ハルルシアと女神様。(ハルコ婆ちゃん、ハルルシアになる。1と2の間の話)
テンション高めのキャラが出ます。
さて、アメリアさんが戻るまでには少し時間があるじゃろうし――…
ワシ、ハルコ…いいや、今のワシはハルコではなくハルルシアじゃったな。何分まだ記憶が融合したばかりでのう。
ええと、何じゃったかな? そうそう、ハルコの記憶が前世のものだと理解した時の話じゃ。待っている間に、その時の事を語らせて貰おうかのう――…
…――三日間。熱に魘された末に目覚めたワシ、ハルコ(おっと、いかん。ハルルシアじゃ)。
目覚めた時。少しずつ、ハルルシアとして暮らしてきた三歳までの記憶も徐々に思い出して来ていたら――…
二人分の記憶がこう…何て言うのかのう、ゴチャゴチャー、グニャグニャーと混ざり始めた事から(何しろハルコは百二歳という長い時間を生きてきたからのう。流石に全てではないにしろ、ハルルシアからしてみれば相当な記憶量があった訳じゃよ)脳にかなりの負担が掛かったようじゃな…再び倒れてしまったのじゃ。その間のワシ、意識だけ不思議な空間に居たのじゃ。
どのような空間かと言えば、そうじゃの…愛孫の都季と昔一緒にテレビで見ていた漫画(む。今はアニメと言うのじゃったか?)に出て来た、戦う民族の青年達が何やら武術の修行に使っておった○神と時の部屋のような場所で――…何? 解らん? む。ええとな、一面どこまでも壁が無く、天井も無い、ただただ真っ白な空間にいつの間にか居たんじゃよ。
立っているのか、浮いているのかさえ解らんような不思議な場所じゃった。ありゃ、今思えば怖い場所じゃのう。
そこに。ふと、まるで昔ワシ(ハルコ)が子供の頃に小学校の図書室で読んだ本の挿絵に描かれていた天女様のように美しい女の人が現れたのじゃ。
腰まで真っ直ぐに伸び、艶のある長い桃色髪と、ほんの少しばかり吊り上っておる金色の目を持つ彼女は、一目見たら忘れられないような淡い水色の前衛的な服を身に着けたナイスバデーな異人さん(女神様)じゃった訳じゃが。
その方はこの世界(ワシ、ゲームの題名は知らんからなぁ。ゲームの世界と言っておこうかの)のブルーリーズ国で信仰されている女神様じゃと神々しい光を背に、微笑みを浮かべながら仰った。
そして、次に――…
『さてとー! 挨拶も済んだしっ! ハルちゃんっ、来るのが遅くなってごめんねぇっ! 女神ったらぁ、うっかり間違えて別の担当世界の方に行っちゃってたのっ! 道理でハルちゃんが見つからなかった訳だよねっ! 女神ったらド・ジッ・コ! てへっ☆』
「………」
…――ワシは今。見てはいけないものを見たに違いない。すぐにでも目を覚まさなければいけない気がしてきたぞ…!!
『ヤァ〜ダァ! 女神は電波じゃないよぅ?』
「はて、電波とな?」
うぬう、雷様の事かの?
『んーん。女神は雷ちゃんじゃないよぉ?』
ハッ!? 今、ワシの心が読まれた!? いやいや、まさかの。
『読めるよぉ? だってぇ、女神、神だもん! きゃはっ☆』
なんじゃとー!! そ、そうなのか。まあ、長い人生そんな事もあっても良いのじゃろ、うむ。
『ヤァダァ! ハルちゃんてばオモシローイ! こんな事、普通は無いよぉ! それとぉ、教えて上げるねぇ! 貴女はもう日本人の新堂ハルコ(102)じゃないよっ!』
な、なんじゃとーっ?! それなら、それなら――…今のワシは――…誰じゃ?
と、目を見開いた瞬間。
目の前にドカーン!! と大きな音を立て、大きな姿見が出現しおった…!!
あ、あぶないのう。見開いたまま目玉が飛び出していたらどうしてくれるんじゃ!?
『んー、そーしたらぁ、えいやっ☆ って女神が元の位置に、ちゃあんと入れて上げるよぉ? まっ、そもそも当てたりしないけどねぇ〜! ヤァダァ! ハルちゃん、そんなに引かないでっ! あのねぇ、そのおっきな鏡に映っているのが今の貴女。ハルルシア・ガードレッドちゃんだよぉ!』
怖っ、怖いぞ、この別嬪さん…って、はるるしあ…ハルルシア。おう、聞いたばかりの名じゃの。
姿見には、ふわふわの背中辺りまである翠混じりの金髪に、くりっとした薄桃色の目の小さな可愛らしい女の子が…寝間着かのう。白いゆったりとしたワンピースのような服を来た裸足姿で映っていた。
「これが今のワシ?」
『そうだよぉ!』
「…そうか。言われてみれば百三歳になった記憶がとんと無いのう。しかし、なんと…まあ、異人さんに生まれ変わっておったのか」
『そうだよぉ!』
「そうか――…」
『そうだよぉ!』
女神様、ちょいと黙っていてはくれんかの!? その緩くて軽い相槌のせいでワシ、しんみりする事ができんのじゃが!?
『しんみりしなくてもいいじゃなぁい! もう、生まれ変わっちゃってるんだしぃ? 新しい人生をエンジョイ…えっとぉ、楽しく過ごしちゃってよぉ!』
お、おお。何かもうな、それで良い気がして来たぞ。
『ところでぇ、二人のハルちゃんの記憶を混ぜ混ぜしてみたんだけどぉ、へーき? 女神的にはぁ、いー感じに仕上がったと思うんだけどぉ?』
なんと! 女神様がワシの記憶をゴチャゴチャ、グニャグニャしてたのかっ。まあ、違和感のようなものは消えたが。それにしても荒っぽかったのう、ワシ目が回ったぞ。
『アハッ、ごっめーん☆』
軽…――はぁ。もう、いいわい。
もしかしたら気になる方もいらっしゃるかもしれないのでメモ的なものをコソッと…
ハルコ婆ちゃんの年齢につきましては作品の時代を(現代側は)2017年と考えている為、1915年の生まれとなっています。(小学校の〜…の辺りで、あれ?ハルコ婆ちゃんは小学校で合っているかな?それとも尋常小学校かな?と気になり調べました/笑)
ここまでお読み下さりありがとうございます!!(2018年1月20日の日間ランキング(異世界・転生、転移)にて28位になりました。ありがとうございます!!)