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俺と聖女でひとつの身体  作者: 天川 和
復讐の女神編
118/268

117:クロ


 王国第三聖女候補(レムスタリア)。『呪い』に蝕まれ、何物にも負けないもう一人の自分を誕生させる。ソレは理想の自分。


 それが『スタア』とファウ=バルドによって名付けられた自分。


 だが、あの時。


レムスタリア(わたしたち)』の名前が『レムリ』と『スタア』の二つに分けられたあの時。


 そこに、もう一人居たのだとしたら……。


 その子は思うのだろう。



「自分はファウ=バルドによって切り捨てられた」



 ……のだと。



 つまりクロとはそういった存在だ。



 何故分かるのか?簡単な答えだ。



「自分もそういった存在だから」



 では、彼女は『レムスタリア』の何を占めていたのか……。


 ここ数日、見ていて確信した。


 レムスタリアが聖女として持ってはいけないと判断した感情がそこに集約されていた。それは、妬み、恨み、甘え、見栄、羞恥心。


 それは勇者のパートナーとして戦闘には持ち合わせてはいけないモノ。個人の感情では動かない。自己の欲望では動かない。自身を厳しく律する。全てを()かれても羞恥心から戦えなくなることはあってはならない。


 そう判断され押し込められたモノ。


 全てでは無い……その大半の感情をクロは受け継いでいる。全てを捨てていたらソレは最早『人』ではない。


 それが、第三のレムスタリアの人格……クロだ。


 故に、我がまま。自分中心。ファウへの恨みは深く、自身の評価を気にして見栄を張る。そして、恥ずかしがり屋。


「最後のだけは可愛いのですけどね」


「なに?お姉さま?」


「…………いいえ、何でもありませんわ」


 六聖女に指示を出すクロを見ながら考える。




(では、この子はどうして消えずに済んだのか?)


 『解呪』と共に消える運命だった別人格の自分はファウに救われた。


 そうでなかったクロは人として存在できないはずだった。


(貴女を救った者がいる。ソレが貴女の背後にいる者ね?)


 私の場合は名前を与えられて『存在』を固定され、『解析』によって時間を掛けて調べられた肉体を『鏡像化』することによって同じ入れ物(ドッペルゲンガー)を創りだされた。


 一週間以上の時間が費やされているのだ。


 名前も与えられずに、直ぐに消滅しただろうあの子を救える者とは?


 魔王クラス、もしくはそれ以上の……。



 これだけは確信した。


(利用されている)


 ファウ=バルドが「世界を壊すために行動を起こした」と言うのなら、それは嘘だ。目的は別にある。


 スタアにもファウ=バルドのやり方が分かってきた。以前の魔人化の演技を見破れなかった自分だが、今は違う。何かの目的がある時には、それを隠すために大きな嘘をひとつ作る。だから……。


 寧ろ、逆。


(世界を救うために行動を起こした……と考えるのが自然ですわね)


 まぁ、そんな単純な事では無いのかも知れないけれど、今度はどんな無理難題を押し付けられているのやら……。


 ならば。


(ならば、私もそろそろ動きましょう。ファウとこの子の為に)


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