【第35話】ちょっとした
はあぁぁぁぁ、疲れたー!
勝ったには勝ったのだがなんだがスッキリしない。
割と長年の夢だったサニィを倒す夢が誰かに協力してもらって叶うなんてなぁ。しかも不死身だから閉じ込めるしかないとか!ふざけんじゃねぇよ。
しかもしかも村人達に感謝されるしなぁ。俺はそういうのはキライなんだよ。イライラするなァ!
……気を紛らわす為に散歩でもするかー。
「HEAL!……あまり良くならないかぁ。」
「よっ!えーーとロミさん。お医者さんのマネゴトかい?」
「この村には回復魔法を使える人は居ないからな。HEALしか使えないけど回復魔法が使える僕が村中の人を回復して回ってる訳だ。」
「ふーん。どうせ生き返るんだし殺せば?」
「もしサニィが蘇生魔法を使うのを止めた場合取り返しがつかない事になる。今のあいつの状況なら有り得るだろう。」
「まぁ確かにぎゅうぎゅうのところに閉じ込められたら辛くなって自害しようと試みるかもな。」
「そういえばサニィって一体何なんだ?事情が分からないままサニィとの戦いに巻き込まれたんだが。」
「あー……もう説明するの面倒くさいからいいや。」
「………そうか。」
「じゃあ俺はお嬢ちゃんと鳥ちゃんの所に行って来るか。」
「さっきからえらくナカムラの事を気にかけてるな?」
「あいつの事気に入ってるんだ。それに気になる事もあるしな。」
「ふーん。だがナカムラとラウラに変な事するなよ。お前はイマイチ信用ならないんだ。」
「村の英雄サマに言う事か?まぁいいや、行ってくるわ。」
「………そうだ、僕も行かなきゃ行けない所があったな。」
最近語り手がコロコロ変わって分かりにくいかも知れないけどロミだ。
という訳で例の(霊の)森に来ている。
後で面ちゃんの腕を修理するって話だったからな。
「あれは………おーーーい!人間ーーー!」
「霊田と化け男じゃないか。どうしたんだ?その帽子。」
「ああこれか?ネズミのばぁちゃんに作ってもらったんだ!良いだろこの麦わら帽子!!」
「俺の水色のキャップもイケイケだろ?」
「意外に似合ってるぞ。」
「そうだろうそうだろう!俺達は細身だからなんでも似合うんだ。」
「お化けに細身とかあるのか?」
「時に人間。どうしたんだ?こんなとこに来て。」
「ああ、さっき面ちゃんの腕を切断しちゃったからな。修理しに来ている。」
「お前さっき殺されかけたのに良い奴だな!そんなもんほっとけばいいのに。」
「腕を切られたままなのは可哀想だろ。」
「それお前が言うか?まぁいい、面ちゃんの所へ案内するぜ。」
「人間、付いてきな!」
「着いたぞ!あそこに居るのが面ちゃんだ!」
先程までの不気味な雰囲気とは打って変わって神秘的な雰囲気の場所に出た。その場所は少し霧が出ていて、丘の様になっておりその周りを円状に木が囲んでる。そしてその丘のてっぺんにある岩の上に座っているのは紛れもなく面ちゃんだった。あと例の女の人の幽霊。
「あ!おーい!霊田くん、化け男くん、勘違いの人ー!」
「まるで僕が勘違いしたみたいな呼び名だな。」
「私に勘違いさせたのはあなたでしょ。」
「そっちが勝手に勘違いしたんだろ。」
「そうだ、面ちゃん喜べ!人間が面ちゃんの腕を直してくれるそうだ!」
「ああ、そうだった。材料は村で揃えて来たからな。すぐ直る。ちょっと腕貸してみろ。」
「でもそう言ってるあなたも片手ないけど修理出来るの?なかなか大変じゃない?」
お前がそうしたんだけどな、と言いかけたが僕も面ちゃんの腕を切断したので強く言えない……。
「だいたい五分ぐらいで終わる。」
「五分かぁ。化け男、片手で五分ってどれくらいなんだ?早いのか?」
「うーーん。どうなんだろうな。多分早いんじゃないのか?」
「おー!勘違いの人藁で腕作るの上手だねー!今度作り方教えてよ。その藁の腕であのスケスケ毒舌ふわふわちょっと可愛い性悪意地悪鬼畜悪人顔変態お化け野郎を脅かしてやるんだから。」
「あ?てめぇ何変な呼び方してくれてんだ。そもそもオレは変態じゃねぇだろ。」
「げっ!黄泉三郎くん…」
「黄泉三郎先輩。人に呪いをかけてじわじわと怖がらせるのが趣味なのはある意味変態な気がする。」
「全くもってその通りだな。」
「ふん。で?お前らはここで何してるんだ?」
「僕が切っちゃった面ちゃんの腕を直してるんだ(このお話で四回目の説明)。」
「そうか。てめぇも物好きだな。」
「なぁなぁ!せっかく皆居るんだからピクニックでもしようぜ!」
「名案ね化け男くん!ピクニック♪ピクニック♪」
「やっぱりお前は天才だ!親友として鼻が高いぜ!」
「じゃあ俺はお弁当とシート取ってくるぜ!」
「じゃあ俺はネズミとネズミのばぁちゃんが来ないか誘ってみるぜ!」
ピクニックか……そういえば一回もやった事ないな。お腹も丁度へってるし、面ちゃんの腕を直したら是非とも参加しよう。そういえばここの森の果物は凄く美味しかったな。思い出しただけでよだれが出てしまう。じゅるり。
「勝手にやってろ。オレは帰るぜ。」
「えー!?黄泉三郎先輩はピクニックしないの!?」
「あたりめぇだろ。オレがそんな事する様な奴だと思うか?」
「ここで来ないなんて!いくじなし!それでも男!?」
「ピクニックに参加するかどうかは男女関係ねぇだろ。オレは帰るぜ。」
「まぁまぁ、そんなに拒否しなくても良いじゃないか。たまには皆でわいわい騒ぐのもいいものだぞ。」
「うるせぇ。帰るものは帰るんだ。」
「ふっふっふー。お前ら、この霊田様に名案があるぜ。」
「本当か!?頼む!お前だけが頼りだ!」
「黄泉三郎先輩。ピクニックに参加すればあなたの大好きな"マグロのエビフライ"が食べれますよー。」
「………マグロのエビフライ………だと!?」
「せっかくのマグロのエビフライを食べるチャンスを逃してしまうかもなぁー?」
「ちっ!やり方が卑怯だぞ!」
「お前がそれ言うか?」
「さぁー!ピクニックに参加するか?しないか!?」
「ぐぬぬぬぬぬぬぬぬぬぬぬぬ…………!!!……分かった、てめぇ等に付き合ってやるよ!」
「よっしゃあ!説得出来たぜ!」
「流石だ!じゃあお弁当とシートを持ってくるぜ!」
「よし!ネズミとネズミのばぁちゃんを誘ってくるぜ!」
「お前らが戻ってくるまでには面ちゃんの腕は直るぞ。」
「りょーかい!」
「ピクニック♪ピクニック♪」
さて、化け男と霊田は行っちゃったし、僕は作業に集中するか。