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俺と聖女でひとつの身体  作者: 天川 和
魔女、魔王編
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43:学院生活(ズル休み)


「ファウ様、何かドキドキしますね。わたくし、さぼり?……と言うのでしょうか、初めての経験です」


 まぁ、それはそうだろうな。エスリ王国第三聖女様がそうそう学院をさぼる状況など想像できない。しかし、レムリ。ドキドキって少し悪い事に憧れるお年頃か?


「すまないな、午後からでも間に合ったろうが、どうせならこの機会にルクスに聞けるだけ聞いておこうと思ったんだ」


「ファウ様にお任せします。おそらくですが大切なことなのですね?」


「ん?まぁね」


 俺は、魔王ルクスに目をやる。『虎猫屋(とらねこや)』の団子をお茶菓子にティータイムだった。葵が新しいお茶を準備してくれた。


「なんじゃ、まだ何かあるのか?」


極々(ごくごく)、基本的な質問だよ」


「ん?」


 ルクスは団子を食べる手を止める。


「ズバリ聞くが、『魔王軍』とは何だ?」


「何だ……とはどの様な意味の何だじゃ?」


「世界に災いを成す、世界を破壊しつくす、人類の天敵、と人間側からみた『魔王軍』は(ろく)な噂を聞いたことがない」


「うむ」


 ルクスは腕を組んで瞳を閉じた。椅子から足が浮いている。


「魔王あるとこに勇者アリ。勇者は人類の為に魔王を倒す為に現れる。この世界の常識だ」


 ルクスは俺を見る。


「お主、『この世界』発言するとは、さては『転生者』か」


「あ、ああ。何故分かった?」


「『この世界』と発言するには『あの世界』がお主にはあると言うことじゃ。この世界しか知らぬ者はただ『世界の常識』とだけ言うであろう」


 成程、知らず知らずのうちに俺は『この世界』『あの世界』と区別していたのか。


「聖女に()れた男が取り()いているかとも思ったが、よくよく考えれば『加護』で弾かれるの。『転生者』なら納得だ。大方『神』の仕業じゃろう」



「聖女に()れてる?聖女に()れてる?……わたくしのこと?ファウ様が?」


「まさか、私のことじゃないですわよね?己の分を(わきま)えなさい」


あー、レムリ。声出てるぞー。そして、初めの方しか聴いてないよね?それ。


そしてスタア、お前もレムリと同じだ。



「まぁ、いい……で、話を戻すぞ。『魔王軍』とは何をするための軍なんだ?」


「お主はどう考えておる?」


「まぁ、レムスタリアを呪ったグニスのような(やから)もいるが、魔王であるルクスからは敵意とか悪意とか感じないから悩んでいる」


 実際、聖女が訪ねて行った時でさえ普通の子供だった。王国にいてレムスタリアを知らないはずがない。ガーゴイル(本物)も最後まで石像を演じてた。プロ根性をみたほどだ。魔王が人類に敵対する者なら俺を助けたのも釈然としない。あそこは追撃で聖女候補を亡き者に出来たはず。


 『呪い』を身に持つ関係上、俺は敵意や悪意には鼻が利く。『呪い』そのものが敵意や悪意だからね。


「『魔王軍』はある目的のために存在しておる。無論、人類を滅ぼすとか恐怖を振りまくとかではないぞ?まぁ、多少血の気の多い奴らがそろって居るが種族特性じゃ。見た目から先に人間から仕掛けて来る。そうなると揉め事も起きるがの」


 こんな喋り方をしているが、これでも7歳だ。中身まで口調通りの歳かと錯覚を起こしそうだ。


「待った、年相応にしゃべれないか?」


「面倒じゃが…………良いじゃろう」


「助かる」


「だからね、勇者様に討伐されるような悪い事はしてないの」


 7歳児になった。賢い子供といった感じか。


「話の分かる勇者様とは和解したこともあったよ。例えば……」


「ん?」


「お兄さんと一緒の勇者ディアレス様とか」


「懐かしいですね。そういった事もありましたね」


 ディアが会話に入って来た。


「ディアレス?」


「ディアレスですよ、マスター。私、言いましたよね?」


 言ったか?何処で?


 そういえば葵が飛び込んでくる前に名乗った気もする……。


 しかも、まだ何処かで出ていたな。ディアレスの名前。確か…………。


 リッフェル先生の授業か!


(そうだな、さて、このディアレスだが歴代勇者の中でも最強と呼ばれているが性格に難があって……唯一、魔王討伐に(おもむ)かなかった勇者として有名だ。だが、魔王軍は姿を見せなくなったのでディアレスに恐れを成したと、戦わずして勝利を収めた勇者として(あが)められた)



(あが)められたの?」


「不本意ですが…………」


「ディアレス様と戦闘になったら全滅してたよ」


「ディアはそんなに強いの?」


 実際、ディアは俺のサポートしかしていない。確かに闘技場での魔力開放は凄まじかった。全滅を覚悟した。だが、ディアの戦闘は見たことがない。それほど強いなら何故手を貸してくれない?ピンチは今までも何度かあった。何か理由があるのか?


「強いよ。今のルクス……わたしなら勝てないよ」


「ディア、俺といる時に手を抜いてないか?」


「そ、そんな、私の頑張りがマスターに伝わっていなかったなんて……よよよ」


 嘘くさい泣き真似だ。


「ルクス、先程の『ある目的』とは何だ?」


「えっとね…………」


 何やら考え始めた。結構、考えていた気がする。


「治安維持だよ」


 最も『魔王軍』からは似つかわしくない言葉が出てきた。


「え?……それは」


「それは、教えてあげないよ。さっきも言ったでしょ。お兄さん」


決まり事(ルール)……か?」


「そうそう、それ!」




 ますます、分からなくなってきた。


 魔王ルクスの語る『決まり事(ルール)


 ディアの行動の不自然さ。ディアは元々隠し事だらけだったがソフィアとの戦いの最中にダンマリを決め込んだ。あれはワザとだ。間違いない。



 この二人、明らかに何か隠している。そしてそれは、今後の俺に大きく関わって来る予感がしていた。





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