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序章 * 深緑の目覚め *
地鳴りと共に、地面が激しく揺れ出した。
「……目を覚ましたか」
槍を手に携えた少年が諦観を含んだ瞳で、木々と廃墟に覆われた山のような大樹を見据えた。
「目を覚ましたって、まさかあの大樹全体が!?」
私は驚愕を隠せずに、その少年と同じ方向を見続けることしかできなかった。
緑に覆われた都市の残骸、その全てを乗せた大地が脈動する。
墓標のように聳え立つ鋼鉄の大樹たちも、木の葉のように揺れ動いている。
純白の地面が隆起し、木々が折れる中、それは現れた。
ーー今、深緑の大地が目覚める。
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