96:そして世界の真実は明かされる(1)
「え?矛盾って何?お義姉ちゃん?」
「嘘をついてまで庇おうとした第三聖女を犯人と断定するメッセージを残す。これ以上の矛盾があるか?」
「え?でも、お兄ちゃんは抜けてるから、そんなことも有り得るよ?」
「それにお前の理屈で行けば『レムリに騙されるな』では無く……」
「もういいわ、そんな些細な事」
その声の主に一同が目を向けた。それは、間違いなくレムリ。
「何?もう良いとは?」
「全てわたくしの計画だと申しているのです」
レムリが認めた。自分の計画だと……。
「レムリ、何を言っていますの?そんなはずが有り得ませんわっ!だって私は貴女、同じレムスタリアですものっ!」
「スタア?既にわたくし達は別々の人格ですよ?貴女が知らないわたくしも存在するのです」
スタアは言葉を失う。
「何故?ソレが本当なら何故、勇者様に罪を着せようなどと……」
「強いから?実際に世界を滅ぼせる力を持つ人物でなければならなかった。それだけです」
「ひ、酷い……」
リセルナも言葉を失う。
「どうやって呪ったのかな?魔王の呪いだよ?そう簡単に真似できないはずだよね?そして、真実を打ち明けるなんて……お兄さんの苦労が」
「魔王ルクス、魔王は貴方やハジール以外にも他の世界に存在しているのですよ?それにもう、隠す必要は無いのです」
「他の世界の魔王が手を貸した……それだけが、分からなかったんだ。ゴメンお兄さん、もう誤魔化せない」
ルクスも黙る。
「レムリ様、何故こんな真似を?世界を改変して九つめの世界を手に入れて何がしたかったのですかっ!」
「葵、貴女には警戒していたのよ?『星読み』だけはさせては計画が露わになってしまうから。だからファウを使って自身の『星読み』に疑問を持たせたの」
「……そ、そんな」
「九つめの世界が欲しい理由は、私がそこで生まれるから。誕生の為に必要なの」
葵は絶句する。何を言っているの?レムリ様………。生まれる為とは前後が逆だ。生まれてなければ改変出来ないじゃないですか?
「レムリ、こんなバカな真似をするなんて。でも、貴女が一連の張本人だと言うのならばこのまま何事もなく済むとは思っていないですわね?」
「ええ、勿論ですわ。リテリ姉さま……」
「わたくし『蒼の聖女』レムスタリア=アルバーノ=フェイゼノルンは逃げも隠れも致しません」
「残念です……貴女はもはや、聖女を名乗る資格はありませんっ!」
リテリの手に大鎌が現れた。
「『月の聖女』リテリ=ユイーシ=ルクルブが断罪しますっ!」
「…………」
「…………」
「…………」
「…………」
「…………」
「…………」
「…………」
「……釣れたのう……」
魔王ルクスがそう言った。
「そこに居たか」
ソフィアがそう言った。
一同の目はリテリを捉えていた。
「ファウ=バルドを手に入れることに焦って、最後の最後で尻尾をだしたの?」
「?」
リテリは皆を見回した。明らかに、それは自分に向けられた言葉だった。
「分からぬか?ファウ=バルドのメッセージは『レムリに騙されるな』では無く、『レムリに騙されろ』……じゃよ」
そう、「ソフィア」が協力してくれると前提ならば、この状況に持っていけたのだ。消えた皆を一堂に集める、そしてそこからが始まり。唯一の手立て。藁をもつかむとはこの事。
魔王ルクスは形態を変化せた。戦闘態勢に入ったのだ。
レムリ、スタアの『蒼鏡』。
葵の『折り鶴』。
リセルナの『七輝』。
ミユウの『豹』。
ソフィアの、『全域光殺』。
それそれがリテリに向けられた。
「さて、そろそろこの嘘だらけの物語も正真正銘に終わろうではないか?のう?」




