38:メイド現る
あの騒ぎの後、壁は三日で修復された。
魔法で修理なんて便利なことは出来ないらしい。
額の「中」の文字で、レムリとリリスでひと悶着あったが、じゃれあいに過ぎない。
そんな、のんびりした日常が過ぎて、夕食を済ませ寛いでいると、『第二聖女』『リテリ=ユイーシ=ルクルブ』が一人の少女を伴い『フェイゼノルン邸』へとやって来た。
「メイド……ですか?」
「そうよ、本人の希望でもあるから今日からよろしくね」
「葵=ルクルブです。お世話になります」
お辞儀する少女。まぁ、知ってる『葵』だ。しかし、ルクルブ?
「ルクルブって、リテリお姉様?」
「戸籍上は私の妹になるわ、行く所がないらしいから面倒見てね」
どんな手を使ったのか、第三聖女邸の襲撃者を妹にしてしまったリテリさん。権力もあるのか。まぁ、『聖女』だしなぁ。
「これ、つまらない物ですが……」
葵は包みを出した。あ、風呂敷だ。その中には『虎猫屋の団子』が。
「よろしいですわ。中々見込みのある子ではありませんの。歓迎いたしますわ」
スタア、分かってはいたがチョロ過ぎ。団子に釣られたな。
「レムリ様、リリス様にはこちらを」
それぞれ封筒を渡した。
「え?リリスにも?何だろ?」
「お気を使っていただかなくてもよろしいのに……」
「「!!!」」
「新しい念写符でございます」
「「私達、親友よ!」」
親友になってた。
こ、こいつ出来る!何処かの箱入り巫女かと思っていたが、一瞬で取り込んだ。
何が入っていたのか、レムリは封筒を両手で持ち、上に掲げるとクルクル回ってた。
何処かで同じ光景を見た気がする……悪い予感しかしない。
ちなみに以前の念写符は俺が回収した。
だってそうだろう、自分の裸の修正写真を女性に持たせておく男がいるか?
……いや……人それぞれだった。俺がとやかく言うことでは無かった。ゴメン!
ともかく、葵のことに関しては、屋敷の女性陣が納得したようだった。
「そして、貴方にはキスの責任をとってもらいます……ね?」
何故か俺のせいになっていた。
(自分の彼がモテるのはうれしいものですね。マスター)
何故か彼氏になっていた。
だが俺はレムスタリアの中に居る訳で、モテてもうれしくないんだが……。
俺の肉体は、何処でどうしているんだろう?このモテ期(?)を逃がしたら終わる気がする。今こそ必要だ。
でも、おかしくないだろうか?何故かここに、『聖女』と『勇者』と『戦乙女』と『真巫女』がそろっているのだ。これにあとひとジョブ加われば魔王とか倒しに行けちゃうよな……。
足りないのは何だろう?『聖騎士』?『賢者』?まぁ、俺に魔王討伐とかする気ないし。
俺は、オーパーツに囲まれて鑑定ライフを過ごすのだ。
夏が待ち遠しい。
そんなことを考えながら夜は過ぎた。




