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テマソンの戸惑い③

翌朝、碧華は目覚ましで睡眠から目を覚まし、寝る前にリリーに空港まで栄治たちを送ってくれる途中に会社の方によってほしいというメールを送っていた。

翌朝、その返信が今から城を出るという知らせと共に届いていた。  


そして追伸で、


〈あなたはテマソンの会社で緊急のクレームの仕事で手伝いに行ったことになっているから聞かれたら話合わせてね〉


という追伸が届いた。


〈ありがとうございます。お姉様。テマソンはよっぱらって熟睡中だからほっていきます〉


碧華はリリーがくる時間まであちこちに転がしている空の瓶や缶を袋に詰め片づけをすると、テマソンに置手紙を書いた。


〈お寝坊さんのテマソン、おはよう!リリーお姉様の車でお母さんたちと栄治さんを空港まで見送りに行ってくるね。今日はリリーお姉様とデートしてきます。テマソンはちゃんと起きて仕事いきなさいよ。明日、ファンの人からのプレゼント仕分けに戻るから。私の和室部屋に入れといてね。あなたの姉碧華より〉


碧華はその手紙の上に、キッチンタイマーを仕事開始時刻の2時間後にセットし、まだ熟睡しているテマソンの寝室のサイドテーブルの上にそっとのせ玄関を出て下におりて行った。



二時間後、珍しくテマソンは碧華のセットしたタイマーのけたたましい音で飛び起きた。

いつもは目覚ましがなくても時間がくれば起きるテマソンも、さすがに今日は違っていた。驚いて辺りを見渡し、サイドテーブルの上に置かれているメモをみて慌てて時計を見た。


「ええっ! 、もう九時なの、私熟睡しちゃってたんだ。そういえば昨日はお酒を飲みまくって・・・」


テマソンは昨夜のことを思い出そうとしていた。そして、明け方碧華がきてと、全部を思い出し一人苦笑いをした。


「まったく、おせっかいな姉が一人増えちゃたわね。いつからあなたの部屋になったのよ。私の家の客間が・・・」


そういいながら、碧華のメッセージにどことなくうれしそうなテマソンだった。本当の姉のリリーからも大量のメールが届いていた。いつもは完全無視をするテマソンだったが一言


〈ありがとう〉とだけ送信した。


「さて、仕事しなきゃ。今日も忙しくなりそうね」



その日、栄治はギリギリの時刻にビルのキャンピング車で空港に着いた。栄治は心なしか日焼けしているようだった。碧華はビルに栄治がお世話になったお礼を言うためビルと会話をしたが、ビルもリリー同様人見知りの碧華でも親しみやすい男性だった。もう昔から知っているような、実の兄よりも気軽に会話が弾んでいる自分に驚いていた。

そして、栄治と広の二人の乗る飛行機が出発する時間が近づくと栄治が碧華に向かって言った。


「碧華さん、栞のこと頼んだぞ」


そういう栄治に碧華は笑顔を見せた。


「任せて、うまく話せる自信ないけど、何とかなるよきっと・・・お母さん、栄治さんの食事よろしくお願いします」


碧華はリリーと話しをしていた隣の広お母さんに向かっても話しかけた。


「碧華さんもエンリー君のご両親によろしく伝えといてね」


「はい」


「仕事忙しいって聞いたけど、大丈夫なのか?なんだか顔色がよくない気がするけど」


栄治が聞くと、碧華が少し考えながら答えた。


「大丈夫。ただの寝不足だから。ケガもたいしたことなかったし。仕事もなんとかめどがたったから。明日もう一度会社に顔を出すつもり、出版社の人とも帰国する前にもう一度会えないかって昨日言われているし・・・娘たちは頼りになるボーイフレンドがついてくれているから安心だし、今まで専業主婦していたから、急に仕事で人と接してばかりだから少し精神的に疲れがでているだけだと思うわ。この後リリーさんにエステに連れて行ってもらうことにしてるからすぐ回復するから大丈夫よ。この歳で仕事があるってありがたいしね。できるだけ頑張るつもり、元々体は丈夫だから心配しないで、栄治さんのほうこそ、無理して夜中までテレビみたりしたら駄目だよ」


「わかった。まあレヴァント家の方たちがついてるからあんまり心配してないよ」

「私もお母さんがいるから心配してない」


二人は顔を見合わせて笑い合った。碧華は栄治のこういうさり気ない優しい言葉と笑顔が好きだった。

この人だからこそ、自分が自由に好きなことができるのだと、改めて感謝の気持でいっぱいになった。


碧華は笑顔で別れ、栄治と広の二人は、先に日本へと帰国して行った。



その日は碧華はリリーに連れられ、初めてエステというものを経験した。そしてリリーは碧華を行きつけの高級ブティックやサロンに連れて行き、全身を磨き上げてくれた。その夕方、栞たちと合流した碧華は娘たちも素敵な服をきて髪の毛も可愛く結い上げられ、変身しているのに感激していた。


「二人とも可愛いじゃない」

「ママも」

「さすが私の娘ねえ・・そうだ写真撮ろう。来年の年賀状はこれで決まりだね」

「パパは?」


栞が聞くと碧華は


「ビルさんがパパの写真をたくさん撮ったから、携帯に送信してくれるって言ってたから編集すればバッチリよ」


その後碧華は娘たちと三人で記念写真を撮った。




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