表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
俺と聖女でひとつの身体  作者: 天川 和
復讐の聖女編
113/268

112:リセルナ決死戦(2)

 

 バンナー=ホリキムと共に戦闘に参加したのは、死んだはずが一瞬で蘇ったアズハ=ムライ。


 元々が死人であるならば、蘇ってなど居ないのだが。ソレが一番分かり易い例え。


 現状、彼女らは私の命を狙っている。理由は不明、何者なのかも不明、でも素直にハイそうですかと希望に応じる気はない。


 だがクロが死人使(しびとつか)いならば対応策は一つだ。


 つまりクロさえ何とかすれば他の6人は消える。確証は無かったが、それに掛ける以外道は無かった。


 7対1で、実力も高い相手を一人一人倒すなど現実的ではない。そして、倒した傍から蘇るのだろう。蘇る回数に限界はあるのか?確かめる気にもなれない。



(クロを倒して、ファウ様の下へ生きて帰る!)



 リセルナは心に誓った。



「『レインボウ・レゾナンス』!!」

「『レインボウ・ミラージュ』!!」


 先ずはクロまでたどり着くことが先決。その為のスキルを発動。


(まさか、自分が前衛の真似事をするなんて……)


(共鳴、加速、反射、そして……)



「らちが明かないな?何だこれ?」


 『七光・流帯』によって全ての攻撃を反らされるバンナーが愚痴を漏らした。


「だから私を使いなさいって!」


「ああ、アズハ、たのむよ」


 アズハと呼ばれた女性の色は『点』だ。何をするかは理解出来る。点と点と重ねて空間をゼロ距離にする。


 ならば、いつまでも『七光・流帯』が破られないなんて思ってはいけない。常に自分の技の対応策を準備していた魔族を思い出す。あの戦いでリセルナも学んだ。


(おそらく、次で破られる。だから先手を取るっ!)


「『七光・連弾』!!」


 バンナーとアズハめがけての虹魔法。だがこれは回避させるのが目的だ。まともに受けるとは思っていない。寧ろ避けてもらわねば困る。


「「!!」」


 予想通り二人は左右に分かれてくれた。中心に光の道が現れる。後衛の私が加速を得るにはこれしかない。


『光の道』


 勿論、光の速さを得るわけでは無い。だがこの距離なら瞬きの必要すらない。乗るだけで運んでくれる。


 バンナー、アズハの二人を一瞬で抜き去る。


「し、しまった!!」


 二人の声がした。


「うん、いい作戦だったね」


 その声は耳元で聞こえる。


「メイズ、でかした!!」


 誰の声かは分からない、確認している余裕もない!


(追いつかれた?)


 瞬間、煌めいた剣筋がリセルナを肩口から両断する。


「なに?」


 それは、メイズと呼ばれた者の声だった。両断されたリセルナの身体は光となって消えていく。


「幻影?なら実体は!!」


「リシリアっ!!貴女の前を過ぎるわっ!!」


 ピピエラだった。音までは完璧に消せない。呼吸は止めても心音、血流音は消せない。それを聞かれた。ならば光を屈折させて姿を消しても無駄だ。


それを解除する。


「居た。そこっ!!」


 だが解除したのはあえて姿を見せるため。そこに注目を集めるためだ。実際はそこには居ない。さらに光を利用したそれは蜃気楼。


 そして、クロにたどり着く。


 クロの背後から首筋に刃を付きつける。微かな勝率を引き当てた。


「そこまでですっ!!」


 6人の動きが止まった。


「あははぁー。凄い凄い」


 クロは皆を見渡した。


「それに比べて、バンナー、アズハ、メイズ、リシリア、ピピエラ」


「「「「「はい」」」」」


「真面目にやってるぅ?」


 リセルナは会話に割って入る。


「余計なおしゃべりはいいわ。今すぐ彼女らを帰すか、ここで消えるか選んで?」


 クロは考える素振りをする。これは間違いなく演技だ。


「う~ん、どうしようかなぁ。どちらも嫌だなぁ」


 何を言ってるのこの子?状況はこちらが有利なはず。なのにこの余裕は?


(まって、5人。5人の名前しか呼ばれていない……もう一人は?)


「はーい。今回はクレシュの勝ちです。皆、見習うようにねー」


 その言葉と共に目の前のクロが消えた。リセルナはそこに一人立っていた。


 目の前を『黒揚羽』が通り過ぎた。そう、全てが蝶の見た夢に変わった。




「いい夢見れたかな?虹の聖女様?この人数を相手に、勝機を掴んだ夢でも見てたかな?」


「…………」


「いい顔だよ。希望が絶望に代わる瞬間だね?」


 リセルナの両足に激痛が走る。


(足の腱を切られた!!)


 立っていられず、その場にへたり込む。


「さて、文字通り首をいただくけど……言い残すことは?」


「…………さま」


 クロはそれを確かに聞いた。


「最後の言葉が男の名前なんて……でも、確信したよ?魔神ファウ=ボルトは生きてるね?」


「…………」


「まぁ、いいわ。探すから。勿論、プレゼントは虹の聖女の首よ?」


「…………」


「メイズ、やってっ!」


「了解です、姫。悪く思わないでね、聖女リセルナ?」


 メイズの持つ刃がリセルナの首にあてられた。




ーーーーーーーーーーーーーーーー



魔神ファウ=ボルトは考える。自分は夢を見ない。

なら先程のは夢ではない。間違いなくリセルナは死ぬ。

そう、この先必ず起こる出来事だ。正に『未来視』だ。

魔神の能力なのか過去にも度々あった。それに従って最善策を取ってきた。災いの目は潰してきた。最近なら六翼を攻めたことか?

だが、今の俺は動けない。

リセルナを救うことは出来ない。望んでも出来ないのだ。

だが可能性はゼロではない。


過去に俺の『未来視』を捻じ曲げた男が居る。

捻じ曲げて全く違う今の現状に持って行った男。


そんな都合の良い事など有り得ないと知っている。

だが、八翼の奴が何らかの目的でこの四翼を訪れていたとしたら……。

可能性はゼロではない。


ファウ=バルド……お前は今何処にいる?





評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ