47:第二聖女VS第三聖女(3)
小さな女の子は泣いている。
悲しかったのか辛かったのか痛かったのか忘れてしまった。
ただ、少女には日に日に黒く染まっていく自分の身体が怖かったのかも知れない。そうだ怖かった。一人が怖かった。夜が怖かった。
私は生まれた森の『悠久の揺り籠』の外れに居た。大きな木の中にをくり抜いた穴の中に居た。お母さんは日に三度だけ食事を持ってくる。
私が食べてる間、部屋に置かれたトイレの片付けをしてお掃除をして出ていく。
「ごめんね。#テ%」
いつも私に謝る。
私はお母さんの血が濃く出てしまったのだと言う。
……だから、いつも私に謝る。
極々、稀にだけ発症する。それが私に出てしまった。
だから、いつも私に謝る。
両手の指先、胸の上まで黒く染まった私の身体。
もう直ぐさよならだね。
……大好きなお母さん。
景色がいきなり変わった。
少年がいた。線の細いまだ子供らしい顔つき。大人でもなく子供でもなく頼りない。
いくつだろう?私よりはお兄さん。
そして、私よりも小さな女の子を連れている。
少年が何かをつぶやくと何かが身体から飛び出した。鎖だった。
その鎖で縛られた人から黒いものが浮かんできた。それが黒い人の顔になった。
気持ち悪い……鎖も黒い顔も気持ち悪い。
何だろう?アレ。
少年は何度も色々な場所に行ってはそれを繰り返す。
何度も何度も何度も何度も……。
もう慣れてしまった。
だって、その黒い顔は最後には消えてしまうから怖くない。
少年が消してしまうから。
アレは悪いものだと分かった。
だって、アレが出てきた人達は何度も少年に頭を下げてた。
多分、お礼だよね。
良い事してるんだ。私も少しうれしくなった。
景色が変わった。
お母さんが来た。
私はもう動けなかった。目だけを動かす。
そこに少年がいた。
お母さんが少年に何か言ってる。でも、私にはもう聞こえない。
少年の口が動く。
あの時の私には聞こえなかった。
でも、今なら聞こえなくても何を言ったのか分かってしまった。
だって、今まで見てたから。
「ん?ああ、出来ますよ」
少年からの鎖が私を縛った。
でも怖くない。
私から抜け出た黒いモノは少年が使っていた良く分からないモノで消える。
いつも不思議に思ってた、アレは何だろう?
「もう大丈夫だよ」と言われた。
そう、この時私は……。
聞こえることが、身体が動くことが、声が出ることが嬉しくて少年に飛びついて泣いたんだ……。
発症したのは『魔女の呪い』と教えてもらった。表面化して肉体を浸食しまうそうだ。
でも……。
「もう大丈夫だよ」と言われた。
夜は怖くはなくなった。
「なら、いつか聖女様になって、今度は私がお兄ちゃんを助けてあげるねっ!」
深くも考えずそう言ったんだ。あの時のわたしは……。
少年は笑顔だった。
ああ……これは8年前の私……。
それからも少年は『呪い』……そう『呪い』だ。
『呪い』から人々を救って救って救って……。
その分『呪い』を受けて……。
遺跡にて亡くなった。
景色が変わった。
鏡に映るレムスタリアが見える。
あ、また言ってる。口癖なんだね。
「ん?ああ、出来るよ」
後は私が見てきた通りだった。
レムスタリアから浮き出された黒いモノ……『呪い』は今まで通りに最後は消えた。
そうか、そうだったのね。あっけないけど、これが真実。
「「『ルダーの真伝』」」魂察!
「発動停止!!」
見てきた。今まで見てきた。
戻った私は声を出すことが出来なかった。
「えーと、見てもらえました?嘘のない真実なんですが?」
レムスタリアの中の彼がそう問いかけて来る。
「あ……」
駄目だ、声をだしたら。
「貴方でしたのね……」
そこまで言ったら私から涙が溢れて止まらなくなった。
(でも、この再会は出来過ぎです……)
進行から後に出来なくなってしまったため、魔女編と魔王編を同時進行します。
『魔女、魔王編』となりました。




