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84:魔人バルドVS魔神ボルト(1) 


「……バルド、どういうことかな?」


「昔話をしようか?」


「なっ!?」


「俺の元居た世界は極々(ごくごく)普通の世界だった。魔力も魔法も空想上の物だった。そんな俺の世界へ特殊スキルを持ち込んだ者がいた」


「俗にいうチート能力ってやつだ。本物だ、トリックだと世間を騒がせてたが、やがてそいつは本性を現す。好き勝手し、犯罪行為を行い、誰も、軍隊ですら止められない。そして極めつけは『不戦勝』だった。完全だった頃のソレは他者への対抗意識、向上心、目的意識、それらにも反応し人は無気力化していった。そして、世界は少しづつ死んでいったんだ」



「…………」



「……気づいたか?お前が今まで覗き見していた一連の騒動は、全てお前を騙すための芝居だったって事さ。お前ひとりだけの為に、お前を罠にはめる為だけに行われた……これは、そういう物語なんだよ」


「何のことだい?覗き見って僕はそんな事……」


「お前は、『ワールド・サーチ』で瞬時に世界の出来事を把握できる。それを利用させてもらった。まず、お前が興味を引きそうな物を準備した。宝珠を巡る一連の物語はお前の為に準備されたんだよ。過去改変出来る技術なんてお前が飛びつかない訳がない。つまり餌、囮だ」



「リスクはあったがのう……お主が以前にも世界を破滅させた『魔神』だとしたら、『魔王』が動かぬわけにはいくまい?」


そこに現れたのは魔王ルクスだった。その後ろには他の面々も……。


「何故、魔王ルクスが?死んだはずでは……」


「はて、何故そう思うのかの?こうしてピンピンしておるのにのう?」


「……そ、それは」


「とぼけても無駄だ。お前を『解析』済なんだよ。しっかりと出てるぜ『魔神』とな!いや、『解析』しなくとも俺が、俺だけはお前が『魔神』だと確証をもって言える!」


ボルトは俺を睨むが、構わない。これは、あの時人類が死に絶えた世界で誓った事だ。


「この計画を知っていたのは俺、ディア、ルクス、アンニージェだけだ。切っ掛けの始まりはレムスタリアの呪い。それは、『魔神』を排除する計画の下に始まった」


「悪いとは思ったがここが肝心じゃ、わしが実際呪った。ファウ=バルドとのやり取りを見ていたお主には説明する必要は無いはずだが概ねあの通りじゃよ。常に見守り、ケアはしていた。まぁ、言い訳にもならんが償いはこの件が終わったらするつもりじゃ」


「ルクス、俺も同罪だよ。レムスタリアには一生かけて償う」


「ファウ様……」


「おかげで私が生まれたのだと思えば、複雑な気持ちですわ」


 スタアが呟いた。


「魔王の隠れ家がフェイゼノルン邸の隣にあった真の理由はそれだ。レムスタリアの安全確保」


 ファウ=バルドは続ける。


「後は知っているだろう?ルクスが宝珠を狙って、その罪を俺に被せる計画。だが俺はそれを見破り、リセルナ死亡を回避し逃げる。その後、ルクスの計画を暴くもディアレスが真の黒幕で、宝珠を奪って逃走する。八個の宝珠が揃ったのを()()()()()お前は、ディアの前にのこのこ現れたというわけさ。ここまで手間をかけたのは、八個の宝珠が集まる不自然さが出ないようにだ。どうだ?上手くいってたか?」


「随分回りくどい事をしたもんだね。ファウ=バルド……お前は、まさか」


「そうさ、あの世界にて最後まで抵抗した一人だ!」


「ふん、滅んだ世界の敵討ちでもするつもりか」


「違うな、この世界が好きなだけだ。お前は飽きたら壊す者だ。いずれこの世界にも飽きて破滅させるだろう?」


「僕をあぶりだせたのは感心するよ。でも、どうするの?君たちの仲間は、もしかして僕を倒すために集めたのかい?無駄だよ。最強の彼女は消えてしまった。僕を誰が止められるっていうのさっ!!」


(違うよ。意図的に集めたんじゃない。皆、お兄さんに魅かれて集まったの。きっと貴方には一生理解できないわ)


 大笑いするボルト。


「その通りだ、だが消えただけだ。ここに居る」


(マスター頑張ったんだから後で、ご褒美くださいねっ)



「だが、ケリは俺が付ける。俺のわがままだが皆には手出しさせない」


「あははは。お前が俺に勝てるとでも?」



「さてボルト、お前と戦う前にやることがあったよ……」



「『スキル・ブレイク』!!発動!!」



「前世界の置き土産だ。これはお前が滅ぼした世界の人々が、必死に完成させた最後の希望だ。間に合わなかったが」


「「意味はあった」」


「なっ!」


ボルトの顔が青ざめた。


「言い忘れてたな。俺は魔人ファウ=バルド。人の希望を背負って『魔神』を倒す者だ」



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