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俺と聖女でひとつの身体  作者: 天川 和
復讐の聖女編
110/268

109:四翼世界の攻防前夜(リセルナ)


 交渉は決裂した。


 こうして、私の王家に対しての信頼は落ちるところまで落ちた。


 私は、王家の策略で『聖女』の称号を剝奪された過去がある。


 それが、六翼世界との開戦と共に魔族の陰謀だったと無罪になった。


『聖女リセルナ』を前面に出して士気を高めるためだ。


(何処までも自分本位な者達……)


 その際、加担したとして数人の貴族が処刑されている。以前なら、超満員だった会場は、人もまばらで映像中継もされなかった。それ以上の刺激あるモノを目にしてしまった国民には、処刑が娯楽になり得なくなったのだ。


 それは、魔王ルクス率いる4人の魔族と勇者パーティーの試合。死人が出ない試合で、人々はこれまでにないほど一喜一憂した。


 それと同等、若しくはそれ以上のモノでなければ興味を引かないのだ。



「王家なんて滅べばいいわ」



 聖女らしからぬ、寧ろ性悪女のようなセリフが口を付き慌てて周りを見る。


(聞かれてはいないようですね)


 地味な服装、深めのフード、そして一番目立つ虹色の髪と瞳は変えてある。今の自分が聖女リセルナと気づけるものは居ないだろう。


(けれど、これで自分は名実共に犯罪者。それも、第一級)


 思わず吹き出しそうになった。

 

 そもそも、自分が聖女なんてどう考えても可笑しかった。


 嫉妬深く、大局で物事を計らない。


 自分中心……よく言えば自分に素直で、国を守る理由でなんて戦いたくない。



 けれど、飛びぬけた魔力があった。持って生まれてしまった。


 それ故に聖女候補に選ばれてしまった。


 『聖女候補』……いつか現れる勇者に寄り添い共に歩む者。


 何処の誰とも分からない者……『勇者』だからとの理由だけで自分があてがわれる。そう、人身御供だ。


 始めはそう思っていた。


 でも『勇者』が現れた時、『勇者様』を初めて見た時にそんな考えは吹き飛んだ。


 『勇者様』の隣に居るのは自分だと心に決めた。


 そして他の候補を蹴落としていった。『虹』で再現した相手の魔力を「あなたより上手く扱えるのよ」と心を折ってやった。自分はあなた達より上なのよ……と示した。


 なんて嫌な女だったろう。


 私の評価は、戦闘せずに相手の戦意を挫く為の『魔力の再現』と思われているがそうでは無い。


 只の独占欲の塊。


 そうだ、だから私は今も『聖女』としてではなく『リセルナ』として行動する。


 心残りは共に歩んだ仲間の二人。


「ミユウ、兄さん、ゴメンっ」


 国を守るためとの理由では戦いたくない。

 そもそも戦いは嫌いだった。

 なら、何故戦ってきたか?

 答えは簡単。


 『あの人』の傍にいるため、それだけの理由。


 大勢の命と一人の命、どちらが大切だと聞かれたら迷わずこう答える。




「ファウ=ボルトの為なら、世界を敵に回して一人で戦って見せる」




 言葉通り、リセルナは世界を敵に回した。


 その日、虹の聖女『リセルナ=ミイ=フォレオ』は、大罪人『魔神ファウ=ボルト』の身柄を奪い逃亡した。


 まんまと、それも女一人に『魔神ファウ=ボルト』を奪われた王家は面子の為にこう発表する。


「ファウ=ボルト死亡」


 そして言葉通りにしてしまえばいいのだと。


 だが、その言葉のもたらす結果に思い至らなかったのか?


 正に無能。



 こうして滅びの引き金は引かれる。






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