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GOD HAND  作者: ホムポム
第7章  愛しの我が子へ
109/184

第109話 魔導書を読んでみますわ


エリーはミッシングに背を向けている。

真っ直ぐ見る事などできない。

拷問という領域すら超えている。

生物の尊厳を最大まで侮辱している。

見れば……心が……死にかねない。


「エリーどうする?コイツ殺す?」

ダークはミッシングの心臓を毟りながら気怠げに質問する。

毟ったそばから復元され永遠を彷徨う。


「……どうやって殺すんですのよ?」

エリーは振り返らない。眠っているリアを優しく撫でながらダークに問う。


「本当〜〜に難しいんだけどさ。

これをやった龍を見つけて始末するっていう机上の空論は用意されてる。

産まれたての小龍ぐらいだったら50年程かければ殺せると思うけど

歴史上、龍を殺した奴はいないからな〜。

コイツを殺してやる価値あるの?

最悪エリーもオレも同じ目に合うぜ?」


生まれて100年に満たない龍は小龍と呼ばれている。

200歳を超えた龍種は人語を喋り

自ら人々の前に姿を現す。


圧倒的な力を持ちながらも

龍種は自ら災厄を振りまく事はなく

ただ生け贄を欲し世界に存在するだけ。


その生け贄が何を示すのか理解すらされていない。

天使に次ぐ無害な種族。


しかし人間にとっての最終目標。

いつしか龍種を討伐し種族の頂点に立たんと。

しかし現状は歴史上で小龍撃退が3度あるだけ。


推定年齢すらわからぬ龍種撃退が一度あるが

怪しいものだ。


関わって良い事もある。悪い事もある。

しかしエリーは知っている。二年前にヴァイス王国が龍撃退の為に進出し、龍種とは関係のないところで、あわや王国が滅びかけた現実を。


責任を取らされ指揮官のリチャード.ヴァイスは北方へ。

国王が死ぬまで戻る事ははないと思っていたが……



「ダーク……捨ててきて。」


龍種が怒りミッシングを罰したのなら。

絶対に関わってはならない。



「だよね〜。ついさっきまで小龍とやってたけど

天界送りが精一杯だったし……それが無難。

さよ〜なら〜。」


ダークはミッシングに気軽に挨拶を送り

大剣で両断した。床に突き刺さった大剣。

同時に現れた球体に引きずり込まれながら

ミッシングは姿を消した。


「エビィル。もういないよ。」


 背を向けたエリーを気遣うように

エンハンスの優しい声が響く。

自分の為に尽くした者にさして興味がないような

エンハンスもやはり異常なのか……


「……復讐は終わり……と。」

ダークはエリーの対面に座る。契約の終了を告げ。


「契約は終わった。オレは好きにさせてもらうから。

エリー。いいよな?」


エリーは頷く。ジェシカの仇は打てたのだろうか?

少なくとも魂は開放できた。

自分一人では一生無理だっただろう。


「ありがとうダーク。」


短い感謝を贈り。


「よしっ!自由だ!」

指を鳴らし頬杖を付きながら嬉しそうに

エリーを見つめるダーク。


「? どうしましたの?」


「ん?自由にエリーを見てるんだけど?

ホラホラ!オレにしてほしい事とか無い訳?

目とか人形を気にしてたじゃん!オレに相談しないの?」


ズイズイと身を寄せくるダークにエリーは小首を傾げ

「まぁ……相談に乗ってくれるのなら……」


流されるようにダークに話す。

人形には大事な人の命が使用されている事。

左目には大事な妹の視力が使用されている事。

それらは使いたくない事。

使わなければエンハンスにすぐ死ぬと脅された事。


「な〜る。自分の範疇で魔法を使いたいって事ね。

当たり前で随分非常識だが最初はそんなもんだろね。」


ダークは魔導書を出現させエリーに手渡す。


「これ……オレの魔導書なんだけど

読めるとこあったら教えて。

なんとなくでいい。読めそうだなぁとか、

頑張れば……とか。完全に理解できる所は無いと思うから。」


「……わかりましたわ。」


 適当なページを開く。

そこには当然のように魔法文字。

見渡す限りビッシリと埋め尽くされている。

読めるわけが無い。単語単語なら理解できる箇所も見受けられた。しかし繋がる意味が理解できない。



「……時間掛かりそうだな。この本見せてよ。

ハンスくんも一緒に見ようぜ。

エリーはまだ時間かかるし」


許可も取らずに寝ているリアの魔導書をひったくり

パラパラと本を読み進める。


…………

「ん〜多分……ここわかりますわ!ダーク!……

夢中になってる。一応印つけておきましょう。

……別にダークの本なら構いませんわよね。」


ようやく理解出来る一文を探り当て

件の文章を丸で囲むエリー。


…………

……………………。


数時間の無言が続いた。

「気になるな。」

「……是も気になる。」


「……どうしましたの?」

エリーは少しやつれたように

二人が見ているページを見る。


「エリー……ここ気にならなかったか?」

ダークがとあるページを見せる。


酒 と。大きく書かれバッテンをつけられた

筆者のユーモラスの欠片もない落書き。


「……禁酒でも考えてたんじゃないかしら?」


エンハンスがため息をついた。

「エビィル。是達は真面目な話しをしようとしてるよ。」


「わたくしも真面目ですわよ!

その酒がどうしましたの!?」


小馬鹿にされた感じを受け取ったエリーはエンハンスを軽く睨む。


「酒は多分落書きだよ。

大事な筈の魔導書に何書いてるんだか……

次のページだ。破られた形跡がある。

エリー破ったりした?」


言われてみるまでもなく無造作に破られた後がある。必要ないから破って捨てたのか……


「落書きを残すぐらいなら

故意に破られた……とかかしら?」


ダークがニヤリと笑いテーブルに置かれた

自分の魔導書を手繰り寄せ


「この手のヤツは見られちゃ不味いって

相場が決まっている。……だから!」


ダークは自身の魔導書を破り

リアの魔導書へと合わせた。

接合面が徐々にくっつき……


紋様の書かれた方陣が浮かび上がる。

「魔法陣?ですの?」


エリーが驚きの声を出す。

ダークは食い入る様にその紋様を見つめている。

その全てを記憶してやろうと心に刻むように。


「エンハンス……お前か?」

ダークの顔付きが明らかにおかしい。

笑っているようで憎しみを纏っているような。


「……是は関係ない。

シングルハート様か……銀チビじゃないかな?」



「シングルハートは見てないから無理。

トルコマンだな……あの屑野郎……殺してやる。

あと銀チビって誰?」


ダークが小首を傾げ


「十位の名前。最近つけられた。

その時 汝は深淵にいたから。」


エンハンスは飄々とあだ名を教え


「……変な名前。十位って名前欲しがってたけど

喜ぶのかね?それなら年中発情娘で良かったじゃん。

まぁ記録の女神がつけたんなら文句言えないか……

御愁訴様……」


ダークは両手を合わせ祈る。


「あとさ……

オレの魔導書に落書きするのやめてくれない?

大変なんだよ?こんな事されると

もう大惨事確定。とんでもない事おこっちゃう!

修復不可能!絶対ヤバい事になるよ!

滅亡必至!絶滅確定!」


ダークはボヤキながら魔導書を睨み


「え……あ…あの………ごめんなさい。」


ダークの怒りの声に身体を震わせ

狼狽しながらも素直に謝るエリーに


「『何がおこるんですの?』って言わないのかよ!

オレはそれが聞きたいのに!」





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