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和解

「ねえレベンダ、やっぱりあれはやり過ぎだったんじゃないかしら」

「そうよねえ・・・あれでは仲良くなるどころか、完全に嫌われてしまいましたわ」


「なっ何よ、みんなも私達の仲間に入る儀式だって賛成したじゃない。それにあれぐらいしたって罰はあたりませんわよ。私達のライフを奪った子なんですもの」


「そうですけれど・・・」

「ねえ、今からでもみんなで謝りに行きませんこと」

「でもあってくださるかしら?」


「そうよ、あんなひどいことしたんだもの。きっと許してはくださらないわよ」


「ああ~もうどうせ私が全部悪いんでしょ」

「そんなこと誰も言ってないでしょ」

「そうですわ」


その時、扉がノックされる音がして執事が顔をだした。


「お嬢様、ライフ・レヴァント様からお電話がかかっておりますが」

「えっライフから?」

「まあ、きっと彼女から聞いてお怒りの電話ですわよ。ああ神様~」


「なっ何よ、いいじゃない、この際思い切り嫌われればライフのこと諦められるじゃない」


レベンダは戸惑いながらも部屋に置いてある電話の受話器をとった。


「ハロ~ライフどうかなさって、こんな朝早くに」


〈ごめんね、君の携帯番号残ってなくて、邸宅の方に電話をしたら別邸の方にいるって教えてくれたんだ。その、今日時間もらえないかなと思って〉


「あら、わたくし、お友達と今日はパーティーの予定になってますの」


〈そうか、じゃあいつでもいいからさっ都合つく日があったら連絡してほしいんだけど〉


「・・・仕方ありませんわね。昨日の件かしら?」


〈えっ、そうそれもあるんだけど、実は、君にもう一度会いたいっていうもんだから、君に紹介したいなっ

て思ってね。他の子達にもこれから電話するつもりなんだけど〉


「会いたいですって?このわたくしに?どなたが?」


〈えっ? ああ優ちゃんだよ。優ちゃん日本に帰る前にどうしてももう一度君に会って話しがしたいっていうんだよ〉


〈ちょっとライフさん、違うでしょ。あっ違わなくないけど、私の事よりライフさんの事を〉


〈もう優ちゃんはだまっててよ。僕のことはいいんだよ。もう僕達のことを報告するだけで話しはつくか

ら〉


「あの~私を無視して電話口でいちゃつくの止めてもらえないかしら?」


〈あっごめん、えっとなんだったかな〉


「あなたの彼女が私に会いたいってお話しじゃなかったかしら」


〈そっ彼女? うわ~感動だあ、ねえ、聞いた優ちゃん彼女だって〉


「はいはいもういいわ。昨日はやり過ぎたわ。ちょっとからかうつもりだったのよ。ごめんなさいね。わざわざ会いにきてくださらなくても結構よ、他の子達もここにいるから伝えとくわ。なんなら、順番に謝りましょうか?」


〈えっそうなの?実はすぐそばまで来てるんだ〉


「えっそうですの?じゃあおはいりなさいよ。門まで迎えにでますわ」


レベンダはそういうと受話器を置いた。それを聞いていた友人達は驚きの表情を受かべながらオロオロしだした。


「ねえレベンダ、近くに来てるのライフ君と彼女さん?」

「まあ~大変、わたくしたちどんな顔をすればいいのかしら」


彼女達は気まずい顔で互いの顔をみあった。




 それから十分後、ライフと優が屋敷に招き入れられ、レベンダの部屋へ通された。

そこは一階で窓からは素晴らしい庭園が一望できた。


全体が白を基調とした部屋で可愛い白の調度品が壁伝いに配置されており、本棚にはぎっしり天井まで本が並べられていた。


真ん中には丸い大きなテーブルが置かれどれも高級家具であることは一目瞭然だった。

ライフの後に続いてその部屋に入った優は緊張でつまずきそうになっていた。

こんなかわいい部屋に入ったことがないからだ。


優は目を輝かせキョロキョロしながらライフの後に続き言われるまま、ライフの隣の席に腰をおろした。


「そんなにこの部屋が珍しいかしら?」

「あっすっすみません。まるでお姫様のお部屋みたいで」


優は小さな声で言った。


「あらここは別邸だから、本邸のわたくしの部屋はもっと素敵ですわよ」

「いいなあ~私もこんな部屋で生活してみたいな~」


優は小さく日本語でうらやましそうにつぶやいた。

その顔をみて一同は突然笑い出した。

優は真っ赤になって下を向いてしまった。


「あっ笑ってごめんなさい、あんまりあなたが可愛いからつい。ねえ皆様」

「ええ、日本人形みたいだわ。ライフさんが夢中になるのわかる気がしますわ」


「そうね、ねえ優さん、昨日は本当にごめんなさい。本当はわたくしたちから謝りにお伺いしなきゃいけない所でしたのに」


「あっいいえ、私の方こそ生意気な態度をとってしまってすみませんでした」


優はそういうと立ち上がり頭を下げた。

すると、彼女達も立ち上がり頭を下げたのだ。

それから、レベンダは自己紹介を兼ねて、順番に名前を名乗って言った。

そして最後に優も自己紹介を済ませた。


「よかった、これで一件落着だね」


レベンダと優が仲直りの握手を交わしたところでライフが言った。


「ライフさん、まだ終わっていないわ。今度はあなたの番でしょ」


「え~僕はもういいよ。さっきもいっただろ、僕は誰とも付き合っていなかったんだから、僕は謝罪することは何もしてないんだから」


「だったらどうして昨日みたいなことになるんですか?何かこの方々にしてるからでしょ。ライフさん自分の都合が悪いことはすぐ忘れるところあるから信用できません」


「もう優ちゃん、それ地味に傷つくよ」


二人が言い合いを始めるのをレベンダ達は驚いて聞いていたが、次第に笑い出した。

ライフと優は真っ赤になって互いの顔を見あった。


「仲がよろしいのね。ねえ、あなたたち本当の所どうなんですの?お付き合いなさっているの?ライフきちんと告白したの?」


「ああ、そのことでは君たちに感謝しなきゃ。ありがとう、昨日のことがきっかけで、ようやく優ちゃんが僕と付き合ってくれることになったんだ」


「まあ、そうでしたの。おめでとうございます」


「昨日のことが原因で日本に帰られてしまわれたらどうしようかと案じておりましたのよ」


「そうですわ。本当にようございましたわ」


ライフの言葉を聞いたレベンダもその友達たちも心から祝福しているかのようにおめでとうという言葉をかけてきた。


「あっあの、でもレベンダさん、あの・・・本当にライフさんとお付き合いしていらしたんじゃないんですか?」


「えっ?」

「優ちゃん、昨日も言っただろ。僕は今まで誰とも付き合ったことないって」

「でも・・・」


「優さん、ご安心なさって、あれは冗談ですわよ、確かに高校生の時は本気でライフのことを好きだったわよ。それは否定しないわ。ライフはアイドル的存在だったもの。でもクリスマス休暇から戻ったの時だったかしら、ひとめぼれした~なんて突然言い出してから、ライフ変わったじゃない。相変わらず私達とデートはしてくれても、いつもスマホいじってにやけて。私達のことまるで眼中にないんだろうなってわかってたわ。一緒に連れて歩くとみんな振り向くし楽しいから遊んでいただけよ。大学に入った途端連絡が途切れちゃったけどね」


「ええ~僕そんなことしてた?」

「ええ、していたわ。優さんとメールのやり取りをしてらしたんでしょ?」

「えっ?私そんなに頻繁にメールやり取りしてなかったですよね」

「あっあの時はその…栞ちゃんとメールのやり取りというか…」

「えっ栞ちゃんと?どうして?」

「ああ~それはその…」

「栞ちゃんて?まさか二股をかけてらしたの?」

「ちっ違うよ。栞ちゃんはエンリーの婚約者で優ちゃんのお姉さんだよ」


「ええ~エンリーくん婚約していたの?じゃあ昨日エンリーくんと一緒にいらしたあの方が優さんのお姉様なの?」


「そうだよ。ずっとお互いが撮った写真交換してたんだよ」

「写真交換?」


「そうだよ、僕はエンリーの写真を隠し撮りして、栞ちゃんからは優ちゃんの写真を送ってもらってたんだ」


「ええ~そんなことをずっとしてたの?もう栞ちゃんたら、戻ったらとっちめなきゃ」


「だっ駄目だよ、二人の仲が悪くなるといけないだろ。もうやってないから、ねっ優ちゃん今の事は忘れてよ」


「じゃあ、後で栞ちゃんが送った写真を全部私に見せてくださいね。保存してるんでしょ」


「ええ~、見せてもいいけど消せなんて言わないよね」


「あら当然消すわよ。栞ちゃんったらどうせろくな写真送ってないに違いないんだから」

「ええ~やだよ、だったら見せない」

「ライフさん!」


 二人がまたにらみ合いを始めたのでレベンダが大きなため息をつきながら言った。


「はあ~もうその辺にしていただけないかしら。そんなに目の前でいちゃつかれたら私たちいずらくなりますわ」


「あっごめんなさい」

「いいのよ。私も昨日はごめんなさいね」


「いいえ、ちょっと驚きましたけど、私のママが言う通り、チャンスですから?」

「チャンス?」


「はい、私、アトラスにもお友達欲しいなってずっと思っていたんです。私のような庶民では無理かと思うんですけど・・・ライフさんのお友達の方だったら、私ともお友達になってもらえないかなっていう下心があって今日ライフさんについてきたんです。ごめんなさい勝手にそんなこと思ったりして」


その言葉を聞いてレベンダは立ち上がると突然優の側に駆け寄りギュッと抱きしめた。


「私も以前からあなたのことはお見掛けしていましたのよ。でもあなたはどこにいらしててもずっとライフやエンリーくんとばかり話していて近寄れなかったんですもの」


「そうですわ。わたくしたちライフくんへの思いは終わっておりますわ。私達の目的はあなたなんですもの。興味がありますわ。。このライフくんを射止めた最初の日本人なんですもの。それに、あなたはあのディオレス・ルイ社が販売しているAOKA・SKY先生の娘さんなのでしょ?」


「えっええ」


「きゃ~やっぱり、私達、あの方の大ファンなの。昨日も本を数冊購入しましたのよ」


「ねえ、お話しをお聞きしたいの、あちらでお話ししませんこと」


そういうとライフを押しのけ優を連れ去ってしまった。


「ちょっと、君たち! 僕たちはこれから」


レベンダの友達は優を取り囲んで楽しそうに優に交互に話しかけていた。

優も嬉しそうに話しをしていた。

しかしレベンダだけはその輪には入らず、ポツンと一人になったライフに近づき話しかけた。


「お諦めなさいな。あの子達の興味はもうあなたではなく優さんに向いているんですもの」

「僕うぬぼれてたのかな。もてるって」

「そうね、可哀そうに。慰めてあげましょうか?」


「遠慮しとくよ、僕はもう迷わないって決めたんだ。それにまた誤解されると、昨日みたいに家族全員を敵にまわすと面倒だからね」


「あら、ご家族みんな優さんの味方でしたの?」

「そうだよ、みんなして僕を攻めるんだ。参ったよすごい剣幕でさ」


「あら、でもわかる気がいたしますわ。優さんて可愛らしい方だもの。女のわたくしでも守ってさしあげたくなるわ。いじめたくもなりますけど」


「いじめるのだけはなしで頼むよ。また落ち込まれて僕をあきらめるとか言われるとこまるからさっ」


「仕方ありませんわね」


ライフとレベンダは顔を見あわせて笑いあった。



 その後、優と特にレベンダは親友になり、その後長い付き合いになるのであった。


時にライフが嫉妬するぐらいに、十年後レベンダがバルバド財閥の社長の座に就任した後も、生涯の友として優とは交流が続いたのだった。


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