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クレイドル〜忘れられし天使の都〜  作者: アルス
第1部 クレイドル〜忘れられし鋼鉄の都〜
26/59

第25章 * 生還、そして *

傷だらけの紅い殺意がこちらを狙っている。


その巨躯は今までより更に傷つき、そこには見覚えのある槍も深々と他の武器と同様に刺さっていた。


――あれはアールの槍!


ホーリットクラン、無事だよな!?


嫌な想像を振り切り、殺意から逃れるように空を駆ける。


――このままじゃ……!


このままじゃ、あの魔力爆発に巻き込まれるかもしれないのに!


ここに来てあいつと決着をつけなきゃならないのか!?


晴天が覗き始めた空に、真紅の炎弾が踊る。


「くうッ!!」


ギリギリで姿勢を変え、高温で射出された炎を避ける。


GUOOOOOOOOOOOONNNNNN!!!!!


紅龍は連続して炎弾を吐き続けた。


高温の死が幾重にも迫る。


ギリギリで避けながら、空中で旋回する。


このままじゃ、天使の着弾の爆風か紅龍の炎弾で消し炭にされる……!


――それなら!!


覚悟を決めると、上空で旋回し、そのまま紅龍へと急降下する。


紅龍も対抗しようと、急上昇を始める。


「うおおおおおおおおおお!!!」


GRUAAAAAAAAAAAAAAAAA!!!!!


2つの咆哮が重なる。


すまない、ヴァルト。

ここでお別れだ。


次の瞬間、トライが紅龍の胸を蒼腕で突き破り、街の地面をすれすれで飛行をする。


紅く染まった手には、まだ暖かい鼓動の感触が残る。


……ヴァルト?


ああ、そうか。


お前はあの時からずっと、俺を覚えててくれていたんだな。


――すまない。


こんな形で互いに青空を見たかったわけじゃないのにな。


思い出される記憶。


今はそれを胸にしまい、堕ちゆくヴァルトを背に、フィたちの元へ急いだ。


間も無くして、街を駆け巡る光に気付く。


「あれは……?」


橙色の光が高速で出口へと向かっていた。


あれは、魔道具の光か!?


間に合ったんだ!!


確信と共に、より一層速く空を駆ける。


『ウォール』の出口上空に辿り着く。


「フィ、バリス、シャル!!!」


全力で叫ぶ。


「トライ! ここよ!!」


フィが歓喜の声を上げる。


「フィ!」


フィ達の元へ降りていく。

バリスとシャルも無事のようだった。


「無事だったか!」


俺の無事を確認し、安堵するバリス。


「トライ、あの赤い光は何なの!?」


天使と塔の狭間で輝く赤い光について聞くシャル。


「あれは、あいつデルタが1人で天使を止めているんだ……」


息を呑む3人。


「2人で天使を消滅させても、デルタも俺も消滅するからって……」


涙を堪えながら、状況を説明する。


「あいつ……」


バリスは複雑な表情で塔を見る。


その時だった。


塔と天使が衝突し、凄まじい爆風が生まれるのが見えた。


「まずい!! 早くみんなは出口へ!!」


「トライは!?」


落ち着いて、フィへ話す。


「あの爆風を無力化する。その間にフィはバリスとシャルと一緒に脱出してくれ」


あくまで笑顔で話す。


「そんなせっかく会えたのに!!」


フィは泣きじゃくりながら俺を抱きしめた。


「大丈夫さ! また会えるよフィ」


優しくフィを抱きしめる。


背後に大量の魔力圧を纏った爆風の音が聞こえてくる。


「さあ、フィ行くんだ!」


「……うん、トライ絶対また会おうね! 約束よ!!」


「ああ!! 絶対だ!!」


バリスとシャルがフィを連れて出口へ向かう。


「トライ、お前にたくさん助けられたな。次会う時は俺の剣の調整、頼むぜ!」


「トライ、絶対戻ってきなさいよ! フィちゃんを泣かせる真似したら許さないからね!」


バリスとシャルが別れ際に言葉を残す。


「ああ! 2人ともありがとう!! フィを頼んだ!!」


3人を見送った後、静かに両手を爆風が迫り来る方向へ向ける。


「色んな事があったな……」


両腕から蒼腕が形成されていく。


「少しは成長できたかな、俺?」


形成された蒼腕へありったけの魔力を込める。


「フィ、バリス、シャル、爺ちゃん達、リンネ国のみんな……」


紅い光を纏う爆風が冒険してきた場所を全て飲み込み、眼前へ迫る。


「俺が絶対に」


蒼腕と紅い爆風が衝突する。


「守る!!!!」


蒼と紅の光が交わる。


「ぐうううううううううう!!」


蒼腕を形成する義手がぎりぎりと悲鳴を上げる。


「あと少しなんだ、持ってくれ……!!」


蒼腕の周囲の風景が爆風で吹き飛んでいく。


このままじゃ……!


――トライ、絶対また会おうね!! 約束よ!!


フィの言葉が頭の中で響く。


「……っうおおおおおおおおおおお!!!!!」


蒼と紅の光が交わり、そして景色一面が白色に染まった。


――リボン、返しそびれたな。


ふと、ポケットにしまっていたリボンを思い出した。


その感情を最後に、意識は途絶えた。


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