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◇ 閑話休題 その5 ルサに関して ◇

キキさんの先輩。パーティのサブリーダーにして、キキさんが最も信頼していたメンバー「ルサ」の紹介になります。


 

「リーダー」が仲間とした「人ならざる者」は、キキさんを含めて五人。

 

 最初の一人はサブリーダー格。豪放磊落な水精のルサ。

 二人目は謎の存在。人形と童女と骨のランタンのワシリー。

 三人目がパーティの参謀にしてマネージャー。夜魔のキキ。

 四人目はボーイッシュな見た目ながら乙女趣味のアタッカー。八剣のルギエ。

 五人目に幻術使いのトラブルメーカー。紅い月のモコ。


 生まれた時には力弱き者たちだった五人だが、リーダーとの冒険の過程で成長し、やがて竜を倒し、古より生き続けた邪悪なダークリッチを封印するに至る。


 仲間として、家族として。

 リーダーを中心に、最果ての森の館で暮らしていた彼女たち。

 リーダーが異世界へ旅立ったのをきっかけに、キキさんを除いて皆、独立していくのだが。

 

 ここではそんなキキさんの先輩後輩たちを紹介する。


1.最初の仲間 水精のルサ 


○見た目と性格

 沼の水を思わせる褐色の肌に、月光のような薄いブロンドの長い髪と、金に光る瞳を持つ女性。

 中肉中背でやや筋肉質。バランスの良いプロポーションで見た目は女性らしいのだが、果断で豪放磊落とした性格のためボーイッシュなイメージがある。

 そのためか、男性よりも女性からモテる事が多い。

 来るものを拒まないその性格ゆえに同性からの告白にも応じることがあったが、本来の好みが「朗らかな性格のナイスミドル」であるため同性との恋愛関係が長続きしたことはなく、それに関しては安易に受け入れるべきではなかったと反省もしている。


 決断力に優れ、リーダーや後輩たちからの信頼も厚い。やや強引にでもパーティ全体を引っ張っていく力強さがあり、リーダー不在の状況では後輩たちを統率する役を担った。


 面倒見がよく正義感が強い。不義と思ったことには義憤を燃やす。

 また、全てにおいて自由を愛する。


 反面、雑でズボラな面があり、少し我儘。

 また、長い目で物事を見るのが苦手で、場当たり的な対応をすることもしばしば。


 計画立案や長期的な戦略を考えるのは苦手だが、実戦で先頭に立って指揮をする事に関しては天才的。

 背中で後輩たちを引っ張っていく前線指揮官。そんなタイプである。



○生い立ちと仲間になった経緯

 ルサはもともと、とある森の中の大きな沼に棲んでいた。


 その沼は、死産した赤子や社会から祝福されなかった子供が秘密裏に捨てられる場所で、望まぬ結婚に絶望した花嫁が身を投げたこともあった。嘆きの魂は沼の周りに満ち、それはやがて水面に映る月と習合し、ルサは生まれた。


 まだ名前のなかった頃の彼女は、その美しい容姿を以って沼に近づくものを魅了し、水の中に引き入れてはそれを喰った。

 人に仇なす存在として、森の周囲の村に住む人々はこれを畏れた。


 ある日、その村に逗留した若い冒険者に、村人たちは水妖の退治を依頼する。

 請けた冒険者が独りで沼に近づくと、彼女はそれを魅了し心身を操ろうとした。

 しかし冒険者の精神力は強く、魔力を弾き、逆に彼女にルサという名前を与え、支配してしまった。


 冒険者は自分をリーダーと呼ぶようルサに命じ、今日からルサは冒険を共にする仲間であると宣言した。

 ルサにとっては不本意な出会いだったが、リーダーとの冒険を重ねるうちに信頼が芽生え、また後輩たちが増えて絆を深めた。


 自由を愛する本能とせめぎ合いながらも、仲間たちとの暮らしによって、そこを自分が生きる場所だと感じるようになっていった。

 


○能力とパーティでの役割

 パーティ全体の司令塔の役割を果たす。キキさんがパーティを後ろから支えて押すようなタイプだったのに比べ、ルサは前に立って仲間たちを指揮し、叱咤し、背中で引っ張っていくタイプだった。


 努力家であり、パーティ全体の面倒を見ながらも自らの鍛錬を欠かさず、得意だった水の術に関しても研鑽を怠らない。体術も魔術も卒無くこなす万能型ではあるが、より得意としているのは魔術である。


 戦闘においては、体術や武器術はアタッカーであるルギエに遠く及ばず、棒術使いのキキさんにも一歩譲る。

 だが、水を操る術はその万能性において他の追随を許さない。

 圧縮した水流による物理攻撃。渦巻きの津波を起こす全体攻撃。霧や霞、あるいは粘液を利用した戦闘支援など、幅広い役割をこなす。


 もっとも極まっているのは、時の流れを水の流れに見立てて操り、その場の時間経過を支配する「クイックタイム」であり、この術を使った時の彼女はパーティでも最強とみなされていた。


 単騎では、多勢に対する足止めや、威力偵察を含めたスカウトを得意とした。

 特に独りで自由に動ける偵察任務は彼女の好むところだった。


 ルサが単独行動を取る時には、パーティ全体の指揮はキキさんが取った。キキさんが居たからこそ、ルサも大胆な行動に出ることが出来た。

 対称的な性格であり、時には喧嘩し対立もした二人だが、互いに信頼しあってパーティを動かしていたのである。



○一言紹介と、リーダーが異世界へと旅立った後

 キキさんの先輩であり、書き手ですら「さん付け」にしてしまうキキさんを呼び捨てに出来る数少ない存在。


 その実力と姉御肌的な面倒見の良さで信頼を得、後輩たちを背中で引っ張っていった。

 キキさんもなんだかんだと文句を言うこともあったが、パーティの中で最も頼りにしていたのはルサである。


 リーダーが異世界へと旅立った後。

 自分の居場所が失われる寂しさを感じながらも、自由に生きる事ができる喜びも強く感じていた。

 その意味でも、キキさんとは正反対の性格の持ち主だった。


 館を出た後、氷の種族と人間たちの戦争が終結した直後の世界を旅しながら、ルサはとある森へとたどり着く。

 その森にいたのは、人間たちの開発の手に晒されながら抵抗を諦めてしまった、人ならざる「森に棲む者たち」。

 ルサと彼らとの出会いが、一つの歴史を生むのだが……。

 それはまた、別の話。


引き続き、第3話第2章「喜びと苛立ち」をお楽しみください。

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