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俺と聖女でひとつの身体  作者: 天川 和
復讐の聖女編
117/268

116:聖女達の復讐


「いい加減、答えなさい。ファウを狙わせた理由。魔神ボルト、そして虹の聖女であったリセルナを狙う理由」


「…………」


「レムスタ……」


「その名前で呼ばないでって!分かった、分かりましたぁー」


 憔悴していた顔には血の気が差す。屋敷に戻ってからはいつものこの子に戻りつつある。だが、聞き出すなら今だ。今しかない。


 この子の正体などではない。それなら初めて会った時に気づいた。そう……。


 この子も『レムスタリア=アルバーノ=フェイゼノルン』なのだ。


 だが、外見はまるで違う。私とレムリが瓜二つ、言い換えれば同じモノなのに対してこの子は違い過ぎる。



 でも、間違いなく私達と同じもの。正確には()()()()()()……。



「お姉さまは、あの男にご執心らしかったけど……あの男はとんでもない男だったのよっ!」


 何故ここまでこの子は言い切るのか?


「約3か月後、いいえ、もう3か月は無い」


 クロは言葉を止めた。


「あの男、ファウ=バルドは、魔神ボルトと狂虹(きょうこう)リセルナと共に八つの世界を滅ぼすために動き出したっ!」


「…………」


 スタアは言葉を失う。この子は何を言っているのか?


「信じてない顔ですね?お姉さま?」


「そんな話、信じろと言われても無理ですわ」


「なら、ピピエラー。起きて!」


 ピピエラなら、ファウ=バルドに()()()()ず。本来の自分が居るはずの世界へ。だが。


「姫は人使い荒いよぉー。まだ、本調子じゃないのに」


 そこには以前のままのピピエラが現れる。


「ピピエラ、証明ーーしてーー」


 言われたピピエラはスタアの前に立つと、上着を脱ぎ始める。白い肌を全て晒して後ろを向く。


 そこには。


「て、天翔紋。まさか、貴女」


 ピピエラの背中には『一翼の天翔紋』。そしてそれは、勇者と正式なパートナーの証。完成されたツガイの紋。


「正式な自己紹介はまだでしたね?スタア……様」


「スタアでいいですわ、それよりも貴女、もしかして」


「ピプエラ=エスカミュ。一翼世界の正聖女……だった者です。一翼では『音の聖女』と呼ばれていました。音楽の世界でしたからね。そちら側の魔王ルクスとは色々あった仲なのよ」


 間違いなかった。聖女候補なら見間違うはずもなく、偽物なら気づける。


「それがどうして……」


「え?」


「どうして死人として使役されているか知りたいですわね?」


「流石はスタアさん。ハッキり言うわね。普通は遠慮するものだけど……」


 ピピエラは上着を着ながら笑った。


「答えは簡単。使役されてるのではなく、お互い同じ目的の為に協力しているからよ」




「その通りだよ」


 そこには消えたはずの残りの5人が。元々広くはない部屋に8人。


「あたいは『拳の聖女』バンナー=ホリキムだ。ガラじゃないんだが、『二翼世界』で聖女をやってた。あたいの世界はこれが全てでね」


 そう言って『拳』を握って見せた。


「皆、殴り倒したら『聖女』になってたよ」


「……そう、素敵な世紀末世界ね」


「だろ?最高の世界だったよ」


「…………」




「私はアズハ=ムライ『点の聖女』です。よろしく。スタアさん」


「貴女は何処の聖女なのかしら?」


「三翼世界です。そちらのリリスさんとは少し揉めた過去がありますが、今ではお友達ですよ。まぁ、妹には恨みはないですから」


(リリスと?)


この時点でスタアは気づく。『宝珠』保護との名目で、自分以外の者はそれぞれの世界に向かった事がある。その時に色々とあったのだと。




「メイズ=ワンガ。『七翼の聖女』。『瞳の聖女』」


「…………」

「…………」



「メイズは元々無口だから気にしちゃ駄目。私は、リシリア。リシリア=ホーメアよ、『五翼世界の魔法少女』」


 頭に大きなリボンを付けた少女が告げた。


「魔法しょう?何ですのそれは?」


「リシリアぁー。真面目にー」


 クロだった。


「あはは。了解~。『五翼の聖女』よ?電子の魔……せ、聖女よ?」


 疑問形だった。


(デンシ?なによ、それ?)




「私は、クレシュ=カギナリ。挨拶はいらないわよね?」


そう、今更だ。初めに自分に接触してきたのはこの『六翼の聖女』と名乗るクレシュだったのだから。



「つまり私達6人の元聖女は『ファウ=バルド』『魔神ボルト』『狂虹(きょうこう)リセルナ』への復讐の為に『姫』の下へ集まった者達なの」


「3か月後に壊れる世界の、命を奪われた自身の……愛する者を奪われた事への……」


「聖女達の復讐」


「これで分かった?お姉ちゃん?これは、この先必ず訪れる厄災から世界を救うための正義の戦いなの!」




 だから今なのかとスタアは思う。


 以前にクロはこう答えている。『今だからよっ』と。


 『過去の世界』『未来の世界』が存在しない『箱庭世界の八翼』は無くなった。


 つまり、神の力でも『無かった事』には出来ないのだ。


 ファウ=バルドが死んでも『挿げ替え』は起こらない。


 でも、真実なら。この6人は『未来の死人(しびと)』だ。そんな矛盾がありえるのか?何故なら、今現在は生きている聖女が各世界に存在するのだ。



「けど、思わぬ邪魔が入ったね。何?あのメイド女。知ってる?クロ」


「あははは、凄かったね。私達6人が一瞬で帰された。でも私知ってるし」


「「「「!!」」」」


「リシリア……貴女……」


 メイズが呆れた顔でリシリアを見た。


「な、なによ、前に会った時は大したことなかったんだってっ!」


「で?誰なの?」


「八翼世界の真巫女よ。名前は確か……『葵』。五翼に来たことがあるよ」


「そんな名前は出てこなかった。だから、脅威にはなり得ないわよ。そうでしょ?メイズーー?」


「はい、姫。もう、この『瞳』で見ましたから」


「それよりも、ファウ=バルドが死んだ今、残るは魔神ボルトと狂虹リセルナ。次は必ず仕留めるわよ?」




「それで世界が救われる。聖女としてやり遂げられなかった、本来の使命を果たしましょうっ!」」



復讐の聖女編の終わりです。ありがとうございました!

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