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GOD HAND  作者: ホムポム
第1章
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第9話 勘違いのオアシス 

「シェリル。オススメの店とか無いのか?」

魔狩人(まかりうど)がシェリルに酒場の場所を聞く。


俺は酒飲まないからな。

シェリルの方が詳しいから居てくれると助かる。


「オススメ……って私が知る訳ないでしょ!?」

シェリルはアサミの手を握り魔狩人を睨む


「……何言ってんだよ?んー。」

言い方が不味かったか?

オススメって言われても味覚によって色々あるからな。


俺も急に〈オススメの珈琲〉とか言われても。

その人に合った珈琲を薦めたいから。

それと同じだろう。



「言い方が悪かったな。多少無茶が聞きそうな

酒場だ。値段はある程度我慢しよう。」


とりあえずはアサミが酒を飲んでても

注意されなさそうな酒場。これが1番だ。


シェリルは少しだけ冷静になり

「無茶がきく酒場?それなら……

……ガラは悪いけど、そこの路地に入った所に………」



何かを察したように言葉を区切る

「魔狩人……貴方……まさか…………」

ワナワナと震え出すシェリル



流石に理解したか……アサミを連れているんだ。

アサミが酒を飲みたい事を察したんだろう。

あとは協力してくれるか、否定するかだ。


「察しの通りだシェリル。協力してくれ」


シェリルは両手を突き出し、左右に交差させながら

「ダダダ……ダメよ!初めてなのに

いきなり大人数なんて!私は貴方以外は絶対嫌!」



こっちがダメだ。

シェリルの言ってる事は大体理解できん。

対処方は……解らない。 無視するしかない。


男はスタスタとシェリルが教えてくれた

酒場へと歩を進める



カラン カラン


「………………」店に入った瞬間、店員や客が俺を睨む

挨拶なんて物はない。



フフ……いい感じじゃないか。

コイツなら『子供に酒を飲ますな』などとは

言わないだろう。それ以外の難癖なら……

魔狩人が不敵に笑みを浮かべる



カラン 小さく鈴の音が響く


シェリルが顔を出し

「おお〜〜!」アサミが俺の向かいに腰掛ける


「中々良さそうじゃないか!

シェリル!そんな場所で見てないでこっちに来いよ」


魔狩人が手を軽く振りながらシェリルを呼ぶ

「シェリルちゃん!こっち〜!」

アサミも同様に彼女を呼ぶと


キョロキョロと見渡し

アサミの隣に警戒しながら腰を下ろした


「シェリル好きな酒を適当に頼んでくれ。

アサミ。それで良かったか?」


「うん!」

シェリルにメニュー表を渡すと

アサミも覗き込むように見つめる。


「…………酔い潰そうって訳…………

私を見くびらない事ね!破産させてあげるわ!」



………………


程なくテーブルに大量の酒が置かれる

シェリルはグラスを片手に

「魔狩人……勝負よ!」


グビグビ グビグビ 一気に酒を喉に流し込む


「いや俺は飲まないよ。すぐ吐くからな」


ゴクゴク ゴクゴク


ダダン  同時に置かれた空き瓶


「へぇ……いつの間にそんなに

飲めるようになったの?私を酔わす為に必死って訳?

でもアサミちゃんの場所に空き瓶を置いたらダメよ」


そう言ってアサミの目の前の瓶を下に下ろす。

そして酒を手に取り


ゴクゴクゴク   ゴクゴクゴク



魔狩人は唖然としている

…………コイツ……バカなんじゃないか?

どう見ても俺は飲んでないだろ?



まぁいい。いつか気付くだろう。

魔狩人は優雅に珈琲を啜りつつ

二人の飲み比べを堪能する。


…………

……………………


「ま…かりう…ど……私がアサミ…ちゃんを……護る」


ドサリ……シェリルは酒の力に負けテーブルに伏した。

「……最後まで気づかないのか。」


ゴク ゴク ゴク


「アサミ。まだ飲むのか?

このペースだと金が尽きそうだ。

シェリルの分も払わんといかんみたいだ。」


ダンッ……一際大きな音が店に響く


「この世界の歪ミ…………まさに至福ヨ!」

「アサミ?大丈夫か?」


まただ……アサミは酒を飲むと

喋りがおかしくなる時がある。これが酒の魔力か……

恐ろしいな…………


「この至福のまマ……。店を出ようゾ。」


…………俺は酒は飲まない。

というかアサミは何故死なない?普通死ぬだろ?

いや……アサミが普通ではない。それだけだ。



立ち上がり会計を済ませに行く

店員がニヤニヤ笑いながら

「10万ルドンだ」


「……もう一度言ってみろ…………」


「ガキに酒を飲ませやがって……

そこの酔い潰れた色っぽいの姉ちゃんを

置いてくんなら見逃してやるぜ!」



店員の言葉に連動し客が魔狩人を取り囲む。

そして少女と酔潰れたシェリルにも


男は顔を覆い

「クククク…………お前達を《魔》と判断した。

その魔を…………狩らせてもらう」


ドス 店員の喉に手刀をめり込ませる

更に鼻骨めがけて拳を振り下ろす


「…………カ……カッ……」


「安心しろ。また来るから殺しはしない。

ただし……その魔は殺させてもらう」



魔狩人の姿が消える。

速く動いている訳では無い。視えないのだ。


ドンッ ズンッ


客達が何も出来ずに倒れていく。


その光景を残り酒を飲みながら見つめる少女


…………


………………


魔狩人が姿を現す。キョロキョロと店内を見渡しながら

「2人いない……」


急に消えた。店外に逃げた奴はいない筈

アサミとシェリルの近くにいた男2人……


「酒の(さかな)としては十分ダ」

アサミが席を立ち上がり 鈴の音を奏でずに店を出る


「……見逃したか?しょうがないな。」



シェリルを背負い。特に気にも止めずに

2人は月明かりを見つめながら斡旋所へと戻る。






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