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俺と聖女でひとつの身体  作者: 天川 和
魔女、魔王編
42/268

41:魔王 ルクス


「じゃぁな!」


 そうして俺は二度目のこの世界から………



 消える



「じゃぁな!……じゃ、ないわ!この、たわけ!!」


 俺は尻を蹴とばされ……


「とっとと、戻らんか!」


 吸い込まれる感覚と共に、レムスタリアの視覚を通して周りの映像が飛び込んできた。


(あれ?あれ?戻ってる?)


(無事戻れたようで、何よりです。マスター)


(……お前には、後で言いたいことがある)



「おーに”-じゃーん!よ”がっだーーー!」


「ファウ様!ファウ様!……良かった……」



 レムリは自分自身を抱きしめる。そこにいる『ファウ=バルド()』を確かめるかの如く……。


「わ、わかった、泣くな、泣くな」


 リリスがレムスタリアの身体に顔をグリグリしてた。


 お前、何か拭いてるんじゃあるまいな?


「逃がすと思うたか?バカめが!」


 レムスタリアの中に戻った俺の目の前には、腕組みをして仁王立ち(可愛い)『摩桜(まおう) 留紅須(るくす)』がいた。


「ルクス……?」


「この有り様、どうしてくれる!」


 後ろを見ずに親指でクイックイッとする(可愛い)。


 その後ろは凄い有様だった。庭の噴水は壊れ、ガーゴイルの像は転がり今も像のふりをしている。プロだな。


 植えられた木々は根元から引き抜かれ、至るとこを深い穴だらけ。そして、何より大きなお屋敷は半壊していた。


「うぁー、凄いですね、ファウ様」


「「『魔王の隠れ家』半壊の責任取ってもらうぞ!」」


 そう言って、地団駄を踏んだ。あ、初めて見たよ。本当にする奴っているんだ。


「激務を癒す憩いの場だったのじゃ!そ、そ、そ、それを」


 拳を握りプルプル震えてる(可愛い)。


 レムリが頭を撫でる。


「「え?」」


 俺と留紅須(るくす)の声がシンクロした。


「るくすちゃん、もう大丈夫だよ。でも、お家壊れちゃったね~」


 頭なでなでは続行中。


「そうだ!家に来ればいんだ。お部屋いっぱいあるよー」


 手を引いて歩き出す。


「レッツ・ゴー!だよ!」


 それ言う奴も初めてみたよ。しかし、いいのか?レムリ。


「この幼女、確かに言ったぞ?『魔王の隠れ家』って。魔王のって」


「幼女言うな!」


「はい、まおうちゃんの家ですね。壊れてしまって可哀想」


 だから、イントネーションが違うんだよ。


 もう、いい。直接話を付ける。




「まおう……でいいのかな?」


「ふむ、間違いではなかろうな」


「アノ魔王だよな?」


「お主がどの事を言うておるのかは知らんが、唯一無二の魔王じゃ」


 やはり、魔王だった。もしやと思ったが……。こう見えても数百年生きているんだろうな。言葉使いが子供じゃないし。


「で、見た目は子供の『魔王』が何故ここに?」


「見た目が子供とは失礼な奴じゃ。こう見えても7歳じゃ」


「はぁ?」


「7歳じゃ!」


「子供かよ!」


「何処をどう見ても子供じゃろうがっ!」


 本当に子どもだった。いや。


「普通は、見た目は子供でも1007歳とかだろ!」


「主が何を言うておるのかサッパリ分からん」


 俺を憐れむような眼で見る『魔王(るくす)


「口調がババ……お年寄りだろうがっ!」


「魔王としての威厳じゃ。キャラじゃ」


「キャラかよっ!」


 話し込んでると『フェイゼノルン邸』に到着してしまう。


「ルクスちゃん、入って入って」



 魔王ルクス(7)お隣さん。俺の記憶が確かなら『魔王軍』のトップだ。世界に災いを成す者、世界を破壊しつくす者、人類の天敵。色々呼び名はある。


 それが俺達の目の前に座っていた。


「粗茶ですが……」


「うむ」


 葵の出したお茶をすする魔王。


「ほう、良いお茶だ」


 お茶の旨さを語る魔王7歳。見てる限りでは、害は無いように思えるが、実力は折り紙付きだろうな。


 なんせ、ひと蹴りで俺をレムスタリアの『中に戻している』。こんなことが出来るのは俺の『ロクスヌの離脱』を除けば『神』以外知らない。相当な実力を持つと思える。7歳だけどな……。


「まず、先に言うておく。グニスの件はわしの、監督不行き届きじゃった。ゆるせ」


 ルクスはそう言って頭を下げた。


「ファウ様、何のことです?」


「後で説明するよ」


「主、面白いな。中に後二人のおるのか」


「俺達のことはいい。グニスの件だ」


「そうじゃったの」


 ルクスは話し出す。


 レムスタリアの『呪い』は『魔王軍四将グニス』の独断だったと魔王は語る。


 魔王とは先代から『能力』を受け継いだ時点でこの世に誕生するものらしい。


 つまりゼロ歳から人と同じように成長していくのだ。


 ある日完全体で現れたり、何百年も生きた強い魔族が受け継ぐものではないのだ。


 つまり、そこを突かれた。


 全てを掌握できていない子供であるが故のスキをつかれて、出し抜かれたのである。目的は…………。


「目的は?」


「宝珠じゃ」


 やはりか。俺はスタアとの会話を思い出していた。葵の襲撃によって『解析』は邪魔されたままだ。あれから数日経っているのに『解析』していなかった迂闊さを悔やむ。


「なんじゃ、驚かぬところをみれば、薄々感づいておったか」


「聞いていいかな?宝珠とは?」


「秘密じゃ。わしの口からは言えん。お主らで突き止めよ」


「何故?」


「それが、決まり事じゃ」


 決まり事?…………何だ、この言い回し。


 決まり事…………決まり事。


 ルール。



「さて、わしの部屋は何処かの?」


「こちらにご用意してございます」


「あぁーーーーー!!」


 レムリが、叫んだ。


「どうした!」


「ファウ様、学院……」



 既に日は高く昇っていた。



 俺は、思う。


 魔王が来た。


 『聖女』と『勇者』と『戦乙女』と『真巫女』、そして『魔王』がそろってしまった。


 ……ん?これは何と戦うパーティーだ?




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