31:呪いを持つ者、持たされた者
決闘からひと月が立ち、俺も学院生活に慣れてクラスメートの名前と顔が一致するようになると、女の園に居る自分に余裕が出来てきた。
そこで、気になるであろう事。トイレの時とか着替えの時はどうしているんだ?と思っているかも知れないが『ディア』が全力で五感をふさぐので問題ない。
授業が終わりレムリの屋敷に向かう
「なぁ、レムリ」
「何でしょう?ファウ様」
「この学院、夏休みとかあったりする?」
「はい、ありますよ」
「その時にでもさ、帝国にある俺の家に行きたいんだよね」
俺は帝国にある自分の店である『鑑定屋』を頭に浮かべる。小さいながらも俺とリリスで開いた店だ。愛着もある。
「ファウ様のご実家ですか?」
「実家って、小さな店だよ」
「はい!行きます!」
「お、おう。ありがとうな」
「お、ここだな」
『虎猫屋』でスタアの好きな団子を購入し、大通りを歩いていると気になる気配を感じた。こればかりは嫌でも気づいてしまう。職業病みたいなもんだ。
「レムリ、ちょっと代わってくれ」
「はい、ファウ様」
主導権を受けて俺は、その後を追った。異国風の出で立ちにフードをかぶり目だけを出している。ただ、その目の周りの皮膚は…………。
その人物が裏路地に入る手前で追いつき、俺も角を曲がる……。
「何故、私の後を付けるのですか?」
待ち構えていた。気づかれていたらしい。
元々ただの鑑定人。尾行など素人だし当然か。不信感を与えないように……俺は女、俺は女、俺は女……。
「驚かせてごめんなさい。貴女の具合、悪そうにみえたから気になって」
「平気ですので……」
声からすると若い女だ。まぁ、出で立ちがあれだ。巫女装束なので驚かない。むしろ男だったらビックリだった。
「お節介だとは思います。ただ、私ならその呪い治せます」
単刀直入に言った。女の動きが止まる。
「呪い?」
「正確には呪われている…顔です」
「この顔を?治せる?……何が目的?お金?身体?」
あ、そうかこちらの素性。不審者と思われて当然だ。
「申し遅れました。わたくし、王国第三聖女のレムスタリアと申します。怪しいものではありませんよ」
「聖女様?……私は、葵です」
「で、どうされます?聖女であるわたくしなら治せますよ?」
「…………」
「…………」
「聞かせてください、この顔は何故こうなったのかを」
「複数の呪いを持っていますね?害を及ぼしているのは上手く四すくみになってない一部です。それが身体に悪影響を及ぼしているのです。ならば、そこだけ向きを代えれば良いのです」
巫女なら職業がらってことだろうし、『解呪』まではいいか。むしろバランスを崩しかねない。
「一目でそこまで分かるのですか?」
「はい、聖女ですので」
嘘だ、『解析』のお陰だ。
「…………」
まだ、思案しているのか。ならば。
「失礼しますね」
女の頭に手を乗せる。一瞬ビクッとしたが、決心したようだ。
ああ、こいつだ。俺は『マウラの爪』、『霊体』『空間』など本来干渉出来ないはずのモノに干渉する爪で微調整する。
「終わりましたわ、明日の朝には元に戻りますよ」
葵にとっては半信半疑だったろう。実感がなかったに違いない。それ程に簡単に短時間で終わったのだから。
(しかし、これほどの呪いを持っていて修正できないとは、誰かに強制的に持たされているのか?)
(解析が有るか無いかの差とも言えます。マスターは、全てを自覚した上で呪を受け入れていますから)
「ありがとうございます聖女様とは凄いのですね。お礼と言っては何ですが…………貴女の中に男性が見えます。でも、安心してください。害を成す者ではありません。これを」
そこにあったのは、俺そっくりの姿をした人物の写真。うん、俺だ。でも何で裸?大事な所はボカシてくれてるんだね。小さな気遣いが嬉しいよ。だが。やり直しを要求する!
(チッ……)
(今、舌打ちした?ディア?)
(さて、何のことでしょうマスター。貴方の全てを見ていた私にはこんなボカシなど有って無いような物です……あ、レムリ様、後で私に複製させてくださいね)
「念写符にてその方の姿を写した物です。この方に心当たりは?」
「いいえ」
「そうですか、おそらくですが、貴女の守り神のような存在かも知れません」
そう言って少女はお辞儀した。
「ありがとうございました」
少女が去ると、レムリが表層に出る。
そそそ「蒼鏡展開」ぃーーーー!!ファウ様の~
「蒼鏡連結!コーティング!ぐーーーぐーーー
手元には蒼鏡にてしっかりコーティングされた俺の写真が出来上がっていた。
それを両手で持ち空に向けてクルクル回る。
「ファウ様のお姿~」
それは何かの宗教か?
何その羞恥プレイ。レムリ!レムリ?……聞こえてないな。俺はレムリが回りすぎて目を回すまで何も出来ないでいた。
俺も目が回るんだよ?
屋敷に到着すると先程の話題となった。
「で?それがファウの本当の姿ですの?まぁ、見られないほどではないわ」
「スタアちゃん、そんなことありませんよぉー素敵ですよぉー」
「あ、お兄ちゃんだ。ねぇ、リリスにも頂戴!」
「これでは、ハッキリいたしませんが、この位の大きさとなっております」
「「「へぇーーー」」」
「ディア!何の話だー!」




