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俺と聖女でひとつの身体  作者: 天川 和
復讐の女神編
126/268

125:ファウ=バルドとは?

 

 俺がどれだけ眠っていたのは知らない、知ったところで今更関係ない。


 目覚めた俺は新しい『魔体』の中に居た。


 ディアレスと呪いは関係ないのが救いだった。


 では、それ以前に居たはずの身体。『葵』は?


 あの状況。クロの『終命自爆』が発動していたあの状況で、その場にいる理由をいきなり失ったのだ。


 訳も分からず、自身に何が起こったのかも知らずに……。



 全て俺が巻き込んだ事だ。


 もう『挿げ替え』は起こらない。無かったことにはならない。


 葵は俺が死なせたと同義だ。


 そしてクロ。カリウズに利用され、消えたレムスタリアの妹。


 彼女の行動は無駄に終わった。


 リセルナは……いや、あの復讐の女神は無傷だった。



 魔神ボルトに滅ぼされ、八つの世界の神々にその座を取って代わられた旧世界の女神。女神でありながら転生するしか道の無かった、不遇の前神。



 リセルナのボルトへの執着はその為の物。


 憎しみを愛と感じたのか、愛するが故に憎しみに染まったのか?


 聖女リセルナは、やはり壊れていたのだ。


 そして、前世の女神としてのボルトに対する負の感情は次第に虹を蝕む。虹がボルトを愛すれば愛するほど憎んで憎んで憎んで……負に染まる。


 やがて光である虹を覆いつくし、負の感情一色に染め上げる。それが光である虹を全て混ぜたはずのリセルナが黒髪になってしまう理由だ。黒神化の理由だ。


 そして今、虹を飲み込み『復讐の女神』が復活してしまった。




 『決まり事(ルール)』を決めたのは誰か?


 『決まり事(ルール)』を作ったのはこの旧神の可能性が高くなった。それは、現八神に対する最後の抵抗。八つの世界の神に対する呪いと表現したなら理解も出来る。


 神でありながら関与できない『決まり事(ルール)』との理を振りまいたのだ。だが、人々はそれを知らず、現神がつくったものと思う。


 リセルナの黒神化の進行を遅らせるため、ルクスとディアレスもまた独自で行動していたのだろう。


 二人が行ったルールの貶めは、現神への不信感を煽ることにより、リセルナの中の者の溜飲を下げる結果に繋がった。


 現神の不振を煽れば煽るほど、リセルナの中の女神は満足するのだ。ルールに縛られた者が不満を口すれば……現神に疑問を抱けばそれだけ満足するのだ。


細やかな復讐。可愛いともいえる復讐。それだけで終わっていればだが。


 そしてやがて、その憎しみは新世界である八つの世界を覆い『最終戦争』を引き起こす。それこそ神対神の戦争。


 今まさに突入しようとしている。


 だが、どれも今の俺にはどうでもいい事だ。




 俺は目的に到着する。ボタンキーを押しロックを解除。微かな音と共にドアが開いた。


「お待ちしてました。マスター」


 ソレは魔神システムと呼ばれる物。


 そして、今ならその名称の意味を理解出来た。


 ディアレスが完成させた完全版魔神システム。一時的ではない永久的なスキル付与を行える。


 そして俺に魔法が使えない理由がここに繋がる。


 魔法が使えない俺は『空き』が多い。その為、本来付与できないはずの数をスキルとして獲得できる。


「本当によろしいのですか?」


「ディアレス、分かってるだろ?俺は……」


「もちろんですよ~。マスターでも」


 表情が真剣なものとなった。


「最後まで、お側に……」


「助かるよ。ディア」



俺がこれから付与するスキルは3つだ。


ひとつ


『不戦勝』


ふたつ


『重力操作』


みっつ


『ワールド・サーチ』



「この3つを獲得する!!」


「これが『呪い』の無くなった俺の新たな武器だ!!」


「そして奴、『カリウズ』だけはぶっ飛ばす!!」



 そのスキルを持つ者が、前世界でどのような行動を取ったのか……知らぬファウ=バルドでは無いはずだ。


 だが彼はあえてこの3つを選んだ。




 全ては、ここから始まったのだ。




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