次の町
砂漠の真ん中に巨大な門が現れた。
「オエー・・・・・・見えてきた・・・・・・」
「おぉん・・・・」
「次の町砂漠とか・・・・食料あるんか・・・・」
「フェネックとかコブラとかガゼルとか居たけど、食べれんのか・・・・?」
門の中からNPCたちが何度も転びながらゆっくり近づいてきた。目の焦点が合っていない。
「この者は罪をー・・・ウヒッ・・・荷物を置いていけ・・・・・」
「おぉん、イルさんまたなんかやったの?」
「やりはしたけどバレてない」
「なんか危なそうなNPCだけど、死ぬより荷物渡したほうがいいんじゃないか?」
NPCに荷物を渡すと荷物の中の小瓶だけを取り出し荷物は返してきた。
「これだああああ、後はいらん!!コレだけが俺を満たしてくれる」
「ソイツはヴセのものだ、ヴセによこせ」
「ヒヒヒイイイヒイイ・・・・・」
NPCたちが小瓶を巡って殴り合いを始めた。
「おぉん、なんとなく想像つくけど何とられたの?」
「麻薬」
「やっぱりな、ていうかなんで持ってたんだ?」
「最初の町だと比較的楽に盗めたから・・・テキストによるとハイエルフが作って他の同盟に蔓延させてるらしい」
「おぉん、ハートバードの同盟紹介で思ってたけどハイエルフってクソかな?くさい」
「ハイエルフは畜生って言うのはお決まりなんだよなー適当」
「ライカンとリザーディアンには耐性があるらしいから売ってるのは主にドラゴンって言う、なんだかなぁ」
話しているとNPCの1人が短剣を出し他の全てのNPCを刺し殺した。
「コイツは俺のだ、奴等には渡さない」
「おぉん、終わったみたい行こう」
門の前でずっと立ち往生していたのでコレで進む事ができる。
「お前達もヴセからコレを奪う気なのか!これはヴセだけのものだ!ヴセは素早い奪わせない!」
「おぉん、一番へんなダークエルフが生き残った」
生き残ったダークエルフは40レベル・・・・俺達まだ20レベルなんだけど。
「ふん」
ブライトにNPCのダークエルフが切りかかりダメージを与えるがブライトはこの中で一番防御力があり生き残った。
「やられたからにはやるぞ正当防衛だ、まだ町の中に入ってないから殺されたら最初の町からだぞ」
「おぉん、こっち釣るからよろしく」
少し離れてゆんちゃんが弓でヘイトを取り、俺とブライトがダークエルフの裏に回る。
ブライトが両手斧で重攻撃をあて、俺が盗んだ短剣二刀流で攻撃してヘイトをとる。
ゆんちゃんがヘイトを取り直そうとすると相手は氷の範囲魔法を撃って来た。氷魔法は速度が速い。
ブライトはジャイアントの防御ボーナスで20%耐性があったのでまだいけるが、俺は残りHPが40%を切るレベル差でダメージがおかしい。
「おぉん、当たらなければどうという事はないって言ってたけど魔法避けるの無理くね」
「ヘイトお願い、死ぬ」
その後ゆんちゃんがヘイトをとって、ブライトが重攻撃を入れたが、また氷の範囲攻撃をしてきて俺は二つ目の町に入る前に死んだ。
そのあとNPCのダークエルフを倒す事ができたが、俺を復活させるのには間に合わなかった。
気がつくと最初の町に居た。
NPCたちが路上で寝転んだり薬を吸っている。
「亀に乗って2時間も吐き気と戦ってたどり着いたのにコレは・・・・」
フレンドチャットで2人の無事を確認し、俺は歩いて次の町にたどり着く事を決めた。もう酔うのは簡便だ。
外に出たが同盟戦争が終わってから3時間経たないうちに食料とMOBの需要供給問題で日本人同士の血みどろ殺伐ゲーが開始されていた。
次の町の近くに進むにつれ日本語の名前が少なくなって行き外国人が効率の良い狩場をキープしているように見えたが、砂漠に入ったとたん日本人の数が増えてきた。
効率のいい狩場は外国人のものだが、レベルが高すぎて非効率だがドロップアイテムがいい敵は俺達みたいに殺伐ゲーが嫌だと思った日本人が主に狩っている様だった。
歩いて午後10時ぐらいに次の町にたどり着いてブライトとゆんちゃんと合流した。
俺が居ない間に2人はこの町に来ていたプレイヤーやNPCから情報を集めていてガゼルが主要な敵で避けなければいけない敵がオリックスらしい。
オリックスは名前から動物のオリックスと思いきや獣人族のモンスターらしく右の手の攻撃速度のほうが早く炎系の魔法も使ってくるらしい。
ワールドトライアングルは魔法を使ってこないMOBなら当たらなければ問題ないが、魔法は即時発射や範囲攻撃があるので適正レベルでないと厳しかった。
あとは川もない砂漠の町なので物資があまりなく、同盟戦争で敗戦してからはドラッグを欲しがるNPCが増えてるようだ。
今日はもう遅いので休む事として、俺の覚えたレシピの中にはガゼルの肉を使ったのがあったので明日はガゼルを狩ってガゼルのハーブハンバーグといこう。ガゼルの肉以外は最初の町で盗んで材料もあった。