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82:魔神システム DIA 


 その男は、突然目の前に現れた。


 両側に蒼い髪の女二人。


 小一時間前に勇者ボルトを送り出し、気持ちを落ち着かせる為に一杯飲もうとした矢先だった。


 ダギルス=オーニン。『世界鑑定協会』代表。目的のためには手段を択ばない男。


「何者だっ!誰か、誰かおらぬかっ!」


 数人の男と女が入って来る。


「いかがされましたっ、ダギルス様!」


 その場に立つ男を見て女が声を上げた。


「嘘っ!ファウ=バルドっ!」


 ほぼ同時に蒼い髪の一人が声を上げた。


「赤毛の女っ!!」



「よう、久しぶりだな、カーラ」


「貴方、遺跡で死んだと……」


「おっと、動かない方がいいぜ。この二人はエスリ王国第三聖女だ。あのソフィア=ヴァルキュリアを撃退した女だぜ」


 途端に、男たちの動きは止まる。互いに顔を見合わせ思案しているようだ。まぁ、嘘も方便だ。どうせソフィアが負け帰った情報はあるが、何が起こったかなんて知り様がないだろうからな……。


「そうか、奇遇だな。丁度先程お前の名前が出たところだ。……で、ファウ=バルドが何の用かの?」


「協会に用はない。あるのは『受け皿』だよ」


 ダギルスの表情が変わった。


「いかんっ!あれはいかんっ!」


「なるほど、お前らにもアレが分かったのか?」


「アレを使用したら何が起こるか分からんのだぞっ!危険すぎる!」


「目的のためには手段を択ばない男でも、自分の命に係わるかも知れないことには弱気か」


「……何とでも言え」


 ファウ=バルド『魔神』を名乗ったと、先ほど聞いたばかりだ。ソレが『受け皿』つまり『魔神システム』に用があるという。何が起こっているのだ。わしの知らない所で……。


「レムスタリア、後は任せた」


「はい、ファウ様」

「ええ、ファウ」


 俺は『受け皿』目指して進む。どうせいつのも場所だろう。俺が出入りしていた時から変わって無いはずだ。そうそう動かせる物でもないからな。


 ボタンキーのついた扉の前に付く。相変わらずここだけ世界観が狂う。俺の居た世界に似ていた。『解析』にて番号は分かった。扉が開く。


 そこには大きな球体か置かれていた。



『魔神システム』



 懐かしさと、後悔と、悔しさと、寂しさが入り混じった感情が沸き起こった。


 球体の中には人が入る空間がある。つまり、入ることが前提でつくられたのだ。


 このシステムは適合者を変える。『あるモノ』を壊す者へと。


「約束通り来たよ。待たせたか?Dia」


「お待ちしていました。マスター」


「ただいま、ディア=レス……」


「愛してるわ、マスター」


「ありがとう」


「……確かに、マスターです」



 世界鑑定協会』代表ダギルス=オーニンがディアレスを『魔神』と判断した理由がこれだった。

魔神システムと同じ名前を持つ勇者ディアレス。無関係なはずがない……と。



 さぁ、物語の本番だ。あの時に俺達が出来なかったことを今度こそ成そうか。


 すべて計画通り事は運んでいる。


 まだ、ばれていないはずだ。






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