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クレイドル〜忘れられし天使の都〜  作者: アルス
第1部 クレイドル〜忘れられし鋼鉄の都〜
19/59

第18章 * 集結 *

鉄橋全体が真紅の炎に包まれようとしている。


「うぉおおおおおおおおお!!!」


灼熱が展開した蒼腕を焦がすように吹きつける。


――この熱量、耐えられるか!?


際限なく迫り来る炎に、蒼腕の吸収が追いつけないのではと焦り始める。


ガチリと義手が軋みを上げている。


このままじゃ……!!


「また会いましたね」


鉄橋の上、鉄骨を駆けてきた人影が急降下してくる。


両腕に装備した巨大な盾が灼熱の炎を遮る。


「すまねえ! ちょっと迷っちまった!!」


上空からもう一つの影が赤龍を目掛けて、急降下してくる。


GUOOOOOOOOOOOOOOO!!!!!


その影から放たれた雷の槍が赤龍の頭部へ突き刺さる。


炎が止み、影達の姿が露わになる。


「よぉ! 待たせたな!!」


アールの声が響き渡り、煙の中からホーリットクランが現れた。


「どうやら、間に合ったようですね」


イシュが振り返り、無事を確かめる。


「今、魔力を回復いたします」


シエラがバリスへ回復魔術を施す。


「ホーリットクラン……! 無事だったのか!!」


喜びと驚愕が入り混じる声で叫んだ。


「ああ! 地下街道がやたら広くて少し迷ったけどな!」


槍を構え直し、赤龍の前に向き直るアール。


「早く、お前達はあの塔へ向かえ!」


「アール達はどうするんだよ!?」


強大な赤龍を前に、ホーリットクラン全員が構える。


「どうするかって? 俺たちは騎士の国ホーリットのクラン、竜狩りが本分だ!!」


そう叫ぶと、アールは赤龍へと突撃を始める。


「やれやれ、一人で突っ走らないでください」


イシュが盾を構え、アールを追いかける。


「ここは任せて下さい、皆様のご無事を祈っております」


シエラは2人を援護すべく、魔術詠唱を始めた。


「いくぞ!! トライ!!」


「バリス! 大丈夫なのか!?」


「ああ、シエラさんの回復魔術でバッチリだ!」


バリスとシャルが走り始める。


「トライ、フィを助けるんでしょ!?」


――そうだ、俺はフィを助けるんだ!!


きっとあの塔にフィが!!


そしてあの鎧も!!


「ああ、当たり前だ!!」


全力で橋を駆ける。


それを見た赤龍は再び紅蓮の炎を吐き出そうとする。


「させねえよ!!」


アールが雷の槍を赤龍の体へ突き刺す。


「大人しくしててください」


イシュが赤龍の顎を盾で叩きつける。


「行ってこい、トライ!!」


背中にアールの叫びが届く。


「ああ、任せろ!!」


――だから、ホーリットクランの皆も死ぬなよ……!!


互いが生き抜くために前を向いて駆ける。


女神の塔が聳える広場まで来た。


「おいおい、ちょっと多すぎるんじゃあねえか?」


バリスが剣を構えながら苦笑いする。


その広間には魔獣や翼竜、鉄材を纏ったゴーレム等がひしめいていた。


「そりゃそうよね……! ここがやっぱりこのクレイドルの中心地ってことよね!」


シャルも身体を強張らせながらも、杖を構える。


これだけの数を倒して、塔まで行けるのか!?


くそっ、考えても仕方ねえ!!


「やってやる!!」


蒼腕を構え、駆け出すその瞬間だった。


空から複数の影が急降下してきた。


「皆様、お待たせしました!」


巨大な梟が黒獣を蹴散らしながら、地上へ舞い降りた。


「リネ、レーネ、シャズ!」


リィンクランが空から駆けつけてくれた。


「さぁ、ここは我々が道を開きます。皆様は先へ!」


リネが叫ぶと、大量の樹木が大地から生え、塔までの道を開いた。


「ありがとう!! また、壁の外で絶対に会おう!!」


俺は感謝を叫ぶと、一気に塔へと駆けた。


塔の目前まで来て、頂上を見上げる。


「これ、一気に頂上まで行けるんじゃないか?」


「ダメよ。視認できないほど薄いけど、強力な結界が塔の入り口以外全てを覆ってるわ」


シャルが探知魔術で結界を分析する。


「正々堂々登ってこいってことだな!」


バリスが上等とばかりに笑う。


「ああ! さっさと登り切るぞ!!」


俺達は女神の塔へと足を踏み入れた。


その背後に、別の存在を引き連れていたことを知らないまま。


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