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GOD HAND  作者: ホムポム
第7章  愛しの我が子へ
113/184

第113話  南の国の王国。


大陸中央から西部方面に位置するヴァイス王国。

中央から南にある国。南の王国。


肌が鱗に覆われた人種。亜人が納める国。

自らを竜の子と信じ亜人ではなく竜人と言う種族と呼んでいる。


南の国に正式な名前は無い。

何故なら国王が頻繁に変わっているからだ。


3年に一度南の国で開催される闘技大会。

そこで優勝した竜人族が現国王と一騎討ちをし

勝てば新国王。強い者が王となる。


ただここ30年は王が変わっていない。

正真正銘の竜人、

竜王のフェイラーがその座に君臨し続けている。


彼はかつて龍と一騎討ちを果たし見事

龍に力を認められた者。

褒美として龍から祝福を賜っている。

他の竜人と次元が違う。


南の国の闘技大会は他の亜人の参加は認められている。勿論人間も認められている。

しかし参加者に人間はいない。

例外なく参加した人間は殺されるからだ。


目玉をくり抜かれ。皮を剥がれ。肉をむしられ。

龍神への供物として捧げられる。


噂などではない。絶対に人間は許さない。

人間の王など以てのほか。それが闘技大会の掟。



今年の闘技大会は異常に包まれていた。

明らかな八百長があるのだ。


紅い髪の小さな女の人間。

本来ならばルール無用で殺さなければならない。

しかし対戦相手の竜人は跪き。頭を垂れる。


次の相手も……次の相手も。また次も。


観客は不思議に思うよりも憤怒が沸き上がるよりも、

その姿に釘付けになっていた。

当然のようにその人間が決勝まで勝ち上がる。

決勝の相手も同様。

勇ましいのは闘技場に参じるまで。


少女の瞳と言葉を耳に入れると、それで終わり。

自ら負けを認め、少女の前で跪く。


その光景に誰よりも憤慨したのは

他ならぬ現国王フェイラー。

主賓席から飛び降り跪く竜人の身体を

自身の爪を以てして斬り刻む。


「人間……あやかしの類か!?吾にもしてみせろ!!」


並々ならぬ殺気を向けるフェイラー。


少女は意に返さずフェイラーを見つめる。


「龍神様と互角に渡り合った吾の力……

試してみるか?脆弱な種族よ!」


フェイラーが腰を落とし爪を伸ばす。

大地を斬り刻む竜の爪。

威嚇などではない。明確なる殺意。


少女は呆れたように鼻で笑い。


「……互角?無様に命乞いをし、

気まぐれで喰ってやった貴様と

我がいつ互角だったのダ?」


「…………。」

フェイラーの表情が凍り付く。


「貴様は終末まで

我の手足になると誓ったのではないカ?

……我を欺くとハ……残念ダ。」


「まさか……り……龍神様?……」


息を飲む竜王フェイラー。龍神の筈がない。

姿が。形が。種族が違う。何もかも違い。


存在感。魂の形。その威厳。

何一つ変わっていなかった。


「我は少々疲れておル。」


「龍神様!お待ちしておりましてた!

酒だ!この方は龍神様だ!

ありったけの酒を用意しろ!……龍神様こちらに。

貴方様に来ていただくために

我が国が誇る最高の酒を用意しました。」


フェイラーは跪き、周りの者に知らしめる。

この少女こそが南の国が信仰してやまない

竜にとっての神。龍神だと。


…………


玉座に案内され、目の前に大量酒。

少女は一瞥しただけで酒には手をつけず……


フェイラーはその光景を不思議に思う。

龍神の好物は酒。それを飲まないとはやはり何処か違うのか……それとも龍神に国がなにか至らぬ事を働いたのか……と。


フェイラーの震えを察した少女は少し笑う


「……次に飲む酒は決めておル。

我も今すぐ酒に飛びつきたいが

守るものは守らねばナ。

それに……この酒は我の口には合わヌ。」


即座に酒が下げられ。

フェイラーとその家臣達は頭を垂れる。


「龍神様。どうぞこの国で思う存分羽を……

翼をお休めください。吾達全て貴方様の手足……

手足すらもなれませぬが

魂が燃え尽きるまで御身に費やしますので。」


「苦労をかけるナ。我は探し物があル。

我のみであれば難儀この上なイ。

頼まれてくれるカ?」


少女はフェイラーの肩に手を置く。ほんの少し。

少しでもその爪が触れれば

竜王フェイラーは消滅してしまう。

抗う事などできない。

しかし他ならぬ龍神が頼み事。


「どのような事であろうと……竜の誇りにかけて!」


勇ましい瞳を少女に向ける。


「銃と呼ばれる代物。

恐らく古代遺物だが我の知識には無い。

ヴァイス王国関係の者が盗んだ疑いがあル。

それを我の手元へ。」


竜人達に殺気と歓喜の感情が巻き起こる。

竜人達の神である龍神直々の頼み。

その内容が人間が龍神の所有物を奪ったと、

許せる限度を逸脱している。

何処までも傲慢で救いようの無い種族。


そして今は龍神が味方についている。

士気は最高潮に達している。いつでも滅ぼせる。


ヴァイス王国最高戦力であるはずの

エリス.カーティスを戦争が終わった途端に

くだらない理由で迫害し

自殺に追い込み戦力を失った

愚劣な王国など取るに足りない。


少女は少し想いに更けながら言葉を紡ぐ


「もう一ツ……半身の望み。我は興味がなイ。」


少女は意を決したように瞳を見開く。

先程までの威厳をなくした口から吐き出された言葉。

しかし憎悪そのものを口から吐き捨てる


「悪魔教徒……一人でも見つけたら教えて。

皆殺しにするから。」


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