


あれ、そういえばここは、星の光すらも届かない海の底だ。

あれは、夜空ではなく海面の、はず。


全身に例えようのない寒気が這い寄る。


そんな俺の様子を吟味するようにアメが見つめる。


可笑しそうにこちらを見つめる瞳こそが、妖しく輝く星のようだった。


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