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クソゲーの始まり

今日は世界初のフルダイブVRMMOのサービス開始日だ。

クライアント自体は5日前から先行ダウンロードできたが、ID登録はアルファテスト参加者は無料だが自分はパッケージ版のコードを入力して作るため7600円かかり日本人のオンラインゲーマーは月額課金かアイテム課金にばかり慣れていたので購入プラス後からDLCコンテンツという不慣れなサービス形式に少し躊躇してフルダイブVRMMOは他のゲームが出てからでいいやという声も上がっていた。

ワールドトライアングル、開発は日本の会社のマナアミューズメントで、運営はギガマックスオンラインというアメリカの会社で、運営がアメリカということで初期購入のDLC型となったがこのタイプのオンラインゲームは2回目だった。

「おぉん、キャラクリおわったわ声デフォルトだけど~ハイエルフペロペロ」

ギルメンの1人が呟いた。

このゲームはフルダイブだからボイスチャットではなく擬似ボイスチャット機能が搭載されている5日以上前に30分ぐらいの文章を読み上げたのを録音してギガマックスオンライン社に送ることで自分の声そっくりの合成音声を作ってくれて自分の声で擬似ボイスチャットが可能になっていたが、自分の声を出したくない人や取れない人のためにデフォルトボイスが男女各10種類用意されていた。ちなみに自分はベータのときに録音してデータがあるのでそれを使った。

フルダイブを体験したいと同じゲームのギルメン3人でスカイプに集まって、ちょうどみんなキャラクリが終わったところだ。

「ゆんちゃんハイエルフか、俺がリザーディアンで、ブライトがジャイアントか、同盟自由参加権持ってないの誰だっけ?」

ワールドトライアングルは3つの同盟がありそれぞれ敵対している。先祖が同じ種族から少し良くない派生をして嫌われているジャイアントとダークエルフの同盟ビックブラック、自分たちが神聖なものや正義と掲げ侵略や奴隷を多く持っているハイエルフとホークアイの同盟ハートバード、他の種族から奴隷とされてきたライカンとリザーディアンの同盟ドラゴン、説明を見る限りハートバードが一方的に侵略していてビックブラックとドラゴンが自分たちを守るために戦っているように感じたがビックブラックとドラゴンの間にも何かしら確執があるらしくベータテスト中NPC同士仲が良い訳ではなかった。

ベータテストのときの人口は侵略をよくする設定があるためかハートバードにアメリカ人が集まる傾向にあったが、日本人の中ではビックブラックが一番人気があった。ハートバードが侵略同盟だから日本人は嫌という理由と、ドラゴンはトカゲの獣人のリザーディアンと犬の獣人のライカンが主な同盟のキャラだからだ。

種族的にはヒューマンが一番の人気で、次がハイエルフ、次がダークエルフというランキングが日本人の主だった。ライカンやリザーディアンは日本人からカッコイイと評価は受けていたが、じゃあやらない?と聞くと皆が皆「遠慮しておくね^^」と返してくる種族だった。獣人いいのになぁ畜生!

同盟は同盟自由参加権を持っていない限り自動で決定されてヒューマンがランダム以外は自分の種族が属する同盟に所属されられることになる。

「買ってないの俺だわ、プレミアムパッケージでプラス3000円ぐらいはちょっと痛い」

「おぉん、ベータテスターはプラス1000円でいいのに、どうして差がついたし。イルさんはベータテストいいなー」

ブライトが同盟自由参加権を持っていないようだ。実は俺はもうすでにゲームを始める前から5万課金してあるのは秘密だ・・・・・・・。

「ジャイアントだからビックブラックか、いやね同盟戦争でゲーム内で食べられる料理のレシピが代わるって言うベータになかったシステムが気になるよなぁ」

同盟戦争というシステムで週に1回戦争があり勝利するとアイテムの価格が安くなり、最下位になると物価が高騰するという物があったが正式サービス開始10日前に勝利した同盟はレシピが増えるという項目が加わった。

「おぉん、ビックブラックかリアルで食べてないのに現実で味がするってやばいよね、ベータのときはドラゴンだったんでしょ?何おいしかった?」

「ドラゴンは基本的に獣人食だから生ものばっかりだったけど、やっぱ美味しかったのはサシミだな」

「やっぱり日本人だな」

「生っていって食べられるのリアルだとサシミぐらいだろ多分、怖いからあんまり挑戦はしなかったわ」

「ビックブラックは焼き料理主体だから、食事目的でも楽しめそうだな」

「同盟決まったし後はチュートリアル終わってから会おうか、俺はチュートリアル終わってるから」

それから俺たちは各々ヘッドセットを装着しゲームの世界に旅立ったのだが、まさかこのゲームがこんなにクソゲーだとは誰も思っていなかった。


ログインして早々俺は違和感を覚えた。

「なんだこれベータの時より画質が荒すぎる。オプション開いて解像度上げなきゃヤバイこれは目が痛くなる・・・ん?いいや目で見てないから頭が先に痛くなるのかもしれない。あれ!?オプション設定の解像度が低画質になってて変えられないぞ・・・・・」

ワールドトライアングルには3つの解像度が用意されていた、最も画質の荒いがラグの少ない低画質、ラグはあるが画質のいい中画質、ラグが一番あるが一番画質の良い高画質、リアルとゲームのサンプリングレート(?)なのか解像度(?)の違いからか差が脳に負担がかかりベータテスターの間でも最高解像度の高画質でプレーするのが主流だった。ゲームに慣れてないのもあってすごく気持ち悪くなるし。

「Please use WORDPAD」

ワードパットは言葉の通じない人とも遊ぶための機能だ。主に外国人など言語の壁がある人と使われる。

「メールを開いて」

近くにいたライカンからワードパットにメッセージをもらい、間違って最初にインベントリを開き、次にメールを開いた。


ワールドトライアングルをご利用いただきありがとうございます。

ただいま以下の不具合が発生しております

・解像度が低画質に固定になる不具合

・ログアウトできない不具合

ヘッドセットの強制奪着は大変危険なためご遠慮ください。

この度はお客様へ大変ご迷惑をおかけ致しておりますこと、深くお詫び申し上

げます。

ギガマックスオンライン ワールドトライアングルホノルルギガサーバー


「ログアウトできないオンラインゲームとかプレステ2の時代からあったオフゲかよ、フルダイブでログアウト出来ないってリアルどうするんだよ、この解像度のままログアウト出来ないのかよ・・・・・・ライカンのお兄さん教えてくれてありがとう・・・」

「いや・・・私女だから・・・・って何だ日本人か・・・」

ベータプレイヤーでチュートリアルをスキップした人たちが次々とログインしてきて、最初に声をかけてくれたライカンの女性は次々と「Please use WORDPAD」と言い皆に現状を把握させていた。

それから10分ぐらいしてからチュートリアル組みが口を押さえながらポツポツと出てきた。

「オエエエエエエエエエ」

「オロロロロロロ」

「はぁはぁ・・・・・まさかリアルは吐いてないよな・・・・・」

偶然とはいえビックブラックから始まって良かった。出てくる人を見ている限り日本人が多そうだった、しかし皆チュートリアルで動いて出てくるから寄って出てくるようだった。

「おぉん・・・・・草はえる・・・・・・」

「絶叫マシンにオキュラス着けて乗った時の比じゃない・・・・・」

敵対種族のジャイアントとハイエルフどうしが肩を貸し合いながら出てきた。頭の上の名前はブライトとぷゆんだ。ベータと違って日本語が使えてる。

「おぉん・・・イルさん僕もブライトもやり遂げたよチュートリアル・・・・」

二人だと分かったので俺はこのゲームの正式サービスに入ってから初めて歩いた。ヤバイ吐きそう・・・・・。

「イルさんベータでこのゲームフルダイブして面白かったって言ったけど、俺コレ無理だわ、でもログアウトできない・・・・・」

「俺がやった時はこんなバグなかったよ!」

「おぉん、ヘッドセット外したい・・・・」

「いや・・・ヘッドセットの設計上、脳にある海馬って部分に電気信号送って俺たちが経験したって記憶に認識させてるって聞いたから普通に外すの危ないから」

「家族が外したらどうなるんだろう・・・」

「無理やり外そうとすると警報がなるはずだから途中でやめるでしょ」

「おぉん、ブライト詳しい、チュートリアルでBBS使おうってあったからBBSでも使って暇つぶそうかバグ直るまで」

「えぇチュートリアルに新規コンテンツ追加しておきながらスキップさせたのか・・・・クソ運営すぎるだろ・・・・」

歩くと吐き気に襲われるため3人ともBBSを開いた。

「おぉん、BBSに動画機能ついてる草はえるわ」

公式BBSには既に日本人スレが立っていてヘッドセットを外す危険性が乗っていたのとリアルの世界で数ヶ月かかるんじゃないかと書かれていた。

「数ヶ月このままだったらヤバイなどうするよ・・・」

「とりあえず、みんな1人暮らしじゃないのが救いだよね」

「おぉん、数ヶ月とか鯖もつんかな?」

「このホノルルギガサーバーはアプデとかバグとかない限り5ヶ月メンテなしで稼動できる設計って言ってたけど、初回から致命的なバグとかないわー」

「おぉん、お腹すいてきたしとりあえず食事しようぜ・・・・・」

「そうするか・・・」

3人で吐きそうになりながら食料品店にやって来た。

「ふぅ・・・ふぅ・・・・」

「焼き料理・・・・何があるかな・・・・」

「歩くだけで気持ち悪くなるとかゲームじゃない・・・・・」

NPCにカーソルを当てて買い物タブを開いた俺たちは絶望するだけだった。焼いた鶏肉1000ゴールド以外食料は見当たらないだけじゃなく、俺たちが持っていたのは1人100ゴールドで合計300ゴールドだったので買える額ではない。買えたとしても大量に売っている300ゴールドのレシピだけだ。

「単純に買えないしレシピ1個300ゴールドどうするんだよ・・・・・」

「狩るしかないだろ、空腹なんて関係ない生き残るんだ・・・・・」

「おぉん、こんなゲーム嫌だああああああああああああああああああああああああああああああああああ」

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