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GOD HAND  作者: ホムポム
第1章
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第三話 心のオアシス

「ん〜〜…………」

少女はメニュー表を険しい顔つきで睨んでいる


「島の外はわからないな〜。

取り敢えず沢山!あたしはミルクね!」

少女はメニュー表を男に渡すと

キョロキョロと辺りを見渡す



「……マジか?」

驚きながらも店員を呼ぶ魔狩人

「……酒を適当に見繕ってくれ。この子にはミルクだ。」


時間も置かずに男の前には数種類の酒

少女の前には濃厚なミルクが置かれる。


「わぁ!いただきます!」

少女が手を合わせてお辞儀をすると


ゴキュ ゴキュ ゴキュ


「プハァ!おねぇちゃんの

おっぱいの次に美味しいです!」

ドン!とカラのグラスをテーブルに置く



…………少女はどう見ても10歳未満だ。

おっぱいを飲む歳でもなければ…………


「なぁ……アサミ。ホントに大丈夫か?」

魔狩人の男は心配する。


いい歳して母乳が好きな

少女を心配しているのではない



「何が?…………今ね!」

辺りをキョロキョロ見渡し隙を突くように


ゴクゴク ゴクゴク


ダン! 酒を一気に飲み干した


「…………もうちょっと……ゆっくり飲めば……」


グビグビ グビグビ


男の忠告も虚しく

ダン!2杯目も少女の身体に吸い込まれていく


「此処にはあたしを知ってる人が居ないのよ?

ゴンちゃんも喜んでるわ!」


少女の言っている意味が解らない

解る事といえば………


「お、おかわりか?」


「うん!まだまだ沢山!!」

少女はまだまだアルコールを欲している事だけ

…………


……………………


「…………ああ……あ……」


男から驚愕の呻きが漏れる


ゴクゴクゴク


テーブル一面にカラの酒瓶

明らかに少女の身体に対して容量をオーバーしている



いつの間にか人目を忍んで飲む事を忘れ

無我夢中で酒を浴びるように飲む少女




「オイ兄ちゃん。あんたの娘……妹か?

もしくはあんたの物かも知れねぇが……

常識って物を考えろよ!子供に酒なんか飲ますな!」


見知らぬ男が魔狩人の肩を掴む


「…………チッ」

魔狩人が男を睨むが何も言い返せない。

誰に聞こうと。魔狩人が悪いと言うだろう。



まぁ良い。放って置いたら何処まで飲み続けるか

知れたものではない。

「アサミ……そろそろ出るぞ。

そこの男に注意された…………動けるか?」


「何!?馬鹿ナ!?

此処からが我の身体に酔が廻る

至福の時ではないカ!?」



少女の様子がおかしい……

呂律(ろれつ)か?言葉が聞き取り辛い。

まるで……人間の言葉を生物が真似たような……


少女を改めて見てみると

「……はぁ〜い!今日は沢山飲めたんだから……

これからはもっと飲めるよ!マー君が居るから

何時でも飲みに行けるんだよ!?」



少女は椅子からピョンと飛び跳ね

酔いなど一切感じさせず、足取り軽やかに酒場を出る



「…………いくらだ?」

男は恐る恐る会計をする


「千ルドンです!ありがとうございました!」


「……ハァーー」

カラン カラン 鈴の音と共に魔狩人が店を出る。

辺りはすっかり暗くなってしまった。


「アサミ……金は少しずつ返すから……

取り敢えず家に帰ったらどうだ?家まで送るから」


この少女といたら破滅する。

男なりの直感。

いや、金銭面では既に破滅しかけている。




「ん〜?帰る気もないし……

船が出ないから帰れないよ?」

少女はアクビをしながら夜風を堪能している


「船?もしかしてアサミって……

太陽の島から来たのか!?」


「解かんないけど……あの島だよ〜」

少女が遠くの島を指差す


月明かりに照らされた神々しい1つの島

「…………太陽の島の住人」


魔狩人の男は驚愕する

2年前に国から異例の特別許可を貰い、

その島は身分が存在しない。全てが平等の島。



太陽が見守る島。人々……生命の楽園

その噂を聞きつけ絶えず人が押し寄せ。

今では観光だけでも丸一年は待たないと入れない

国王でさえ……例外なく順番を待っているという噂だ。



移住など奇跡待ちだ。

金持ちが受け入れられる訳ではない……

選ばれた者……運が良かった者か?……

その基準は誰にも解らない。



その島の住人……アサミ…………

この少女と一緒なら……俺でも受け入れられるのでは?


「アサミ!俺をあの島へ連れて行ってくれ!

俺は……太陽の島に行きたいんだ!」


少女の肩を掴み瞳を真っ直ぐ見据える

「お金支払ったら……一緒に行こ!」


少女は満面の笑みで応えてくれた。



二人は太陽の島を見据えそれぞれの夢を呟く

「あの島に……太陽の島に行きたい」

「島の外なら……見つかるよね……貴方の…………」



「……取り敢えず、俺の家に来るか?少し遠いし、

借り家だから、そろそろ引き払うけど……」



「おぉ〜!明日からもっと遠くに行こ〜!

ここも明日には危なくなるかも知れないし!」


少女は腕をブンブン振りながら太陽の島に背を向ける

男は太陽の島を名残惜しそうに見つめながら



「いや……そっちじゃない!逆方向だ。」


二人は港町を後にした







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