07:聖女は真実を語るか?(3)
「これですっきりしましたわ。大体自然体こそ美しいのです。盛ってどうするのですか!盛って!無駄な肉の無いこのボディこそ至高ですわ!」
組んでた足を組み替える聖女様。
「合格ですわ。喜びなさい、褒めてるのよ?」
『レムスタリア』は長い髪を後ろで束ねる。ポニーテールってやつだ。これはこれで悪くない。
「別にこの胸の美を貴方が理解出来なかろうが、鷲掴みにされようがどうでも良いことですの。現状を解決出来ることに比べたら些細なことでしょ?」
「それは、不可抗力で……」
「う・る・さ・い!」
美人が怒ると怖いとは聞くが、なるほど迫力がある。
「単刀直入に聞くわ。貴方、呪いに詳しい……で、間違いないかしら?」
「まぁ、呪いに関してならそこそこ詳しいけど……」
(マスターは、呪いを受ける側のエキスパートです!つまり呪われる側です!魂に刻まれたその数!実に100!ぷっ)
笑ったね?
「なら、好都合ですわ。貴方に……」
「ちょっと待った!その前に教えてくれ。君は『レムスタリア』なんだよな?」
何言ってるのコイツ的な目で見られた。反省はしない。だってそうだろう?さっきまで『ほんわかぽやぽや』してた『聖女』が『高飛車女』に進化?退化?したのだ。ポニーテールじゃない、縦巻きロールこそ似合う、絶対!
「正真正銘の『レムスタリア』よ」
「では、先ほどまでのは演技なのか?」
「その答えなら『あの子』から既に聞いてるはずです。『あの子』は素直だから。それが分からないような無能なら必要ないわ!」
あの子?既に聞いてる?俺が?
何処かにそれらしい会話があったか?出会ってからこれまでの会話にあったのか?
(『解析』『レムスタリア』との会話『キーワード』はまかせる)
(了解、マスター……解析完了。文字列、音声共に出します)
「「いたずら好きですね、もう一人のわたくし」」
「「まず、わたくしの別人格で間違いないかと。」」
「「気が合いますね!わたくし達!あ、でも別人格でも元々わたくし達なのですから気が合って当然ですわね。」」
(元々わたくし達……とは『マスター』と『レムスタリア』を指すとのではなく『レムスタリア』と『レムスタリア』のことを指すと仮定)
(そう仮定した結果、別人格との発言『キーワード』より、現在の『レムスタリア』と先程までの『レムスタリア』は別の人格。『聖女』はひとつの個体ながら二つの意識を持つと推測されます)
あぁ……そういうことか……。
さっきの団子の話し。確信ついてたのか。素直に本当のことを述べただけだった。団子を買ったのは今の『レムスタリア』で食べたのはさっきまでの『レムスタリア』。
(結果、二人共に体重が増えた。何故なら二人は一つの身体だからだ!)
(……マスター。そこ、今必要ですか?)
(俺は、痩せてるよりも、どちらかと言えば……)
(マスターの好みは結構です)
(お、おう)
「理解しましたの?では、初めまして……とでも言うべきかしら?」
『聖女』『レムスタリア』は二つの人格を持つ。
つまりは二重人格者だ。
二重人格が現れるのは、辛い現実から自分自身を守る為に、別の人格を創り上げるのが一般的だ。要因は『虐待』『拷問』『罪の意識』と様々だ。
では、『レムスタリア』の場合はどうだろう?呪い云々の口振りから、何故そうなったのか予想は出来た。
彼女達が俺に対して一芝居うったことは間違いないのだが、これには前提が必要だ。俺が『レムスタリア』の中にあの時『転生』(?)することを知っていなければならない。
では、それを可能とする為に必要な鍵とは何か。
……神だ。間違いない
『神』が絡んでるとすれば全てが解決する。何せ『転生』させたのは『神』だ。意図的でなければ『聖女』の身体に『転生』とかどんな確率だよ。
ならば後は、俺が何故『聖女』の身体に『転生』しなければならなかったか。ここが全てにおいて重要だ。
「貴方への、依頼ですわ」
「『聖女レムスタリア』は呪われています。貴方にして欲しいのは『解呪』よ」