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異世界少女は騎士王様!?  作者: 井上 叡智
第二章 騎士王様と円卓の騎士
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第5話 叛逆の騎士

アーサーが『白浪学園しらなみがくえん』に来てからは、クラス中がかなりの熱気を帯びていた。

もちろん俺もその熱気の中にいたわけで…。

そこから俺の、いや俺たちの新たな高校生活が始まった…。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


数日後…。


アーサーもそろそろ学園に慣れ始めて来た頃だった。


「そろそろ昼かぁ。腹減ったなぁ…。」


俺はとてつもなく空腹だった、有り得ないほどに。

すると、アーサーが、


「そうか、そろそろか。であれば!達也。今日は弁当を用意している。もちろん達也の分もだ。」


弁当か。いつも俺は食堂で済ませてるからたまにはいいかもな。

弁当ってことは、おそらく奏か姉さんだろう。

そう思っていた時だった。


「じ、実はだな…。今日の弁当…、わ、私が作ってきたのだ…。」


ん?今なんと仰ったのか??

弁当を、アーサーが、作った??


「アーサーが、作った、のか?」


すると、アーサーは頬をぷくーっと膨らませて、


「な、なんだ!私が弁当を作るのがそんなに嫌なのか!?」


「い、いや!違うぞ!?意外だっただけだ!!」


たしかに俺が言った通り、アーサーが料理をするなんて、意外だった。

そんな会話が続いていると、


「あ、あのっ!と、遠月君!と、アーサーさん!」


俺達は振り向くと、


「ちょっと、いい、かな?」


一人の少女がいた。たしか、名前は『たちばな 環奈かんな』だったか。俺のクラスメイトだ。


「えっと…、橘?なんか用事でもあるのか?」


「達也。彼女は一体誰なのだ?」


ああ、そうか。アーサーは橘のことを知らなかったな。


「え、えっと…。私、橘 環奈って言うの。改めてよろしくね、アーサーさん。」


橘は少し気弱な性格をしている。去年も同じクラスだったから何となく分かる。


「うむ。覚えた。して、橘殿。用件とは?」


橘は、ハッとして、


「あ!そうだった!あのっ、あのねっ!お昼休みに二人で屋上に来て欲しいの!理由はまだ話せないけど…。」


理由が話せない?どういう事なんだ?


「まあ、いいや。深くは追求しないよ。昼休みでいいんだな?」


「う、うんっ。」


「じゃあ、昼休みに、屋上で。」


そう言って、橘はパタパタと席に戻った。

少し理由が気になるが、まあいいだろう。

そう思いつつ、俺は次の授業の準備を始めた。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


昼休み…。


カツ、カツと屋上への階段を登る。

登った先の扉を開くと…


「おーおー。やっと来やがったか…。」


来やがった?橘って、そんな男勝りな口調だったっけ?


「おいおい。反応ナシかぁ?ったく、これだからめんどくさいんだよな、男ってやつは…。」


よくよく見ると、それは呼び出した本人の橘ではなく…


金色の髪。その髪は、ポニーテール状に結ばれており、アーサーによく似た髪型をしていた。

そして、なんといってもその少女は、『赤き鎧』を身につけていた。


「な…、ま、まさか…。」


「お!ようやく理解できたみてぇだな?」


理解出来たもなにも、その姿をみればどんな人物かはある程度想像がつく。


「あ、あんた…、騎士、だろ?」


すると、赤き少女は、


「おう。その通りだ。アタシは騎士。名前は……」


「モードレッド、それがアタシの名前だ。」


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


昼休み、屋上にて。


「モードレッド、それがアタシの名前だ。」


モードレッド。アーサー王伝説に登場する、円卓の騎士。伝説では、後に王に、王国に背いた『叛逆の騎士』としても名高い英雄だ。

伝説上、モードレッドはアーサー王に槍、ロンゴミニアドによって最期を迎えるのだ。

モードレッドは『クラレント』と呼ばれる剣を使用している。


「モ、モードレッド、だって…!」


マズい。モードレッドはアーサー王に反旗を翻した者だ。このままでは…


「おいおい。遠月達也。なんかすげぇ動揺してるみたいだけどよ、アタシはお前にも、ましてや父上にも手を上げるつもりは無い。」


「それに、まだ人数が足りないしな。」


人数?もしかしてそれって…

瞬間、屋上のドアが開く。


「ご、ごめんなさいっ!先生に用事を頼まれて遅れちゃった!」


「って、モ、モードレッド!?まだ私来てなかったのにもう紹介終わっちゃったの!?」


橘が、モードレッドのことを知っている…?

ま、まさか…


「まさか、橘って…」


「『契約者』なのか?」


でも肝心のペンダントが見当たらない。

すると、


「あ、うん。そうなの。『証』?って言うやつはいつもカバンに入れてるから…。そりゃ分からないよね。」


モードレッドの、『契約者』だったのか…。

じゃあつまり、ここに俺達を呼んだのはこういう事なのか?

そう思った時だった。アーサーが口を開き、


「おい、モードレッド。貴様、どういう了見で私達を呼んだ。」


「うっ。ち、父上!?ま、まってくれよ!アタシはちゃんとした用事というか、お願いというか…。だからなんでそんな鬼の形相でアタシを見るんだよぉ!」


「当たり前だ。たいていこういう時、お前は何かよからぬ事を企んでいるのだからな。」


「ち、ちがうって!そんなこと企んでなんていないし!!」


これが、俗に言う親子喧嘩という奴か。

暖かい目で見てやろう。

そんなふうに思っていたら、


「あのー?遠月君?」


橘が話しかけてきた。


「ん?なんだ?」


「じ、実は…、私もモードレッドが一体なにをお願いするのかしらないのよ。」


「マジか!?」


「う、うん。」


モードレッドからも知らされていないのか。一応でも橘は契約者なのになぁ。

そうしているうちに、親子喧嘩のほうも落ち着いてきたようで、


「よしっ。と、取り敢えず、アタシのお願いを聞いてくれ。」


「実はだな…、この頼りない契約者マスターを、鍛え上げて欲しいんだ。」


「モードレッド、それはどういう事なのだ。貴様が力を与えたのなら、それ相応に戦えるはずだろうに。」


「それがだなぁ。こいつ、解放ができないんだよ。」


解放が、出来ない?つまり、ペンダントをちぎれないってことか?

たしかに、アレは、契約者でなければ使うことは出来ない。だけど、契約者が使えないことなんて、有り得るのか…?


「アタシの見解なんだが、おそらくマスターは、戦闘の意思が薄いんだと思う。何かが引き金でそれが改善されれば、なんとかなると思う。」


「戦闘の意思、か…。」


もしかしたら何とかなるかもしれない。


「俺に、案があるんだが。俺に任せてくれないか?」


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


放課後。俺と橘は、とある廃墟はいきょに向かった。


「あ、あのぅ…。遠月、くん?ここって…」


「もちろん廃墟に決まってるだろ。」


橘は少し体を震わせながら、


「は、廃墟って…。こんな怖いところで何をするつもりなの?」


「無論、特訓だ。『意思』を身につけるためのな。」


俺は、家から持ってきた木刀を橘に投げ渡した。


「あわわっ!こ、これって…?」


「木刀。なんか前に親父が持ってたやつらしいから持ってきた。」


俺は、もう一つ持ってきた木刀を構えた。いつも通りの構えだ。


「取り敢えず、橘も構えてみろ。」


「う、うんっ。やってみる。」


カチャ、と慣れない手つきで剣を構えていた。


「よし。それじゃあまずは何でもいいから向かってこい。」


「な、なんでもって…?」


私は、遠月君に言われたことがイマイチ理解出来ていなかった。でも、なぜだか武器の振り方から動きまで、手に取るように分かる気がした。


「っつ…!」


咄嗟に私はやったことも無い剣技で遠月君に向かっていた…


「ハァァ!」


カンッ、と木刀で打ち合う音がした。

打ち合いの最中、俺は橘の剣技にかなり驚いていた。

『証』を使用していないのに、あれだけの技を繰り出すなんて余程の『意思』が強い英雄でなければ、『証』を使わなければ剣技を使えないからだ。


ーこいつは、強くなる。


そう、確信した。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


ー数時間後、辺りは夕日に染まり、暮れ時になり始めた頃、


「はぁ…、はぁ…。」


「よし。取り敢えず今日はここまで。あまり無理するのも体に悪いしな。」


「ま、まって…。ま、まだ…やれる…よ?」


息を切らしながら、橘は言った。

しかし、俺は


「駄目だ。お前はタダでさえ疲れているし、それに生身の体じゃ下手すれば死ぬぞ。」


「そ、それでも…私、は…。」


「誰かを、守れる、力が欲しいのっ!」


誰かを守れる力、か。

俺と同じ考え方をする奴は初めてみた。

でも、それでも。


「ダメなものはダメだ。お前は女の子なんだから、自分の体くらい大切にしろ。」


「だからもう大人しく帰れー」


その時だった。


ウォーーーーーーーーン。

と、何かが鳴り響いた。

その後、大きな声が響いた。


『魔獣警報発令。魔獣警報発令。政府より要警戒警報コードレッドが発令されました。付近の住民の皆様はー』


魔獣警報。それは、ここ最近政府が全国に設置した、特殊警報システムだ。

魔獣を感知すると、その地点、そしてその付近に警報が鳴るといったシンプルな仕組みだ。


「な、に…?魔獣だって…?」


マズい。早くアーサー達に連絡をー


ドォォォォォン!


突然、地響きがした。ふと、周りを見ると…


「ビ、ビルが…崩れて…。」


マズい。早く住民の救助に行かなければ。

それと、橘には早く戻るようにと伝えなければ…


「おいっ!橘っ!早くお前もー」


振り向くと、そこにあったはずの人影が無かった。


「橘っ!何処だっ…!」


周りを見渡すがやはりそこには橘 環奈の姿はなかった。


「…っ。もしかして、アイツ…」


ある一つの可能性が浮かんだ。しかし、その可能性は極めて低いものだ。


「アイツまさか…魔獣を…?」


魔獣を倒しに行った可能性。だが、今の橘では不可能のはずだ。


「くそっ…取り敢えず魔獣の所に向かわなきゃ行けないってことか…。」


早く橘の所に辿り着かなければ、彼女の命に関わることになる。そんな事になる前に、早く行かなければ…


「頼むぞ、聖剣っ!『加速』っ!」


契約者マスターに与えられた能力の一つ。それがこの『加速』だ。

常人では至ることの出来ない速さに辿り着くことができる。

だが、その分体内魔力の消費が多いため、緊急時にしか使わないようにしている。


「くそっ!もっと…もっと速く…」


俺はそう思いながら、橘のもとへ向かった…


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


遡ること数分前。


魔獣警報が発令された直後だった。


「ま、魔獣…?」


私は困惑していた。なんで今現れたのかと。

だが、私は、『行かなきゃ』と、思っていた。


「行かなきゃ…。」


自分は、戦うことは愚か、誰かを救うことすら出来ない。


そんな自分がもどかしくて。


私は…

その場から駆け出していた。


走って。


走って。


足がもつれそうになっても走り続けた。


少しでも被害を少なくするために。


一人も怪我人を出さないように。


走った。走り続けた。


私は、無力だ。契約者になっても何も出来ない。


いづれモードレッドは、私を見捨てるだろう。


でも、それでも…


「私はっっ!」


たとえ、役に立たなくても。


たとえ、何も出来なくても。


私は、守る。


私は、いつの間にか走りながら『証』を握りしめていた。


「私はっっ!全部、全部守るんだぁぁぁぁ!」


私は、握りしめていた『証』を…


引きちぎっていた。


光り輝く体。英雄の力が受け継がれていくのを感じる。

鎧が、作られる。


そして、剣。『クラレント』が生成される。


目の前には魔獣。そこには、一人の幼い少女がうずくまっていた。


英雄そのもののステータスである『脚力』、『俊敏』で魔獣の元に。


「はぁぁぁぁぁぁぁ!」


走りながら剣を構える。


それはさながら槍の如く。


黒い雷が剣をまとう。


「届けぇぇぇぇ!」


「『血壊刺突ブラッドストライク』っ!」


雷鳴が迸る。同時に目の前の蜘蛛型の魔獣を貫き、吹き飛ばす。


シュルルルルル!!


魔獣は嬌声をあげて消滅した。


「ふぅ。だ、大丈夫…だった?」


私は、幼い少女に問いかけた。


「う、うんっ。だいじょうぶだよ?騎士のお姉ちゃんはだいじょうぶ?」


「騎士のお姉ちゃん、か…。うん。私は大丈夫。心配してくれてありがとうね。」


私はその少女の頭を撫でた。


ふと、気づいた。魔獣を倒した筈なのに警報が解かれていない事に。

何だろう。この感じ。


早く、逃げなきゃ。


すると、その瞬間。


ドォォォォォン!!!


後ろを振り向くと、そこには、二本足のトカゲのような魔獣、猪のような頭の魔獣。

そして、棍棒を持った赤い魔獣がいた。


リザードマン。オーク。オーガ。


それがかの魔獣の名前だ。前に遠月君に読ませてもらった本にかいてあった。


「お、お姉ちゃん…。」


ギュッと足を抱きしめる感触。

このままではマズい。

この子だけでも逃がさなければ…


「大丈夫。大丈夫だから、あなたはあの岩の陰に隠れてて。」


少女は頷き、すぐに岩へ向かった。


再び剣を構える。

正直、勝てる気がしない。

でも、やるしかない。

そして私は、三体に向かって走り出した…



~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


数十分前…


俺は、橘を追いかけていた。

その途中だった。


『おいっ!アーサー!聞こえるか!』


『んむ?達也ではないか。どうしたのだ?』


思念通信。これは『証』を持つ契約者達の一種の連絡手段の一つだ。

いわゆるテレパスのようなものだ。


『すまん。前にお前を戦わせたくないみたいな行動しといて今更なんだけど…さ。』


『たのむ。今、お前の力が必要だ。力を、貸してくれないか?』


するとアーサーは、フッと笑って


『それこそ今更ではないか。無論、私はいつでも達也に力を貸す準備をしていたぞ。』


『そうか、そうだな。すまん。ありがとう。じゃあ、借りるぜ。お前の力。』


『ところで、具体的にはどのように力を振るえばいいのだ?』


説明してなかったな。

目的としては、橘の元に辿り着くこと。

そして、魔獣の討伐。

その旨をアーサーに伝えた。


『うむ。状況は把握できた。では、今から達也がいる場所の近くに向かう。魔獣のことについてなにか分かったら連絡を入れてくれ。』


『了解。じゃあ、また後で。』


通信が切れた。

橘の魔力反応が近くなってきた。

おそらくそろそろ着くだろう。


すると、橘の姿が一瞬見えた。

橘の姿が変わっていたのに気づいた。


「…ん?あいつ、なんか姿が…ってあいつ、転装してるじゃねぇか!?」


どうやら土壇場どたんばで解放出来たらしい。

ふと、目をやる。

橘の前方には、三体の魔獣がいた。


「なっ…。あの、魔獣は…!」


リザードマン、オーク、オーガ。

どれも戦士のような魔獣だ。


「ま、まさかあいつ…ヤツらに一人で挑む気か!?」


そんなことをすれば、たとえモードレッドの力でも、三体全てを倒しきることは不可能に近いだろう。


「くそっ…!よりによってなんだってあのタイプの魔獣が…!」


すると、先程連絡を入れたアーサーが到着した。

アーサーは鎧を身につけていて、今までの姿からは連想できない凛々しさがあった。


「達也っ!」


「アーサーかっ!丁度いいところに来たな。」


魔獣について、説明をした。


「リザードマン、オーク、オーガ、か…。」


「ああ。だから今は橘を助けに行くのが優先だ。」


「了解した。では早速行くとしよう!」


俺達は橘のもとへ向かった。


「橘っ!!」


「遠月君っ!?」


俺は橘の目の前にいた、リザードマンに剣を向けて


「ハァァァァァ!」


ザシュッ、とリザードマンを斬った音が聞こえた。

リザードマンは、うめき声をあげた後、消滅した。


「無事か、橘っ!」


「う、うんっ。大丈夫。ありがとう、遠月君。」


「橘。そこにいる女の子をご両親の元に連れていってあげてくれ。」


「えっ。でも、それじゃ遠月君と、アーサーさんが…。」


「大丈夫だ。俺達ならあと二体くらい、何とかなるさ。」


「わ、わかった。遠月君を、信じるよ。」


「だから、負けないでね…。」


フッと笑って、俺は


「当たり前だ。こんなヤツらに負けやしねぇよ。」


そして、橘は少女を連れて行った。


「さて、と。」


相手はオークとオーガの二体。

オークは基本群れでの行動が多いから、今回はさほど脅威にはならないと思う。

しかし、問題はオーガだ。ヤツは単体でも充分な強さがある。

警戒はしておくべきかもしれないな。


「アーサー。俺はオーガの方をやる。お前はオークを頼む。」


「分かった。そっちは任せるぞ、達也。」


俺は、オーガに向かって駆け出した。


「ハァァァァァ!」


キィン!

オーガの棍棒と、エクスカリバーが打ち合いになる。


「くそっ!やっぱそう簡単にスキは見せてくれないか…」


その後数分間アーサーも、俺も魔獣との打ち合いが続いた。


その時だった。

オークとオーガの動きが変化した…


「なっ!なんだこの動きは!」


予測していなかった事態に混乱する。


「アーサーっ!避けろっ!」


アーサーはハッとして、


「…っっ!」


辛うじて避けたものの、かすり傷を負った。


「っ…、どうすればいいんだ…この状況を…。」


そんなことを考えていて、


油断をしていたことに、気がつかなかった。


オーガは棍棒を振り上げて、今にも振り下ろしそうな勢いだった。


「達也っっ!避けろー」


その時だった。


二つの影が。


一方はオークを、もう一方はオーガを切り裂いた。


「ったく…。父上もまだまだ甘いぜ…。」


「ふぅ。な、なんとか間に合ったぁ…。」


モードレッドと、橘 環奈がそこにいた。


「お、お前らなんでここに…?」


「何でも何もねぇだろ。アタシはコイツ…環奈に呼ばれただけだ。」


すると、モードレッドは後ろを振り向き、


「その前に、トドメささなきゃ不味いだろ。」


モードレッドは、クラレントでオークをさらに切り裂いた。

橘も同様に魔獣にトドメをさした。

魔獣は消滅した。


俺はこの時、密かに思っていたことがあった。

こいつら…


変なトコロで、見せ場持ってきやがったァァァ!


まあ、実際助けてもらったことはとてもありがたかった。


警報は解除され、再びつかの間の平和が訪れた。


「おい、遠月達也。」


「ん?な、なんだよ。モードレッド。」


「環奈を見てくれて、ありがとう、な…。」


ありがとう、か。モードレッドからそんな言葉を聞けるとは思わなかった。


「まあ、別にいいよ。それに、橘も少しは強くなったしな。」


「ああ、そうだねぇ。まあ、あのマスターじゃ、この先アタシはどれだけ苦労することやら…。」


そんな会話で、今回の戦いは幕を閉じた。


しかし、この時から、遠月達也にある変化が訪れていることを本人も、他の人物も知る由もなかったことだった。

それが、後々の悲劇に繋がることも知らないままに…

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