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14:スタアちゃんへ


 あの出来事があってからもう一週間経ちました。スタアちゃんが消えて、『呪い』の無い元の生活に戻れたけど、わたしの中にはポッカリ穴が開いたような感覚があって、自分でもどうしていいのか分かりません。


 今はこうして、病院のベットで後遺症の検査をしています。明日退院ですが、苦しかったけど楽しかったスタアちゃんとの学園生活がもうないのだと思うと悲しくなります。


 泣いて、泣いて、泣いて……。


「知っていたなら、どうして知らせてくれなかったのすかっ!」

 

 と、ファウ様にも当たってしまって……。


 ファウ様は悪くないのに、むしろわたしの恩人なのに。それを思い出すと自己嫌悪になります。


「はぁ……」


 こんなことじゃいけない。あの時スタアちゃんは言ってくれた。わたしなら立派な聖女になれるって。


 だから、スタアちゃん。見ていてください。


 わたし、がんばりますね。もう泣きません。


 そういえば最近、ファウ様はあまり話しかけてくださいません。


 たまに何か言っているのですが、それはわたしに向けてではない様子。


 独り言を言う癖でもあるのでしょうか?


「独り言とか、根暗なだけですわ!」


 ……とスタアちゃんなら言うかも知れませんね。


 考えてみれば、わたしはあの方の事を殆ど知りません。


 帝国出身な事。鑑定人な事。呪いに詳しい事。男性。


 ……それだけです。


 出会いからして普通ではありませんでした。わたしの問題を現れて直ぐに解決してくれた男性。まるで物語の英雄のように……。


 どんなお声なのか?ファウ様の言葉はわたくしの声ですから本当の声を聴いたことがありません。


 身長は高いの?わたくしが小柄なのであまり大きいと怖いかも?


 どんなお顔をされているのか?


 そんなことを考えていたわたしは、呼ばれていることにしばらく気づきませんでした。


「…………い。……レ……リ」


「レムリ?聴いてるか?」


「あ、はい。ファウ様なんでしょうか?」


「何か考えことか?」


まさか、貴方のことを考えていましたとは言えず頬が熱を帯びました。


「い、いいえ!」


「そうか?」


「そ、それより、どうされたのですか?」


「ああ、準備が整ったので行くぞ」


「準備……ですか?それは、何の……」



 次のファウ様の言葉をしばらく理解できませんでした。でも、貴方が言うのならそうなのですね。今回もきっと貴方は当たり前のように言葉にするのでしょう。



「ん?ああ、出来るよ」……と。



 そして当たり前のように実行されるのでしょう?


 そう思ったら涙が止まらなくなりました。さっき、もう泣かないと誓ったのに。


 だから信じます。


 貴方の言葉



「スタアを迎えに行くぞ」



 ……との言葉を。





 ねぇ。スタアちゃん。


 やっぱりファウ様は、わたし達『レムスタリア』の英雄でしたよ。




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