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GOD HAND  作者: ホムポム
第6章  弔いへの復讐者達
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第85話 神々の住処


一週間の時間をかけクレッセントは空よりも高い位置に存在する天界へと赴いた。


表情は暗い。呼ばれた理由がわかるからだ。

人間との対等契約。結んだ瞬間に呼び出された。

第九位と同じ末路でもおかしくはない。


神々の住処の手前の場。

これ以上先は神以外は入れない。

2年前に人間が入ったという噂や12年前に魂を招いたという噂があるが真相はわからない。



程なく姿を現す。ボンヤリとした霧のような掴み所もない形。

少年のような男の子の2つ。


生命神(かあ)様。時神(にい)様。第十位此処に。」


クレッセントは目を見つめないように跪く。

己の短い生涯を諦めたかのように覇気もなく。


「私達は時間がある時に来なさいと言いました。

何故呼ばれたかわかりますか?」


霧の一粒一粒が声を発する。柔らかで温もりその物の声。


「……はい。ワタシは人間と対等の契約を結びました。

その件と思っています。」


「……もしも後悔しているのなら

今回は神々の一存で破棄を認めますよ。」


「え?」

生命神は意外な提案をしてくる。

契約を結んだ後に破棄を認める。そんな事をすれば世界の常識が成り立たなくなる。それでも破棄を認める理由は。このままだとクレッセントは処罰される。それをさせないため?


クレッセントが笑顔になり

「ありがとうございます生命神様!

ワタシは今すぐアン.ドーソンと契約を…………」


「どうしました?」


「ワタシはアンと契約しました。千年経って初めての契約です。この身体を創っていただいて初めて人間の名前を呼びました。

でも契約を破棄すればもう二度とアンの名前を呼べない。アンに名前を呼んで貰えない。

……ワタシは後悔してません。罰は受けます。

アンと……友達でいたいから。初めての友達だから……です。」




「そうですか。友達を大事にしてあげなさい。」

霧が晴れていく。何かに満足したかのように。


「なにも……処罰はないのですか?」


「勿論ありませんよ。

これからも期待してますよ…………私の可愛いクレッセント.ナイトメア。」


霧は完全になくなり残された銀の少女と男の子。

クレッセントは理解が追いついていない。

それを聞くのが

「時神様。一体どういう事ですか?

ワタシは処罰される為に呼ばれたのでは?」


男の子のが声を発する。声変わりも済んでいない。

無垢な少年の声で。

「母様達は説明を省きすぎだよ。

ボクが居なかったら四位みたいに帰されてたよ。」


四位。トルコマンが天界に呼ばれて褒められたと言っていた。確かにその点で言えばクレッセントも褒められた事になるのだろうか?しかし理由がわからない。


「十位。これから先他言はするなよ。

その前までは共有しても良い。ボク達にも予定がある。無理なら今すぐ帰れ。」


「だ大丈夫です。ワタシ……アイツ等嫌いですから。」


少年は笑う。神の命に逆らうはずがなないのはわかっている。ソレを敢えて確認し

「あの子は特別なんだよ。ボク達で守りたいけどアン.ドーソンは神に祈っても神々に助けてもらおうとは思わない。だから力が貸せない。ボク達は毎日ヒヤヒヤしながら見てるのさ。

あの子に危険がないか?馬鹿な種族があの子に危害を加えないかとね。」


「特別…………。アンは魔獣を使役していました。

それが特別な理由でしょうか?」


「ん〜。半分正解かな?いや違うな。20点。

その体で言うと十位もアン.ドーソンに使役されている事になるけど違うだろ?」


「ワタシとアンは友達です。魔獣とは違」

「同じだよ。君も魔物達も。なにも変わらない。」


クレッセントの言葉に重ねるように絶対的事実を告げる。

同じ……魔獣と同じ。ワタシが使役されている?

あって間もない初めての友達に?

薄っすらとクレッセントは涙を浮かべ


少年は腰に手を当て呆れたようにため息を吐く


「君は……もう少し色々考えたほうが良いかな?

でも君だから対等の契約を結べたんだとは思うけど。

一緒なのはアン.ドーソンとクレッセント.ナイトメア

アン.ドーソンと魔物達。


彼女は使役しているんじゃない。

魔物達が彼女に尽くしてる。

彼女も魔物達に尽くしてる。これは使役とは言わない。」


「アンと魔獣は友達……。」

にわかには信じがたいが悪魔と友達になれて

魔獣達とは不可能など今更通らない。

誰よりもクレッセントが否定してはいけない真実。


「ワタシもアンと友達。」

友達という心地良い響きにウットリとした表情を浮かべるクレッセント。他の悪魔は友達などではない。ただの同種族なだけ。


クレッセントと言う大事な名前で呼ばず

銀チビ。などと言うふざけた名で呼ぶ不届き者。


「話しを戻すけどアンドーソンの力は異質だ。

ある意味人間の到達点。偶然とはいえ器大神(だいにいさま)の悲願。その存在を失いたくはない。

彼女の力が全盛期なのかは神々もわからない。

だから今は様子見をしている。

発展途上なら様子見。少しでも衰えたら。神々(ボクたち)が動く。

十位もアン.ドーソンを気にかけてあげてほしい。

彼女の邪魔しない程度にね。」


神からの頼まれ事。拒否する理由もなければ

「はい!ワタシとアンは友達だから!

……失礼しました。神々の仰せのままに。」


思わず高ぶる感情をクレッセントは諌める。

二、三回深呼吸をして


「動く……とは。何をするのでしょうか?」


「天使がそろそろ起動する。

困った事に予定よりもかなり速い。

状況次第ではこちらから起動に移す。」


クレッセントは唾を飲みこむ。

「つまり……」



少年は笑う。賭け事を楽しむかのように

「 世界を滅ぼす天使を壊す 」






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