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00:転生?余裕だよ


 気がつけば乾いた地面。


 今回は()()()とは違うらしい。


「ディア?」


(おはようございます。マスター)


(音声サポートよろしく!文字列はいらない!)


(はい、マスター)


 響いてきた声は若い女の()んだ声だった。


(現状把握を最優先だ!こちらの戦力、敵戦力の同時解析で頼む!)


 『相棒(ディア)』に指示を送りながら辺りを見回し、手元に転がっていた武器を拾い立ち上がる。


(初期行動は一定範囲全ての『解析』。必要な情報はマスターへ。では、改めて……初めまして、私のご主人様(マスター)




 俺『ファウ=バルド』は()()()だ。たった今『転生』して来た『転生者』だ。


相棒(ディア)』との会話は今が初だ。『ディア』とは俺の『解析』の『補助機能』だと解釈してくれたら間違いないだろう。一度目の俺には無かった『サポートスキル』だ。


 今いる場所は街道沿いだが、両側は森林に囲まれ死角が多い。少し距離があれば、視認できなくなるだろう。


 敵……と認識された数は十人程。辺りには、漂う血の匂いと剣を打ち合う甲高い音が響きわたる。既に敵味方ともに怪我人、考えたくはないが死人が出ている可能性もある。


 俺を中心に四人の騎士が前後左右で剣を振るい敵を(しの)いでいた。俺を守ろうとしているのか?


 「さて、転生早々、何に巻き込まれているのやら……」


 マントの紋章から王国騎士だと分かる。『ファウ=バルド』にとっては、王国騎士とは少なくとも味方ではない。だが現状の俺は、王国側で守られているらしい。


(どう見ても、狙いは俺だよな?俺に向ける殺気が駄々洩(だだも)れだ)


 敵の武器、防具共に一般的な冒険者風。ただ剣技は冒険者のそれとは違う。俺の『解析』でその型は判明している。感じた違和感は、敵に対してのモノか?味方に対してのモノか?



(マスターに恨みを抱く者、もしくは存在そのものを汚し(おとし)めようとする者。もしくは両方。僅かな欲情も感知されます。いずれにせよ、私のマスターをここまで求める情熱に屈してしまいそうです)


(いや、屈するなよ?欲情ってなんだよ……俺にそんな趣味はない!)


 今の俺では、生きるか死ぬかは『相棒』次第。現に『ディア』が居なかった()()は遺跡であっけなく死んでる。120秒で成すすべなく殺された。


 ……苦い思い出だ。


 死亡が思い出とはおかしな話だが、そうなのだから仕方がない。


「期待してるぜ『相棒(ディア)』」




(現在の主な装備、解析完了しました)


現状武器:第三聖女の錫杖(しゃくじょう)

現状防具:聖女の羽織(慰問用(いもんよう)

装飾  :蒼の聖女の指輪

     蒼の聖女の首飾り

戦技  :現状装備での使用不可


(ん?)


 文字列はいらない……と言ったので、音声のみは分かった。


 ただ、思わず声が出る。


(待て……)


(了解。待機)


(せいじょ?)


 俺は『自分』の足元に目をやる。視線を下に向けると明らかに『俺』には有るはずのない『モノ』が存在、『視野』がいつもと違う。


 そりゃそうだろう?男には予測することすら想定外だ。考えてみてくれ、目が覚めたら自分の胸に二つの膨らみがあるかも?……なんて本気で想像できる男が、いったいこの世に存在するというのかっ?


 ……まぁ、いたらすまん!


 だが、そういうことだ。そこには明らかに視界を(さえぎ)る『二つの丘』が存在したのだ。俺には無いはずの『モノ』がそこにはあった。


(まてまてまてまてまて……)


(了解。待機続行します)


(そうじゃないが、待て!)


 落ち着け俺。何だこれは?どう見ても『アレ』だよな?しかもデカイ。いや、そんなことはどうでも……良くはないが、今はどうでもいい。



    深呼吸



 俺は『ファウ=バルド』れっきとした『男』だ。


 だから『コレ』は男にあって良いものではない!


 もう一度……視線を下に……。


 『谷間』が見えた……。



「なんじゃこりゃーーーーーーっ!!」



 思わず両手で『ソレ』を鷲掴(わしづか)みのまま絶叫する俺に『相棒(ディア)』の声が響く。


(胸、胸部、バスト、おぱ~いと色々な呼び名がありますが主に育児初期に母乳を与えるために使用。また、女性の象徴(しょうちょう)、癒し効果を与えるとの学会での報告あり。それ以外の使用方法としましては、夜の営みの際に恋人または夫の……)


「はい!そこまで!何研究してんだよ!学会!」


(学会へのクレーム。魔伝達(送信)


「お前も、何言ってんの!?」


(マスターの問いに対しての回答です。尚、助言ですが、実演するのは控えた方がよろしいかと提案します。マスターの心が折れてしまいますよ?)


「いや、しないよ!『なんたるか』を聞いたわけじゃないから!『なんで』俺に、おぱ~い……いや、バストがあるのか聞いてんだよ!」


(はぁ)


「いや、はぁ……じゃなくてっ!」


(女性にはあって当然と思われるのですが?大きさには個体差がありますので気を落とすことはありませんよ?マスターは、育ち盛りの女性ですから可能性はあります。いいですね、可能性。なんの根拠もない(なぐさ)めです。ちなみにクラスは聖女です。)


「なん……だと」


(エスリ王国第三聖女。個体名『レムスタリア=アルバーノ=フェイゼノルン』『(あお)の聖女』それが今現在のマスターです)


「レレレ……レムスタリア?」


(はい)


「帝国人だった俺でも知ってるよ?有名人だよ?」


 自分を指さして言う。


「聖女?」


(はい)


「それを先に言えーーーーー!!」


(あら、ご存じなのかと?)




 俺は『ファウ=バルト』(23)。男。


 『転生』は二度目で余裕……のはずだった。




初投稿となります。のんびり更新できたらとおもいます。

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