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GOD HAND  作者: ホムポム
第2章
30/184

第30話  禁断の書

「……ですので像などを建ててあげて祀ってもらえれば。

この地は此処に住むモノによって守られます。」

リアが方陣の維持に必要な条件を言い渡し。


「ま…待ってくれ。覚えられるかな?」

人々が必死で暗記しようとしていると


「一応書いておきました。文字は読めますか?」

人々が紙を手に取り

「……これなら大丈夫だ!意味は理解出来る。」



「あとは……」リアはバックの食料を全て差し出す

「保存食は食べて結構ですので、穀物は紙に書いてある時期に植えて下さい。それじゃあ。」


「重ね重ねありがとうございます!亜人の魔法使い様達」



…………


……………………


3人は廃屋へと戻る。

斡旋所あった場所も確認したかったがリアが

戻ろうと強く提案したのだ。


アサミと、マリーも斡旋所に用事などないので快諾する


廃屋に入り魔力の喪失した翼の生えた蛇を

軽く指でなぞる。

「……今なら戻れます。」

そう言ってリアは小瓶の液体を数滴垂らす


ポタ  ポタ  ポタ 


光が廃屋を包み瞬く間に…………

外を確認する3人。緑溢れる大地はそこに無く

爆発を起こしたかのような不毛な大地が拡がっていた。



「……ハハ……戻れましたかね。」

「うん!リアちゃんは凄いね!」

「………………」


二人とは裏腹にマリーの顔は沈んでいる。

「どうしたの?マリーちゃん?」

アサミが心配そうに顔を覗き込む

「えぇと……あの…………その……」


歯切れの悪いマリーの手を握り締め

「一緒に行こ〜!心配しなくていいから!」

「アサミ様……ありがとうございます。」


リアも意を決したように

「あの町へ行っても良いですか?

私は知りたいです。どうなったのか!」

「うん!何があってもあたしが守ってあげるから!」


あの町へ。つい数日前にリアが殺されかけた町。

あの集落へ。つい250年以上昔。リアが救った集落へ


…………

………………


その町は立派な街並みになっていた。

以前と同じ大きさ。しかし発展度合いが明らかに違う。


街へ入ろうとする3人を。見張りが止める。

「……一人は解っているが。

後の二人は入るなら好きな物をつけろ」


そう言って差し出される。大きな付け耳や尻尾

付け鼻。歪な爪などの局部衣装を。

「え?あの……どういう事でしょうか?」

「……何って今年は……あんた本物の亜人だな!?

オォーイ!本当に来てくれたぞー!鐘を鳴らせー!」


カンカンカンカン けたたましい鐘の音が街を包む



ズダダダ大量の人々が押し寄せ

3人を。マジマジと見つめる。

街の人々は皆 身体に獣の特徴を身に纏っている。

手作りの物もあれば……本物の亜人も何人も居る!

少し怖いが何なのだろうか?


「確かに……似ているかな?伝説は本当だったんだ!」

人々はまだ押し寄せて来る。

3人を中心に巨大な輪となり歓声が街を越えて

大気を震わせている。


「あ……え……せ…説明を……お願いします。」

混乱しながらもリアがなんとか声を絞り出す。


「貴女は亜人の魔法使い様ですよね?

失礼でなければお名前をお教え下さい。」

皺枯れた男がリアの瞳を覗き込む。

「……あ。…………はい。リア…………です」


リアが自身の名を口にすると街全体が更に熱狂する


ーーーーーーーー

いくら何でもおかしい。

私はそこまでの事をしたのか?魔除けの方陣を敷き

食料を与え。芋を植えただけだ。

250年以上昔の事の筈なのに何で現代の人々が

ここまで私達を歓迎しているのか?



老人が1枚の紙を手渡す。

「私達は皆 貴方様を待っていました。

恩返しをする為に」


掠れた1枚の紙に目を通す。

かなり古い紙。よほど丁寧に保存しておいたのか?

文字も読み辛いが……読めなくもないかな。


「……え?……誰がこんな事を…………」





〈269年後 私達は戻ります。貴方達の子孫に会いに。

それまでの大きな事柄を記しますので活用して下さい。


神暦604     大陸変動 

神暦680 南の竜人族と北の蛮族の戦争勃発

神暦708 西の一人の男が戦争を終結

神暦710 ヴァイス王家誕生 王宮暦誕生

神暦722  初代ヴァイス王 ウィリアム.ヴァイス死亡 

神暦723  世界各地で戦争勃発 虐げられし者の反乱

神暦751 神暦史上最悪の英雄 戦鬼出現 

     この人物により反乱戦争強制終結


神暦751〜843  神々の慈愛  


神暦801 ヴァイス王国と北の蛮族との戦争勃発  

神暦843     

神暦848  王国と蛮族の戦争終結

神暦858 奇跡の目撃。数日後

神々の消失 神々の声が聴けなくなります


神暦859  神々の復活 

神暦860 亜人の魔法使い リア この集落に再び戻る


この紙は集落以外の人物に決して見せないで下さい。

必要なければ捨てて下さい。〜魔法使いの従者より〜〉



「あ……あ……」

これは……予言書になってしまっている。

私は慌ててアサミさんとマリーさんを見る

アサミさんは何の事か分からない顔をしている。

……マリーさんか…………何でここまで…………


マリーさんに小声で話しかけようと……意図を知る為に。

「…………」違う。意図は解っているじゃないか。

亜人の為にマリーさんが良いと思った事をやった。


私の興味本位なんかよりも余程真っ当な理由

彼女に出来る事を精一杯やっただけ。

それに対して私があれは良くて

これはダメなど言える筈が無い。


…………

街中の人々に促され広場へと足を運ぶと

確実に変わらない物がそこにあった。

「……この井戸………」

その隣に大きく獣耳の女性が杖を掲げている石像。

獣耳の女性に寄り添うように小さな女の子と

髪の長い女性の石像がそれぞれ。


「あの……この街での亜人はどうなっていますか?」

どんな顔をして聞いたのだろうか?

不安な顔だったのか?それとも……

街の人々を見れば、答えは一目瞭然ではないのか?


何故町に入る為に局部衣装を強制させようとしたのか?


「この街では現在住人の2割程が亜人様です。

ですが国からは認められておりませんので。

皆亜人の格好をして、暮らしております。」


「……ッッ!」瞼を閉じて奥歯を噛み締める

「街の皆さん……本当にありがとうございます。

私もこれから皆さんが住みやすくなるように

頑張りますので……」

涙は溢さないように我慢した。


ポタリ 地面が濡れたけれど涙では無い。



   だって私は嬉しくて感激しているから



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