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17:学院生活(一時間目)


 『王国国立魔導学院(聖女科)』


 日々『聖女』になるべく勉学に励む神聖な場所である。1年から3年まで総勢450名。王国の貴族もいれば一般庶民、訳アリの者までいる。


 しかし、そこは実力主義の聖女科。身分差など無いも同然。『聖女候補』となった時点で位は貴族を超えるので当然だった。


 そんな国の風潮もあり、ここ、王国国立魔導学院(聖女科)には、真剣に取り組む生徒以外は居るはずもなかった。


 もう一度言う……居るはずもなかった。



 この『第三聖女(おれ)』以外は!




「……であるからして、そうだな、レムスタリア」


(どうしてこうなった?この世界での初の授業を受けている俺『ファウ=バルド』帝国生まれの『鑑定人』歳は23独身。初の授業で回りが若い女だけ、しかも女の身体で授業とか……どんなご褒美、いや、何の罰だ?)


「レムスタリア?」


(……おれだ!)


「は、はい、先生」


「どうしたー?気分でも悪いのか?まーた食い過ぎたか?」



 (何それ、大食いキャラなのか?確かにレムリはよく食べる。精神的な者を中に二人も存在させていると消費が大きいのだろうか?いや、スタアもよく食べる。まぁ、スタアは身体の生成(ドッペルゲンガー)にエネルギー使うからな)



 それより何か言わないと。


「いやぁ~だ、先生。そんなこと、あるわけないじゃな~い」


「お、おぅ……どうした?何か気色悪いぞ……」


(きしょ……く。落ち着け俺。今は女今は女今は女今は女)


「失礼しました。何でしょうか?リッフェル先生」


 リッフェル先生は歴史、聖域魔法の教師。自身も聖女を目指していた実力者だ。先生の世代は勇者が現れなかった為に『聖女』の席は無かったのだとか。39歳独身。魔力の循環の影響か、肌は20代で通る。年齢を知らなければ来年四十(しじゅう)とか思えない。


「あぁ、王暦3020年に革新的魔力伝達法を伝えたのは誰か答えよ」


(魔力伝達法?何それ旨いのか?)


「あ、あの……その…………」


(……んなの、分かるわけがない。どうする。仮にも『第三聖女』の看板を背負ってるレムリに恥をかかせることは出来ない)


「勇者ディアレス様ですわ」


 肩で綺麗に切り揃えられた髪をした隣の少女が小声で教えてくれた。正に救いの女神……いや、聖女候補だ。


「勇者ディアレス様です」


「そうだな、さて、このディアレスだが歴代勇者の中でも最強と呼ばれているが性格に難があって……」


 なんとか乗り切った。俺は答えを教えてくれた少女にお礼を述べた。無論、名前は知らない。だが、レムスタリアである以上は悟られてはならない。


「ありがとう。おかげで助かりました」


「いいえ、ご無礼をお許しください、レムスタリア様。出しゃばった真似をして申し訳なく……」


「そんなことはありませんよ。わたくしのためを思って教えてくださったのでしょう?感謝しています」


 えー、壊れていないレムリならこんな感じかな


 小首をかしげて微笑んで見せた。隣の少女は一瞬で顔が真っ赤になった。


 もし、スタアの真似してたら……


「別に答えが分からなかったわけじゃないのよ?貴女が脳ミソを使うチャンスをあげたのですわ!感謝して欲しいくらいね!」


(うん、ダメだ友達の居る未来が見えない……悪い子じゃないんだよ。やれば出来る子なんだよ?きっと……)




 俺『ファウ=バルド』は、二度目の転生で縁あってこの『レムスタリア』の身体の中に同居させてもらっている。お察しの通り、今現在は俺『ファウ=バルド』がこの身体を動かしている。ちょっとした事件があった為、こんな状況になった。


 ここは(聖女科 2-A)30名。勿論(もちろん)女の園だ。だが一般的な女の園のように異性の目がないからとスカートで(あお)いだり、机に座って胡坐(あぐら)をかく女性となど居ない。実に淑女(しゅくじょ)だ。警戒心がないのでプチラッキースケベ的なことは頻繁にある。まぁ、これくらいは大目に見てもらいたい。


 男とは、そういった瞬間を目撃してしまう生き物なのだ。なんか、ラッキースケベ・センザーのような物が遺伝子に組み込まれているのかも知れない。



 チャラリッタチャーーーン♪チャラリッタチャーーーン♪



 やたら軽快なチャイムと共に授業が終わった。


 さてどうするか?現在俺は一人だ。


 正確には中のレムリは本人曰く『寝てます!』とのことだ。何か、表層に出てこない。『相棒(ディア)』は里帰り中だ。何それって思うよね。俺も思うから心配ない。


「マスター、お暇をいただきます」と言われたときは目が点になったよ。「サブスキル」の里帰りってどうなんだろ?まぁ、あの神の世界なんだからアリなのかと納得した。




 ひとまず廊下へと出た。校内の何処に何があるのかなど知るはずも無く、しばらく歩いた。


「……あ、……ろ……いよ!」


 声のする方を見ると、先程の少女が見えた。直ぐ理解した。何処にでもあるのだと頭では理解していても実際目にすると微妙な気持ちになる。まぁ、先程は助けられたし恩返しでもしておくか。


「拾いなさいよ!」


 近くまで行くと、会話の意味が分かった。少女の周りを囲む三人が何かを拾えと怒鳴っている。大方、ぶつかってわざと落としたのだろ。そう、何処にでもある嫌がらせだ。まぁ、若いうちは権力を持つと暴走する奴も出て来る。序列何位かは知らないが、聖女候補でもバカの一人や二人は発生するのだろう。


 ……俺は近づき落ちていた手袋を拾いながら言った。


「どうかされたのですか?はい、これは貴女のでしょう?」


 見ると三人は驚きの表情だ。



『レムスタリア=アルバーノ=フェイゼノルン』の決闘受理が確認されました。

『レムスタリア=アルバーノ=フェイゼノルン』の決闘受理が確認されました。


 校内放送でそう告げられた。



(何で?校内放送、どっから見ていた!!)


 


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