11/18
サイレントサイレン
芽生えた気持ちに陽を当てず
しまっておく意味を誰かが問うた
育てることに怖気づいた
外側の危険から身を守るこの固い皮膚が
内側から破られる可能性に竦んだ
強く灰色の表皮は泥だらけで
望んで被った記憶はあるのに
どんな形状だったのか問われ
答えを落としている自分に気付く
塩を舐めて味覚の正しさを確かめ
内なる新芽を塩で萎えさせ
変わらぬ日常を
昨日と同じ自分を
安らぎの糧としていたら
耳鳴りがした
気のせいだったか
水しぶきのはね方が違うのは
間違いだったか
動揺のあまり陽光を与えたのは
出来心だったか
いつか君と眺めたいと願った花を
エゴイズムの肥料で彩るのは
立派に育った強さの象徴を
泥の鞘に収める意味を誰かが問うた
サイレンが聞こえる
静かなサイレン
落ちる前のサイレン
サイレントサイレン
自分が鳴らす警鐘は、どこかで他人事。