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GOD HAND  作者: ホムポム
第1章
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第14話 亜人

「…………グ……あ…あ」

情けない声と共に魔狩人(まかりうど)の意識が覚醒する



「マー君起きた!? 1番だよ!」


「アサミ?……何で……ここは……」

辺りを見渡し現状を確認する。


古代遺跡……大鬼を討伐して一旦戻ろうとした所を

喰われたんだ。得体の知れない怪物に。


「ローブが溶けてる……」

喰われた影響か?身体に痛みは無いが

服が所々溶かされている。

ローブは古かったから買い替えるには丁度良いか……


魔狩人が自身について分析していると。


「シェリルちゃんに渡した髪の毛が切れたから

急いで来たんだよ。」


「シェリル…………」隣に目を落とす


スー スーと寝息をたて

服が溶かされ半裸の状態で放置されている。

しかし妙な艷やかさを醸し出している。

左手に結ばれた紅い糸は……

アサミの髪の毛だった。今はそれが無い


「ゴンちゃんが一緒に飲めて楽しかったから、

お礼にあげたんだけど……切れちゃったね!」



「そうか……アサミが助けてくれたのか。

ありがとう。」


シェリルに穴開きだらけのローブをかけ

アサミにお礼をする魔狩人。

アサミが来なければ3人は全員溶かされていただろう。


衣服を溶かされ、皮膚を溶かされ、肉に……骨…と

考えただけでも恐ろしい。



「ん?んー」程なくリアが目を覚ます


「リア。起きたか?身体に異常はないか?」


リアは辺りをキョロキョロ見渡し

「え?別に何ともないですよ。

それより……なんで服が溶けてるんですか?

魔狩人先輩。私に何かしました?」


リアは胸を隠すようにニヤニヤしながら魔狩人を睨む。


あんな目にあっても全然余裕そうだな。

証拠に溶けた帽子から飛び出した

獣耳がピョコピョコ動いている


「魔導書も……無事ですね……」

リアは心底ホッとしたように一冊の分厚い本を

大事そうに抱きしめる。同時に大きな耳がお辞儀をする



「何もしないよ。助けてくれたのはアサミだ。」


「え?アサミさん?……ありがとうございます。」

少し納得して、なさそうだったが

それでもしっかり感謝をする。


「リアちゃん!大っきぃお耳が動いてる。可愛い〜!」


「え!?」

リアはアサミに指摘されると慌てて耳をさわる。

穴が空いた帽子から飛び出した元気の良い獣耳を……


「アサミさん!これは……違うんですよ!

えぇと…………アクセサリーです!オシャレです!

私は亜人ではありません!」



  亜人

人間が人間以外と交配する事で生まれる種

純粋な人間よりも劣るとされ。

生まれながらに奴隷と同じかそれ以下の扱いを受ける

下位の種族。リアはソレを隠す為に普段は

帽子を被っていた。


「…………」アサミは無言でリアに近づき


20センチまで伸びた歪な爪をリアの首に突きつける

「ヒッ!!ア……アサミさん!?」


「己の種族に誇りすら持てぬのなラ……この場で果てヨ!

種は卑下するために存在()るのではなイ

自身を高める為に存在しているのダ!」


明らかにアサミの声ではない。

聴き取り辛く、荒々しく野太い声。

しかし間違い無くアサミが喋っている。


「…………」リアは涙目になりながらコクコクと頷く


「……忘れるナ。同志ヨ」アサミの爪が縮んでいく

元の血行の良い、可愛く小さな爪に戻っていた。




「アサミ……酒を飲んだのか?」

魔狩人が恐る恐る確認すると、


「うん!外の人がくれたの!久しぶりだったよ!」

…………デニス達か。

あいつ等こそ何も気にし無さそうだからな。



「……アサミさん…………カッコ良いですね」

リアは自分の獣耳を撫でながら

少女に敬意の眼差しを向けていた



………………


「魔狩人先輩……どうします?」


どうするとは、まだ起きてないシェリルの事だろう


「シェリルが起き次第、一回戻ろう。

次はパーティを増やす。動ける奴はいるだろう。」


リアはシュンとなり

「私達……失敗になりますよね?」


確かに成功とは言えないだろう。

デニス達も失敗し俺達も引き返し、

まだ目的の5階層に辿り着いてすらいない。


最悪マスターを呼んで片付けてもらうしかない。


「アサミ。一回戻ってまた此処に来るから。

それでも良いか?」


「ダメ!あたしは早く行きたいの!

外の人達、待っててくれてるんだよ!?」

アサミは頬を膨らませながら抗議する


「マー君達は何をやったら帰れるの?」


「えーと……この下の階層までの

怪物を除去する事ですね。

1週間程かけて少しずつ攻略するのが良いかと……」


リアが耳を項垂(うなだ)れながら答える



「それだけ?だったらあたしがやるから早く帰ろ!

二人共シェリルちゃんを見ててね〜!

すぐ戻って来るから!」


アサミは手を振りながらスタスタと奥へと

「先輩!私……アサミさんを戻してきます。

シェリル先輩を見てて下さい!」


リアは魔導書片手に

「アサミさーーん!待って下さーーい!」


「ああ……」気のない返事をしつつシェリルを見守る

マスターを呼ぶ必要なんかないじゃないか。

アサミなら直ぐに終わらせてくれそうだ。




    予感ではない……確信



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