第23話 脱出劇
二人は視認出来るようになった廃屋に入る。
「誰か居ますね……1人…………です」
リアが耳を当てるまでも無く物音を察知する。
「……人が居るなら外れかな〜?」
アサミは気配を感じると
興味を無くしたように家を徘徊しようとするが
「…………けて。」
部屋の奥からくぐもった声が聴こえる。
必死に絞り出した声。懇願するような
「アサミさん。誰かが呼んでます。
私行ってみます!」
リアが声のする方向へ恐る恐る歩み寄り
ガチャリ 扉を開く
目の前には鉄で何重にも覆われた牢屋。
その中心に。女性がいた。
長く金に輝く髪はくすみ、肌は荒れ
頬は痩けていてそれでも瞳の奥は輝いていた。
「貴女は……?た助けて!私をここから出して
下さいませんか!?」
女性は鉄の牢に、触れないように必死に頼み込む。
「え?あ……と。」リアは辺りを見渡す。
助けようにも、牢屋には当然鍵がかかっている。
鍵穴を調べようと手を伸ばすと
「ダメです!牢屋に触れたら。
術警報がなって気づかれます!」
女性が慌てて止めに入る。
「ど…どうやって助ければ……」
リアは後ろを振り返るアサミが見ている。
いや、少女が見ているのは部屋全体だ。
「…………ん?」
アサミはリアの視線に気づくとすぐに察した。
「リアちゃんが助けたいなら手伝うよ!」
リアはコクリと頷くと
アサミは躊躇いも無く牢屋に触れる
ヒュィィィーー
静かな音が微かに聴こえる。
耳を済ましてやっと聴こえる程の小さな音
「貴女………」女性は驚いている。
忠告をしてもなお
牢屋に触れたマヌケな少女に驚いたのか?
それとも 少女の触れた鉄の檻が
溶けている事実に驚いたのか?
女性は溶けた檻から恐る恐る出てくる
深くお辞儀を済ませ。
「本当にありがとうございます。
ですが此処は危険です。間もなく警備の者が
やって来るので、どうか一緒に逃げて頂けませんか?」
「……アサミさん。どうしますか?
何か危険な感じがしますけど」
リアはアサミの意見に頼ろうとする。
「うーん。あたしココを見てから行きたいけど。
リアちゃんが行くなら あたしもココを出るよ。」
意見を投げ返される。『リアが決めろ』と。
「わ私は……アサミさんに付いてきたので、
アサミさんが残るなら私も残ります。
……そういう事なのでアナタは一人で逃げて下さい。」
「……解りました。無理を言って申し訳ありませんでした。
いつかお礼をさせて下さい。
亜人のお嬢様に小さなお嬢様」
リアとアサミの手をそれぞれ両手で握りしめ。
フラフラとした足取りで廃屋から出て行った。
…………
「誘拐された人でしょうか?」
「ん〜。あたしみたいな人かな?」
リアは握られた手をジッと見つめる。
「優しい人もやっぱり居るんですね。……アサミさん!」
「わかってる!リアちゃん優しいもんね!」
やはりアサミは察してくれて言い終える前に小屋を出る
…………
「……先程の女性は…………」
リアは地面に獣耳を押し当て察知する。
微かな振動を聴き逃すまいと。
「…………アサミさん。人が大勢来ます。200以上です」
リアは驚きながら事実を告げる
「おぉ〜。どうしよう?」
アサミは地面を目つめ廃屋の下に目をやると
「見っけ〜!隠れんぼ?」
「あ……貴女達も隠れて下さい。
見つかれば貴女達もタダでは済みません。」
女性は二人を気遣いながら手招きする。
3人身を寄せ合いながら軒下へと隠れる。
息を殺し気配を殺し。
しかし痕跡は殺せない。
何者かはわからないが。
女性の為に200もの人が集まった。ただ事では無い。
その何人かが当然気付く。軒下への足跡に
軒下をゆっくりと覗き込むと
…………
「……」「……」「……お?」
「いたぞ!協力者は亜人だー!」
一斉に囲まれ男の1人が軒下へと入り込む。
「亜人は目ざとい奴が多いからな!
薄汚い野良猫の亜人が!叩き殺してやる!」
男はリアの獣耳を見て瞬時に亜人と判断する
そう……判断して手を伸ばす。
亜人を引きずり出そうと
「リアちゃんを虐めたら……ダメだよ〜」
僅かな日の光がしか入らぬ軒下で
確かに少女の瞳が薄暗く輝く
…………
ゴソゴソと軒下から這い出たのは
肩までかかる紅い髪の少女。アサミ一人
「アナタ達もリアちゃんを虐めるの?」
少女はキョロキョロと見渡す。
一人一人の意思を確認するかのように
「オイ……さっき軒下に入った仲間はどうした!?
油断して殺されたのか?」
「……見られちまってる。子供だからって。
容赦出来ねぇ。殺すしかねぇよ。」
男達の どの言葉に反応したのか?
アサミは白い歯をギラリと光らせ鈍い笑みを浮かべる
アサミは軒下に向けて
「出て来て良いよ〜」軽く言い放ち
リアが恐る恐る。女性は震えながらも
アサミに従い軒下から這い出る
男の1人が笑いながら
「今更謝っても無駄だぞ。
お前達は見てはいけない者を見たんだ。」
「…………手かして。」
アサミは男の言葉を無視してリアと女性の手を握ると
タン 地面を踏む
ドンッ アサミを中心に地面が盛り上がる
廃屋の屋根への架け橋のように
「……あたしの身体を 絶対に 離さないでね。」
アサミがリアの手を離す。
「は、ハイ!」リアは言われた通りに
アサミが女性が握っている片手にしがみつく。
女性も震えながらも少女の手を強く握る
少女が指を天高く掲げる。
「一周〜め〜!」
小さな円を描く。指は薄っすらと輝きを放ち
「2周〜〜め〜〜!!」
更に一回り大きな円を描く
輝きの円は天使の輪を用意に想像させた。
大きく息を吸い込み 一言で全てを吐き出す
「スゥゥ〜〜ッッ
落ちろ! 」
掲げた指を勢い良く 大地に振り下ろす
一帯の光全てが指を指し示した場所へと集まり
「 核爆発 」




