【第8話】僕の夢の国
「ふあぁぁぁ、………ん?」
目が覚めると霧の中にいた。寝ぼけてたため、一瞬大量のお化けと見間違え危うく船から落ちるところだった。
「ピーピ!」その鳴き声にびっくりしてまた落ちそうになった。今までこの船に僕以外誰も乗ったことがなかったからな。「ピィピ!」
”おはよう”と言ってるのか、それとも
”なんで落ちそうになってんだ馬鹿じゃねえのか?”とでも言ってるのだろうか。
出来れば前者であって欲しい。
「さて、朝ごはんでも……お?」
いつの間にかどこかの島にたどり着いていた。霧であまり島の様子は見えなかったが、草の色がおかしい事に気づいた。
…ん?霧の中から誰かが来る!…………
それは色とりどりの身長20センチほどしかない二足歩行のくまさん達だった。
こんな熊は見たことがない。いつも持ち歩いてる図鑑にも載ってないし。
そんな事を考えてるうちにラウラが警戒している事に気づいた。くまさんは肉食動物なのでラウラを食べてしまう可能性だってあるわけだ。「………」
くまさん達は”着いてこい”と言いたげな顔でこっちを見ながら霧の中へと歩いていった。念の為ラウラを船に待機させてから、くまさん達のあとをつける事にした。…………霧はすぐに晴れた。そこでようやく周りの風景が見えた。そこはかなり異質な所だった。周りにお菓子でできた家や木があった。普通はこれを見たら”なんてステキ!まるで夢のよう!”
と言うだろう。だが僕は何故かここに少し狂気を感じた。
「………」くまさん達の目的の場所へ着いたらしい。そこは小さな村のようだった。人はいるのかな?と思ったがくまさん達しか居ないようだ。
何なんだここは。いつの間にかここまで連れてきたくまさん達はいなくなっていた。…とりあえずここを探険しよう。何かがあるとは思えないが。………………
ここは図書館だろうか。本がいっぱいある。僕はここの文字が気になり、試しに一冊読んでみた。そして僕は驚いた。
人の文字と同じなのだ!くまさん達がそれを理解するとは思えないし、多分昔はここに人が住んでたのだろう。…なんで居なくなった?それにこのくまさん達は何なんだ?うーん…とりあえずこの本を読んでみよう。
僕の夢の国 作:(塗りつぶされている)
きらいだ。みんなぼくをくるしめる。
どんなひとだろうとどんなどうぶつだろうと。そうおもってたけどちがった。
ぼくをわかってくれるひとがいた!
そのひとはぼくをゆめのくにへしょうたいしてくれた!ぼくはいきかたがわかんなかったからきいてみた、すると。
「人を(塗りつぶされている)」
なんだ、そんなかんたんなのか!
さっそくやってみよう!そしてそれをやってそのひとのところへもどってみた。
すると…とんで!おちて!まわって!
わらって!ないて!だいて!とんで!
ゆめのくにへついた!ここにはぼくののぞむものがぜんぶある!ほんとうにしあわせだ!本当に?うん!ほんとうだよ!
きらいなものがなにひとつない!
ひとつあるよ。え?なに?
「それは君自身とロミ·ポーカーだ」
!?自分の名前が書いてある!なんだこれは!?またなんかの嫌がらせか?
パタパタパタ。うん?本棚から本が落ちてくる。パタパタパタ。パタパタパタ。
どんどん落ちてくる。まるで本が無限にあるようだ。
「あはは!あはは!鬼ごっこしよう?」
!?声がした方に振り向くと、くまがいた。嫌な予感がして僕は図書館の奥へ逃げだした。……扉だ!裏口かもしれない!僕は扉を思いっきり開けた。がそれが間違いだった。「うわぁぁぁ!」
扉の先には何も無かった。僕はどこかに落ちていった。