第72話 接触する才能
「リア……どうしたら……どうすればいいの?」
エリザベス王女は自室で三人の兵士に護衛されるように自室に籠もる。
老賢の命令。『金髪の少女に手を出すな』
それは何を置いても優先される。
仮にその少女家王族の命を狙ったのだとしたら?
なにも出来ないのであろうか?
そう思うと王宮内といえ護衛を付けずにはいられない。
「ねぇ、お人形さん達。どうすればリアを…………。
え?悪魔が来てますの?どうして?」
ブツブツと人形に話しかける王女。
それを見ている兵士達は思う。
「王女の精神は限界が近い。」
国王の傷。
竜人の刺客との接触。この一点は兵士は知らないが、
友人と言っていた亜人の精神崩壊。
立て続けに起こった悲劇。
拠り所は亜人の持ち物の汚い人形。
哀れな王女と、蔑む兵も中にはいた。
「交代の時間です。」
一人の兵士がノックもせずに部屋に入る。
「お前一人か?まだ時間には早いし……
何よりお前……ッッ!クセ者…………」
三人の兵士はフラフラとその場に崩れ落ちる。
「貴方が……悪魔?」
エリザベスは3体の人形を抱きしめる。
「アクマ ダイヨンアクマ トルコマン.キリング」
獣の人形が声を荒げる。
残りの2つの人形は動かない。
「あぁ……声が聴こえてんだからわかるだろォ!
どうだァ!?その力は?気に入ったかァ!?」
兵士の身体は伸び上がり服を破り髪は銀へと変色する。
不快な言葉に王女は震える。
しかし悪魔は敵ではない。むしろ。
「この人形は……魔法ですの?
何故わたくしが?わたくしだけに人形の声が聴こえますの?」
「……説明いるかねェ?テメーが1番才能を持ってたァ。それだけだァ。流石は姉妹だなァ!」
「姉妹?マリ……メアリーも同じ力が?」
銀の悪魔トルコマンは唾を吐き捨てる。
「妹とは関係ねぇよォ。……本題だが……その力は俺様が貸してやってるゥ。しかしそろそろ返してもらうゥ。」
その場に崩れ落ちた筈の兵士達は積み上がっており
そこに不遜な態度で腰掛け王女に足を向ける。
尚も口は閉じず。
「また力が欲しけりゃ対価を払えェ!どうだァ!?」
「対価?」
魔法使いは悪魔と契約して高位の魔法を行使出来る。
代わりに対価を支払う。
一回限りの変えの効かない対価。
もしくは永続的に搾取される対価。
「おれ様は第四位だから一回限りだァ!
良かったなァ!血液とか要らねぇぞォ!」
「な……何を対価に……聞いてもよろしいの?」
いつの間にか悪魔の言葉に魅入られる。
リアがあのようになった現在。そしてやっと信じられる唯一の存在はこの人形達だけ。
その力ももう失われると告げられる。
しかしそれも王女次第。悪魔次第だ。
一回限りの対価などとてつもない物を請求される。
悪魔はヨダレをたらし形を造る。
「お前の妹の命だァ。良かったなァ。
依頼してただろォ!特別に好きな殺し方で叶えて殺るよォ。
……神罰は俺様でも不可能だから、ちゃんと考えとけェ!」
「…………ッッツ!」
悪魔は何処まで知っているのか……もう全部知っている。エリザベス王女は悪魔達に依頼した
メアリー王女を、殺してくれと。
銀の悪魔と悪魔と契約して名を失った者。
右腕を変貌させられた者もいる。
それが自分にはノーリスクで魔法が使える。
人形とずっと話せる。だから答えは必然的に……
「お断りしますわ!要件が済んだのならお帰りなさい!」
きっぱりと意志を、突き付ける
銀の悪魔はそれすらも見越す。
「へへへへははへへ!!悪魔を手懐けたつもりだったかァ?
殺してくれと言われたから殺さずに監禁しちまったからよォ!
当り前だよなァ!?悪魔は人間の頼みなんて聞かねェ!
王女には一本取られてるからなァ!
…………さてお遊びは終わりで遊びの始まりだァ。」
銀の悪魔が立ち上がり王女に手を差し出す。
「力が欲しけりゃ俺様の手を取れ。」
不快な言葉は投げつけず真剣な眼差しを向ける。
「何を……わたくしの何を取るんですの?」
王女は警戒している。当然だ。相手は悪魔。それも悪評高き第四悪魔。
悪魔の悪評の3割が第四悪魔の仕業とまで言われている。
警戒するに越した事は無い。
「強いて言うなら俺様の手を《取れ》。
悪魔は約束だけは絶対に守る。悪魔のルールを覚えておけ。
俺様はお前からは……お前が嫌がる物は絶対に取らない。約束する。」
「約束……ですわよ。」
フラフラと吸い寄せられるように。
「…………それでも。」
エリザベスは銀の悪魔の左手を握った。
「それでも対価は確認しとくべきだったなァ!?」
トルコマンが舌を出し愉快に笑う




