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俺と聖女でひとつの身体  作者: 天川 和
復讐の聖女編
108/268

107:俺と真巫女でひとつの身体(2)


 結果は黒だ。真っ黒だ。


 出身は八翼世界の神国。葵と同郷か。


 名前は、クレシュ=カギナリ。




鉤成(かぎなり) 久連朱(くれしゅ)

(ちょう)の聖女』『鉤成流忍術継承者』


出生地 :八翼世界神国

性別  :女性

年齢  :$%

武器  :風刃蝶

防具  :六門壱の衣

装飾  :紅蝶の指輪

     六門の首飾り

戦技  :『紋白』

     『揚羽』

     『瑠璃立』

     『蛇の目』

     『多身単撃』

     『バタフライエフェクト』

     『領域崩壊』

     『地殻流動』

技能  :六翼の残光  鉤成流忍術

魔法  :なし

属性  :蝶 忍 #%

加護  :六翼の加護 蝶の加護 黒の聖女の加護


『力』 :550

『心』 :900

『技』 :950

『体』 :600

『神』 :150

『魔』 :150

『霊』 :500

『武』 :500

『学』 :420


 しかし、『蝶の聖女』とは何だ?『聖女』の称号は八翼世界ではエスリ王国だ。神国なら『真巫女』のはず。


 俺は『加護』に注目する。『六翼の加護』。


 今現在も四翼世界に攻め入ってる六翼世界。


 成程、つまりこいつは六翼から加護を受けている。


 色々と謎が多く不明な点もある六翼世界だが、今は『解析』の事実だけで判断する。


 クレシュ=カギナリは六翼世界の『蝶の聖女』となる。


 そして、俺の命を狙っていたのは六翼世界の者との仮説が成り立つ。


 こいつ個人がって事ならますます心当たりがないし、まず間違いなく組織的であるはずだ。


 しかし、神国の忍が六翼世界で『聖女』になるって、どんな波乱万丈人生だよ。しかも、聖女でありがながら魔法が使えない。異質だ。


 同じく使えない俺だから言える事だが、この八つの世界で使えないと言う事は確実に理由がある。何故ならそれが『決まり事(ルール)』だからだ。


 俺が命を狙われるのか?解析からでは分からないか……年齢と、属性の一部が解析できていない?


(ディアレス?これは?)


(魂に連結してプロテクトされています。よほど、知られたくない事なのだと)


(強引に解除した場合は?)


(自我崩壊を起こす可能性が考えられます。つまり、知られるくらいなら死んでもいい)


(そ、そこまでか。そこまでして知りたい事でもないな……)


 『解析』したから死にましたでは、寝覚めが悪い。


 では、そろそろ当たってみるか。



 俺は、葵としてリリス(偽)に声を掛けた。


「リリスさん?こんなところにいたの?」


 一瞬リリスに緊張が走ったかのように見えたが、直ぐに消える。


「あ、葵ィ。どうしたの?」


「リリスさんこそ、どうしたの?お兄さんとのお別れはもういいの?」


「お兄ちゃんが燃えてなくなるところなんて、辛いから……」



(凄いな、全然見た目では分からないな。完璧だぞこれ)


(鉤成流は本来、潜入、情報収集に特化した流派だと聞くわ。その分、戦闘には向かない。そしてこの名前は……学院から逃げた人物と同一ね。自ら名乗ったそうだから間違いないわ)


(それでこの完璧さか、『解析』が無ければ最後まで気づかずに終わるな)



 俺は葵としての芝居を続ける。


「何と言って良いか……。お兄さんの事は……残念です」


「葵ィも悲しんでくれるんだね。お兄ちゃんは幸せ者だね」


「そうですね。あんな素敵な人が命を奪われてしまうなんて……」


「……そうだね」


 一瞬の間と表情の変化。


(今確かに反応があった。何に反応した?)


(そう?気づかなかったけど)


 素敵な人、命を奪う、分けてしまえば反応する箇所はこの二つしかない。


 試してみるか。


「あんな素敵な人はもう現れませんね……」


「……そう……だね」


 成程な……素敵な人に反応したか。そして、それに対して怒りを抑えた。


 少なくともこいつはファウ=バルドを良く思っていない。極端に言えば、憎んでる相手を褒められて腹が立つほどには怒りを感じている。



(あの可能性は消えたか)


(あの可能性って?)


(人違い殺人説だよ。俺に名前がよく似てて、六翼から恨みを買う人物が居るだろう?)


葵にも直ぐに思い至ったようだ。六翼を滅ぼしたとされる魔神。四翼の勇者。


(ファウ=ボルト……)


(てっきりそう思っていたんだがな、誤解を解いて完……とはいかないか)


(ねぇファウ、聞いてもいい?きっとね皆も感じてる疑問なんだけどね。何故、貴方の居た旧世界を滅ぼした魔神と貴方の名前はこんなにも似ているの?)


(今その話題か?)


(気になるんだからしょうがないじゃない)


(あれは過去改変された俺だからな)


(なんだ、ファウはファウなんだ……って、冗談よね?)


(どう思う?)


(えっと、今いるファウが本来の歴史のファウで、ファウが改変されたファウで、でもファウは一緒の時代で一緒に居て、最後の生き残りだった?)


(考える事は大切だぞ)


 何?上手くはぐらかされた?


(では次だ)


 憎しみを感じているのなら、そこから攻めるか。


「クレシュ=カギナリって名前に心当たりない?」


 行き成り自分の名前を出されて戸惑いが見られたが、直ぐに平静を取り戻す。


「知らないかな。聞いたことないよ」


「ファウ殺害の犯人一味よ。ひどいわね、罪もないお兄さんを……」


 ここのポイントは罪もないを強調する事。意に反する答えには自らの言い分を言いたくなるものだ。そして、その憎しみが深ければ深いほど言わずにはいられない。さて、お前はどうだ?クレシュ=カギナリ。


 息を吸い込む音が聞こえたがそちらを見ずに続けた。


「本当、何の罪もないのにお兄さんが可哀想」


 もう一押し必要か?


「……ある」


(ん?)


「ゴミの様に切り捨てた……からよ」


「なに?リリス」


「……な、何でもない」


 確かに言ったな。切り捨てた?俺が?誰を?


「そう?じゃぁ、私はそろそろ戻るね?」


(え?いいの?)


 葵の疑問も最もだが、優先順位がある。それは、今ここでこいつの正体を暴き捕える事ではない。捕らえて拷問でもするのか?俺にはその選択肢は無い。そして本物のリリスの居場所が確定してない以上、その行動は悪手だ。


 リリス(偽)は答えなかった。自分の失言をどうするか、流すべきか、誤魔化すべきか思案中ってところか。だからこそ引き時だ。


 冷静さを取り戻す前に次の行動に移らせる。


 十分に種は蒔けたはずだ。





 さて、奴はどう動くか?


(葵、奴を式神で見張れるか?)


(ええ、出来るけど……)


(奴が、この後何処に向かうか知りたい)


 俺の予想が正しければ、そこにスタアも居る。さてこの選択は凶と出るのか吉と出るのか。真巫女のご利益にも期待しよう。




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