52:世界鑑定協会
「さて、お集りの皆様方。お手元の資料をご覧ください」
円卓に揃った参加者10名に資料が配られる。
それぞれが高価な衣服や装飾で身を着飾い、集まった者の年齢は若い女性から高齢の男性まで幅広い。
『ガルフ』は考える。
よりによって自分が進行役に抜擢されてしまうとは運が良いのか悪いのか……。
このメンバーの中では一番の新入りな自分だ、他のメンバーに至っては自分も名前も知らないだろう。いや、興味すら持ってはもらえないに違いない。
その点では今回の進行役は自分をアピールするいい機会だった。
「『受け皿』についての解析結果は9割の完了です」
資料を皆に配り終わった男が付け加えた。
「間もなく悲願の叶う時が現実として訪れるでしょう」
初老の男性が声を掛ける。資料など見ても居ない。全てあらかじめ知っていたかの早い段階での発言だった。恰幅のよい身体に腕組みしたまま眼鏡の上側から進行役の男を覗き込む。
「ここにきて、進みが遅くはないか?」
「何分、本来の持ち主が鑑定にロックをかけておりまして……」
ざわめく。みんな一様に心当たりがある様子だ。
「ファウ=バルドと言ったか、あの小僧。この中に三名ほど直接の関りを持った者たちがいたな」
顔を見合わせる者達。
「あの後、個人の鑑定屋などを開いておりました、遺跡にてソロ攻略中に失敗。死亡した様です」
「哀れな最後ですわね。しかし、これでこそ溜飲が下がるというもの。悔やまれるのは私のこの手であの世とやらに送ってやれなかったことね」
「酷い女だな。気のある風を装い、ざんざん利用してその言い草では、奴も浮かばれんな」
「そういうお前こそ罠にはめた張本人ではないですか?」
「ふん」
「で、奴には血の繋がらない家族が居たはずですが?」
「その点は心配するな。処置して売り払った。今頃は居もしない兄の敵を探し回っていることだろう」
「はははは、愉快だな。大人しく我々に協力しておれば良いものを」
「そう申すな。奴のお陰で「『受け皿』とは『何か』との手がかりが判明したのだからな」
「だが、奴の鑑定完了を待ってから事を起こしたらこのような遅れも無かったのではないか?」
資料をテーブルに叩きつける音が響く。
「いまさらそれを悔いたところでどうにもならん。事実、奴無しでここまで来たのだからな」
「では、いよいよ」
「我々が表舞台に立つ時が来た」




