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海の旅人  作者: お花さん
33/35

【第33話】魔獣の説得

お兄さんと別れ、私はサニィさんの家に来ていた。

確か赤い首輪を探してくればいいんでしたっけ。私は部屋に入り、早速首輪を探し始めた。

まずはサニィさんが居た部屋が怪しいと思うのでそこを調べて見よう。……………








あった!


案の定サニィさんの居た部屋に例の首輪と思われる物を発見した。あとはこれを村に持って帰るだけで村の人達と村で暴れていた怪物は救われる。私は胸を撫で下ろし、何となく窓から外を覗いてみるとある恐ろしい事に気づいた。

さっきまでそこで転がってた筈のサニィさんの死体が無いのだ!

「そう。お察しの通り僕は生きてるよ。」

少し怒った様なその声は間違いない死んだ筈のサニィさんの声だった。

「どこ!?どこにいるの!?」

「ふふふ、青ざめてるね。そりゃそうさ。確実に始末した筈の人間が生きていたんだから。」

「確実に始末したって………私は」

「まさかアイツが誰かと組むなんてな。油断してたよ。だが死ぬ間際に君にCheckしたお陰で君自身はそこまで強くない事が分かった。君を殺してからゆっくりとあいつを殺る。」

「!!」

部屋の壁から紫色に光った無数の手が伸びる。

私は手から逃れようとドアに向かって走った!


このまま行けば逃げれる!


そう思いドアノブを掴んだその時…

「やっとこっちに来てくれたね。Explosion。」

ドアの向こうから物凄く大きな音と共に、私の体は吹っ飛び、窓から外に落ちてしまった。

「勘のいい奴だね。あのまま身を委ねてたら確実に死体を残さず吹き飛んでたのに。」

「あ……う……」

「待っててね。すぐ始末するから。」
















ああ、どうも。ロミだ。

今僕は村長に言われてとある家に向かっている。

よく分からない男がやって来てほぼ一人で魔獣を食い止めてるからその間にとある家に行けと言われたんだが………その家に何の用があるんだろう?えーーと村長の話によればここら辺にある筈なんだが……。



あ!あった!あの家か!

その家はとても綺麗で人が住んでいる様に思える。村から遠いこんな場所で一体誰が暮らしてるんだ?割と危険なこの島で一人で暮らすなんて自殺行為だろう。

そんな事を考えてると…


どっかあぁぁあああぁん!!!

…ドサッ


と家の中で爆発音が響き、その直後に何かが落ちたような音が聞こえた。

家の爆発音も気になるが家から落ちた物が気になる。

僕は家の裏に行き、窓から落ちたと思われるその物を確認しに行った。そしてそのには思わぬ物が転がっていた。

「!?ナカムラ!!」

そこにはボロボロのナカムラが転がっていた!

「おい!しっかりしろ!ナカムラ!」

「お……兄……さ………気を…付け……」

「ふーん。君もこいつらの仲間か。」

声のした方を振り返るとただならぬ雰囲気の青年が居た。

「…なんだお前は。まさかお前がこんな事を!?」

「だってー。こちとら一回殺されてるんだよ?報復をするのは当たり前でしょう?」

「殺された…?ナカムラが殺したっていうのか!?」

「うん。その子ともう一人の男が協力してね。」

もう一人の男?それっぽい奴と言えば………さっき村にやって来た青年ぐらいしか居ないか。あいつそんなに危ない奴だったのか…。

「さて、そんな事はどうでもいい。今から君は死ぬんだからね。」

「おい。未だに状況が呑み込めないぞ。もっと詳しく…」


バンッ!!


小さい爆発音が辺りに響き、気が付けばその青年は頬から血を流していた。

「…へぇ、よく僕が魔法を撃とうとしたって分かったね。さっきから君に僕の魂胆がバレバレだね。」

口調こそ穏やかだが、ナカムラを見るその目は殺意に満ち溢れてた。状況がよく分からないがこの人が悪い人な気がする。僕はポーチからナイフを取り出し、戦闘体制に入る。

「Check……君もそんなに強くないみたいだね。始末させてもらおう。食らえ!Thunderice!」

!!

電気を纏った氷柱が僕の方へ向かってくる!

間一髪の所で避けたが、まだまだ氷柱は飛んでくる。

僕は一般人よりは身体能力がいいので、全ての氷柱を避けることに成功する。この隙に彼との距離を縮め…!

「うし…ろ!」

!!

先程避けた筈の氷柱が後ろから飛んでくる!

どうやら氷柱には意思があり、僕を追跡している様だ。

僕は氷柱を避ける為に隣にあった窓に飛び込み、氷柱を避けた。

「君、身体能力はそこそこあっても君自身はポンコツの様だね。戻ってくる氷柱に気付かない様なら君は僕に勝てない。」

「くっ!」

彼の言う通りだ。このままでは僕は成す術もなく、奴に敗北してしまうだろう。

だが引く訳にはいかない!

僕は窓から外に戻って、青年の方へ走り出す。

「向かって来るのか、逃げ出せばいいものを。」

「これならどうだ!」

僕はポーチからありったけの木材を取り出し、奴の元へ投げつける。そしてその木材めがけて…

「FIRE!」

木材は燃えていき、青年の周りを囲うように燃え広がった。

「これで僕が身動き出来ないと思ったらとんだ大馬鹿者だよ。せっかくだし派手にやろうか。Explosion。」

「うわあああ!!」

彼の周りが爆発し、爆風で炎は消え、僕は吹き飛ばされた。周りは煙でよく見えない。

「死にに来るとは、愚かですねぇ。…うん?ああ。なるほどね。…ちっ。あいつらふざけやがって!」










よし、ここまで来ればひとまず安心だろう。

先程家の中から爆発音が聞こえてきたのであいつが爆発の魔法を使えるかもと思ってたが予想は当たっていた様だ。

古典的な手だがあいつの爆発で周りを見えなくし、その隙にナカムラを連れて逃げ出すという作戦は見事に成功した。

「すまんナカムラ。これぐらいしかしてやれないが………HEAL。」

HEALは癒す魔法の中でも特に弱く、せいぜい軽めの怪我を治すぐらいのちからしかないが、無いよりはマシだろう。

「う…お兄さん……ありがとうございます…」

「こんな事しか出来なくてごめんな。」

「いえ、お兄さんが来てくれてなければ私は今頃死んでいました……ありがとうございます。」

さっきあの青年との戦いの時二回も僕の命を救ってくれたのはそっちの方なんだけどな。助けられたのにお礼を言われて少し胸苦しい。

「ムラヤマ、村へ戻ろう。おんぶで良いか?」

「でも……あなただって爆発を食らってふらふらじゃないですか。」

「大丈夫だ。これしきの痛み、どうって事ない。」

「でも…」

「今のお前の状態じゃまともに歩けないだろ?それにもたもたしてるとあの青年に見つかる。」

「分かりました。すいません…迷惑掛けて……」

「そんな事ないさ。じゃあ行くぞ。少し揺れるかも知れないけど我慢してくれ。」


















「はぁ…はぁ…やっと着いた…!」

「ありがとうございます。あとはこの首輪を村長に渡せばあの怪物の事は解決です!」

村では相変わらず地獄の様な光景だ。先程と違う点といえば今度は傷ついた犬型の魔獣が至る所に倒れていた事だ。たった一匹でここまでの人数を相手にできたあの魔獣はまさに"恐ろしい魔獣"の異名がふさわしい。

「おーーい。村長ー!持ってきたぞー!」

「旦那!待ちくたびれましたよ!早くその首輪を!」

「どうぞ。村長さん。」

「ありがとうございます!ロミさん!奏子さん!」

村長は首輪と本と骨のおもちゃを持って恐ろしい魔獣の前に立った。

「アルドロフさん!これを見てください。これはあなたのご主人の物です。」

「ガアアァァァァ!」

「見てくださいこのアルバムの写真を、あなたと主人の姿を!」

「ウゥ…ガァァァァ!」

「あなたが主人を殺した人を恨むのは分かります。ですが憎しみは何も産みません。あなたの大好きだった人も戻りません。」

「グルルルルルル!」

「あなたの大好きだった居場所が無くなったのならその事を恨まずに新しい居場所を作りましょう!あなた達の面倒は私達が見ます。あなたのご主人を殺した人については私達に任せて下さい。」

「グルルル…」

「!!光が!」

魔獣の体からは青白い光は無くなっており、他の犬型の魔獣と同じ姿になっていた。

最後に骨のおもちゃと本と首輪の匂いを嗅いでいた犬型の魔獣は泣いていた。

「新しい思い出、出来ると良いですね。」

「…そうだな。」

「はあぁぁぁぁ、つーかーれーたー!…お、お嬢ちゃんじゃん。やっほ。」

「…お兄さん。」

「まだそんな怒ったカオしてるの?もう許してよ。ね?」

「なんだ?知り合いか?」

ふんっ!とナカムラがそっぽ向く。それを見た青年は苦笑いしている。

先程加勢に来てくれた人とナカムラはどうやら面識があるらしい。そういえばさっきあの青年がナカムラとこの人がグルだって言ってたな。どういう事か聞いてみよう。

「そういえばお前らが協力してある青年を殺したって聞いたんだが…」

「ああ。それは俺がこの子を利用してただけでこの子はそんな気は無かったよ。ねー?」

「!そうだ!聞いてください!サニィさんが生きていたんです!」

「は?まさか。確実に殺した筈だ。蘇生魔法も自分自身には使えない筈だ。」

「いえ、あの人の場合可能です。」

話を聞いていた村長が会話に入ってくる。

「あの人特殊な魔法、Energiestockというのが使えまして。その魔法は自分の魔力を別の場所に滞在させる事が出来るんです。そして自分が死んでも残った魔力が自分に蘇生魔法をかけてくれるんです。」

「はぁぁ。また始末しに行かなきゃな。」

「その必要は無い。」

声の主を僕らは皆知っていた。そいつはちょうど今話題に出てきていたサニィ?だった!

「へぇ。あの狼は元の姿に戻ったんだ。じゃあ今まで邪魔だった分たっぷり痛めつけなきゃね。Darknessspear!」

「ガアァ!」

「「アルドロフ!!」」

サニィから放たれた三本の黒い槍が突き刺さり、アルドロフから血が大量に溢れ出ている。まずい!早く手当てしないと!

「ああ、そこの君。そいつは不死だから焦らなくてもいいよ。後で無限に続く痛みを味あわせなきゃ。」

「サニィ。前々から思ってたけどお前クズだな。」

「君にだけは言われたく無いよ。」

「お前ら、下がってな。こいつは俺一人で殺る。」

「今度こそやられはしないよ。僕の"本気"を見せてやる。」

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