131:世界の意思は修正する
「動くと思うかの?」
声の主は、そこで言い直す。
確かめる術はもうない、だが、質問の仕方としてはこれが正解だ。
「いや、動いたと思うか?」
尋ねられた主は、言い直しの意味を悟る。
「そうですね、動いたとみるべきでしょう。彼は既に私の手を離れています。そして、そこは私がまだ私として存在していない世界。こちらからでは打つ手が有りません」
そして、あの『決まり事』の意味に気づくのを願うしかない。
旧神が創った『決まり事』。
それに気づけなければ……。
「ファウ=バルド、貴方は今回も何をしようと失敗します」
どんな策で、どの様な嘘で、世界を騙そうとしても失敗します。
ですから、願います。
「女神が誰に願うと言うのでしょうか?ルクス、貴女は神を信じますか?」
「面白い事を言うのう。神は主ではないか?」
「そうですね。だからこそ何も変えられない」
神とはそういったモノなのですよ……。
「ふむ、どうやら来たようじゃ……では」
ルクスの身体が変化する。過去に一度だけ、無かったことになったリテリ戦だけで見せた『最終形態』。
「あまり期待しないでね?やるだけやってみるけど……」
「良いのですよ、ルクス。本当なら私に付き合う義理は無いのに」
「私もお兄さんに全てを押し付けた責任があるからね?」
「では、『復讐の女神』。少しだけ付き合ってもらうよっ!」
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ファウ=バルドが考えた全てを救うための作戦。だが、過去のファウ=バルドもファウ=バルドならば、同じことを考えたファウ=バルドも存在したのではないのか?
いや、居なかった方がオカシイ。
では、それで何かが変わったのか?
そう、何も変わってはいない。
皮肉にも彼が行った『魔神』は誰でも構わない……との歴史修正は、新たな火種を齎す。
この日、地球に新たな『能力者』が現れた。
それはファウ=バルドの良く知る人物と瓜二つだった。
魔神誕生まで後、60日。




