114:レムスタリアの退屈
「ほぇーーー」
第三聖女候補レムスタリア邸の隣には魔王ルクス邸がある。俗に言う『魔王の隠れ家』。
それは、王国の威信を掛けて建てられた聖女候補達の邸宅に引けを取らない。広大な敷地に、豪華な建物、石像のふりをしたガーゴイルが並び、使用人の姿に偽装した魔王親衛隊が警護に当たる。
帝国のソフィア=ヴァルキュリアに半壊させられてから部下からの声を抑えきれなくなった魔王ルクスが親衛隊の滞在を許した為だ。
レムスタリア=アルバーノ=フェイゼノルンは、そんなルクス邸の窓から外を眺めて思う。
「今日も平和です」
(学院の皆さんには見せられない姿。ソレは理解しているけど、こうも暇ではそれも仕方ないと思うのです……)
自分に言い訳しながら庭のガーゴイルをみた。
(暑くないのでしょうか?後で、麦わら帽子でも……)
いくつ必要かしら?と数を数え始めた。
そもそも、ここ数日で起こった事と言えば……青白い顔したリリスちゃんが出て行った後で、「遅刻、遅刻」とリリスちゃんが出て行ったこと。
(あれはどう考えてもリリスちゃんが二人いたとしか?)
(まさかね……暇すぎるからこんな変な事を考えてしまうのでしょう)
「大体、ファウ様!わたくしを忘れていませんかっ!」
(いいえ、ファウ様に限ってそれはあり得ない。きっと深いお考えがあっての事。今はまだ、わたくしの動く時ではないとのお考えなのでしょう)
何故か葵ちゃんの中に居たファウ様の言葉を思い出す。
「レムリ、重大任務だ!!次の指示があるまで待機!」
でも、あの日の『ファウ様当番』は葵ちゃんだったかしら?
凄い慌ててたけど……でも、ファウ様は絶対です。
ただ、理由が分からないので困ります。
その後現れたルクスちゃんにここに連れてこられた。その時に「気を落とすな」と言われたけど、あれは何だったのかしら?
「もしかして何か大変な事件がっ!!」
まぁ、そんなこと有るわけ無いですね。あったら誰かが知らせてくれるはず。
リテリ姉様にもお会いできない。
きっと、四翼世界の件でお忙しいのね。
正式な四翼世界としての要請が無ければ、エスリ王国としては動けない。
それは理解できますが、よろしいのでしょうか?
そう言えばスタアちゃんはどうしたのかしら?
わたくしの代わりに学院に行ってから会って無い気がする。
スタアちゃんも重大任務してるのかも知れないですね。
それにしても暇です。
そうだ、あの練習をしておきましょう。
いつかファウ様を驚かせるための練習。
それに、やっぱり閉じこもっているのは健康に悪い。
少しだけ外に出てみましょうか?




