128:木曽二田 虎雄VS利瀬 瑠奈
『利瀬 瑠奈』。
虹の聖女、狂虹のリセルナ、黒神のリセルナ、復讐の女神と色々呼ばれた彼女と同じ名前を持つこの少女。
呼び出しておいていきなり「殺し合いを始めましょう!」とか抜かす、ネジの飛んだ女。
この女との激しいバトルと予想外の展開を語る前に、現状の説明をしておこう。
大方の予想通り、俺は「木曽二田 虎雄」として学園に通っている。しかも、まだ2日目だ。
年齢24になった俺の見た目はディアレスが変えた。これが『魔体』の便利なところではあるが、当然の事『魔力供給』が必要だ。
ディアレスは姉。(どう見ても妹には見えなかった)「木曽二田 寧々子」を名乗っている。とらに対してねこなのだそうだ。まぁ、堂々と姿を晒して生活しているわけだが……。
晒していないこともある。ソレは俺の持つ『スキル』、ディアレスの持つ『魔法』。
前回までは……便宜上こう呼ぶが、前回までは能力を公開し、世界の注目を浴び……。
『物語の主人公』
『神の子』
『エイリアン』
『未来から来た者』
『異世界転生者』
などと呼ばれた訳だが、今回は隠す方向で行く。同じことをやっては変えられないとの理由もあるが、本当の理由を語るのは後々だ。
……で、何故学園に通っているかだが……。
「木曽二田 虎雄」つまり転生後の『ファウ=バルド』の元となる人物は、存在していなかった。いや、今まではいたのだ。ソレが今回は影も形もない。
つまり、このままではファウ=バルドが存在しなくなる為、未来から過去に戻り魔神となるファウ=バルドも消える。当然、俺も消える。
ならば、木曽二田はファウ=バルドなのだから、ファウ=バルドが木曽二田を演じようとなった。分かっている、矛盾だらけだ。まるで子から親が生まれるようなものだ。
だが、矛盾も突き詰めれば真実をつくる。そう、創るのだ。
そして、確信した。
ファウ=バルドが何をするか、知っていて介入した者が居る。
こうして俺が通っていた学園に来たわけだが、2日目でこうなった。
「まぁ、名前からして、探してたアレだよな?」
しかもこうも都合よく。何らかの意図、しかも悪意しか感じない。
ディアレスに話しかけて思い出した。別件で行動してたな……。
下界に降りて悪を切る。
(まぁ、そんなところか)
では、間違いないと思うが見せてもらおう!
「女神の全てを!!『解析』!!発動!!」
こうして、女神と同じ名前の少女を解析した。一瞬に全ての情報が脳裏に浮かぶ。
「なん……だと……」
有り得ない。こんなことは有り得ない。
「ククク……」
『利瀬 瑠奈』は俺を見て不敵に笑った。
「やっぱりね。思った通りだったわ」
こいつは、この女は……。
「間違いないと思うが見せてもらおう!女神の全てを!と言ったわね?」
しまった、声に出ていたのかっ。大失態だった。
「これで確信したわ、貴方……」
「いや、待て、その先は言うなっ!」
「こちら側の人間ね?初めて見た時にそう感じたのよ?」
いや、そちら側ではない。断じて違う!!
(…………)
「そう、私の中に封じられた女神が……告げたの……」
解析結果は『人間』だった。
『利瀬 瑠奈』は紛れもない『人間』である。
「じ、じゃ、俺はこれでっ」
「待ちなさいっ!いいわ、あなたのその能力、認めましょう!」
認められてしまった。
そして、何故俺は立ち止まってしまったのか?
「貴方の様な能力の持ち主を探していたの。生徒会に入ることを、認めます!」
木曽二田 虎雄こと俺、ファウ=バルドは学園生活2日目にして『生徒会』に入ることとなった。
まぁ、言わなくても分かると思うが、彼女は……アレだ。心の病気だ。
ファウ=バルドが魔神化し世界を滅ぼすまで後、75日。
「どうしてこうなった?」




