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異世界少女は騎士王様!?  作者: 井上 叡智
第二章 騎士王様と円卓の騎士
4/6

第4話 始まる、騎士王の学園生活。

先日の魔獣騒動から丸1日が経った。

あのあと俺は、姉さんに家まで送ってもらった後、すぐに眠ってしまった。

目を覚ました時、俺の上にはアーサーがいて、眠っていた。


「すぅ…すぅ…」


アーサーの寝息が聞こえた。

余程疲れていたのだろう。かなり熟睡している。


「ごめんな。無茶させて。」


そっと、アーサーの頭を撫でる。


「ん…ん?」

「あ、起こしちゃったか?」


するとアーサーはハッとして、


「あ!い、いや大丈夫だ。ちょうど起きたところだからな。」

「そうか。それならよかった。疲れてるのに邪魔しちゃ悪いなって思ったからさ。」


すると、アーサーはパタパタと膝の辺りを叩いて、


「そ、それでは私は、奏殿と泉理殿を起こしてくる。」

「ああ、たのむよ。」


トタトタとアーサーが階段を登る音が聞こえた。


「さて、と。俺もそろそろ起きるか。」


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


それから俺は、今日朝飯当番だった奏の作ったご飯を食べ、学校へ向かった。


学校にて。


「おー!達也じゃないかっ!昨日のニュース見たぜー!」


机に突っ伏していると、天海あまみがやって来た。


「なんだ。天海か…。」


「なんだとは失礼な!ってか、昨日のニュースなんだけどよー」


昨日のニュース?なんかあったっけ?


「わかったから!で、昨日のニュースってなんだよ。」

「お前、知らないのかよ。自分が出てるのにか?」


は?いやまて。どういうことなんだ?『俺』がニュースに?


「おい待て天海。それはどういう事だ。」

「どういう事も何も、お前がニュース出てたの見たって話だよ。」


に、ニュース!?な、なんで、俺が!

そこでふと思い出した。

た、たしか昨日って魔獣騒動の時だよな?ってことは…


「ま、まさかそれって…。」

「『あの』姿の俺が中継されてたってことか!!」


「ああ。そうだぜ。あの達也はカッコよかったなぁ。なんかこう、キュイイインってさぁー」


だからかっ!だから朝からやたら人が俺の名前出してると思ったんだよ!


「マジか…。めっちゃ恥ずかしいわ…。」


てかキュイイインってなんだよキュイイインって!擬音がおかしいだろ!


そんなこんなで、いろんな人にやたらとその話をされ、しいては先生にまで呼び出される始末だった。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


そのころ遠月家では…


「泉理殿!お願いがあるのだが!」


「えっ!なになに!?ど、どうしたの急に?」


「実は…、私を学校に入学?させて欲しいのだ!」


これは私のこの世界に来てからの夢だ。できれば、達也と同じ学校がいいが、この際文句は言えまい。

そうして半分諦めていた時だった。


「え?そんなこと?別にいいわよ。なんなら達也と同じ学校でも。」


え。


「えぇぇぇぇぇ!?よ、よいのか!?本当に!?」


「ええ。もちろんよ。それくらいお安い御用よ。」


意外だった。きっと無理だろうと諦めていたのにそれがあっさりOKを貰ってしまった。


「あ、でも。一つ条件があるわ。」

「じ、条件とは?」

「まあ達也の高校だから…。そのレベルに達するまで、家で勉強をして貰います!」


勉強か。私としては願ったり叶ったりだが、やはり時間が掛かるのだろう。それだけ努力をしなければいけないことは承知している。


「うむ。承知した。それで、どの範囲を勉強するのだ?」


「まあざっくりだけど、最初のところから、達也のレベルまでかな。」

「一応他のテキストとか買ってくるから、それまで…んしょ。はい、これやっておいてね♪」


な、なかなかの量だ。だが見た感じは初歩の初歩という感じだ。『サルでも分かる!日本語講座』と書かれている分厚い本だ。これでどうやら日本語を覚えるらしい。

私は話すことくらいならできるが、書くことは出来ないのでちょうどいいものだ。


「わかった。これを全部やればいいのだな。」


「ええ。帰ってくるまでにある程度はやっておいてね♪」


なんだか変な記号のようなものが2回くらいみえたが、


「う、うむ。了解した。」


そして私は学校に入るために勉強を始めた…



~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~



放課後、教室にて。


「なぁ、達也。今日新しく出来たゲーセンよってかねぇ?」


「いや。俺今日パス。晩飯当番だし。」


「達也も大変だなぁ。飯作ったりしてて。あ、でも女性陣の手料理食えるから役得か!」


「バカか。んなん役得でもなんでもねぇよ。」


そんな馬鹿げた会話の後、俺は学校を出た。

今思うと、昨日の事がとても不思議に思えてくる。


「証、ねぇ…。」


俺の首にかかっているネックレスのような銀色の紋章。それは英雄との契約によって生み出される物。


「剣自体は普通に取り出せるんだけどなぁ、鎧とかが取り出せないんだよなぁ。」


たしかにあの件以降、俺は『エクスカリバー』を想像するだけで取り出せるようにはなった。

だが、どうしても鎧だけは想像で顕現けんげん出来ないのだ。


「何でだろうなぁ?想像力が足りないのか?」


そんなことを考えながら、いつの間にか俺は家に着いていた。

俺は家に入ると、


「ただいま…ってなんだ、これ!?」


教科書と問題集の山。見ただけで頭が痛くなりそうな程の量。その山の中央にはあの少女がいた。


「って、アーサー?なに、やってんだ?」


「う?ああ、達也か。」


アーサーだった。俺は不思議に思い、


「お前、一体何やってんだよ…。」


アーサーはキョトンとして、


「何って勉強に決まっているだろう。達也と同じ…ムグッ!」

「達也と同じくらい勉強がしたいらしいわよー♪」


姉さんが急にアーサーの口を塞いだ。


「お、おう。まあアーサーはこの世界に慣れてないから勉強はしても損ないとおもうぜ、俺は。」


すると、泉理はアーサーの耳に小声で、


「ダメじゃない。まだその話は達也にはしない約束でしょ?」


「あ、ああ。たしかそうだったな。すまない。」


なんか二人共コソコソと何話してるんだろう。と、思いながら俺は、自分の部屋に戻るために階段へ向かった。


そんなこんなあって、とくに何事もなく、一週間が経過した。

休みの日。俺は家でのんびりしていた。


「ん?あれ、姉さんどっかいくのか?」


「あ、泉理おねぇ出かけるならジュース買ってきてー。」


普通に泉理をパシる奏。最近は奏はアーサーのことも『おねぇ』と呼ぶようになったので、誰を呼んでいるかわかるように区別は付けている。


「あのねぇ、あたしは今から大事な用事があるの。ジュース欲しいなら自分で買ってくればいいじゃない。」


「むー。泉理おねぇのケチんぼー!」


むっと頬を膨らませて奏は言った。

すると、泉理は急ぐように、


「あっ。じゃああたしはそろそろ行かなきゃだから。留守番お願いね♪」


そう言って泉理はそそくさと家を出た。


「なんの用事なんだろうな。」


そんなことを思いつつ、俺は休日をのんびり過ごした…


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


その頃泉理は、『白浪学園しらなみがくえん』に来ていた。


「さて、と。取り敢えずりっちゃんに挨拶してきましょうか。」


『りっちゃん』とは泉理の高校時代の後輩で、若き天才と呼ばれていた人物。今はこの学園の理事長をやっているので、アーサーちゃんの件も含めて、挨拶してこようと思ったのだ。


コンコン。


泉理が理事長室のドアをノックする。


『どうぞ。』


部屋の中から声がする。そして、泉理はドアを開け、


「ひっさしぶりー♪りっちゃん♪」


りっちゃんこと理事長は一度停止して、数秒後、


「せ、先輩っ!?な、なんでここに!?」


「そりゃモチロン、お願いに決まってるでしょ?」


「お、お願いって…?」


少し間を置いて、泉理は、


「実はね……」


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


次の日、朝アーサーが部屋から出てこないので呼んでみたが、大丈夫の一点張りで、俺と奏はそのまま学校に向かった。


学校にて。


「おーい、達也。」


「ん?なんだよ天海。」


「聞いたか?今日、転入生が来るらしいぞ!」


「珍しいな。お前が転校生と間違えないなんて。」


「おいっ!お前俺が、極度の馬鹿だと思ってるだろ!」


うなずくと、


「お、お前なかなか酷いこと言うな。Sか!?Sなのか!?」


「そんなことどうでもいいだろ。で、転入生がどうしたって?」


「スルーかよっ!まあ、いいや。で、その例の転入生なんだけどよ…」

「実は、どうやらその子、『女子』らしいぞ!」


あ、そんなことか。

やばい。とくに興味わかない。


「そ、そうか。よかったな。」


適当に受け流す。すると、担任の新川しんかわが入ってきて、


「はーい、みんな席ついてねー。」


ガチャガチャと皆が席につく音が聞こえた。


「じゃあ、みんなも知ってると思うけど、このクラスに新しい子が増えまーす。じゃあ、『遠月さん』入ってきて?」


『遠月』?俺と同じ名字か。同じ名字なんて珍しいこともあるものだな。

そう思っていた矢先のことだった。俺が予期しなかった事態が起こったのは…


クラスに入って来たのは、一人の少女。長い金色の髪。結って長めのポニーテール状にしていたその少女は…


「は?な、な…」


「なんでお前がここにいるんだぁぁぁぁぁぁ!?」


ガタッと立ち上がって俺は叫んだ。


「ち、ちょっと遠月君!?ど、どうしたの!?」


え?知り合いなの?


なんかあったのかな?


周りからガヤガヤとそんな声が聞こえた。


「と、とりあえず遠月君?席についてねっ。」


俺は言われた通り席につく。

な、なんで『あいつ』が…


「じゃああらためて、自己紹介をしてね。」


少女は少しかしこまった様子で、


「今日からこのクラスに来た。アーサー・ペンドラゴンだ。呼び方はアーサーか、できればペンドラゴンではなく遠月と呼んで欲しい。一応居候の身だからな。」


い、居候!?


皆が一斉に俺を見た。


や、やばい。これはマズイ。


「はっ!?い、いつの間に!?」


取り囲まれていた。逃げられない。その中には天海も混ざっていた。


「「「さあ、詳しい話を聞かせて貰おうか!!」」」


「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」


そして、俺の、俺とアーサーの波乱に満ちた学園生活が幕を上げたのだった…。


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